【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
512話 キリヤvs蓮華
ハイブリッジ家のトーナメントが開かれている。
二回戦第一試合は、ミティ対ニムという今大会屈指の好カードだった。
ミティの超パワーとニムの絶対防御が激突する格好となったが、最終的にはミティが勝利した。
彼女の消耗は大きい。
次の試合までに回復できるかが重要だ。
「ミティ。治療魔法をかけておこうか?」
「いえ。それでは他の参加者との公平性を欠きます。後に残るような傷はありませんし、このままで大丈夫です」
ミティがそう言う。
確かに、彼女の言うことには一理ある。
もしこれが他の街で開催されている大会なら、俺たちはここぞとばかりに身内にだけ治療魔法を施して万全のコンディションを整えるだろう。
しかしこの大会は、ハイブリッジ家の者たちの実力を改めて確かめるための大会だ。
言ってみれば、全員が身内である。
特定の者にだけ治療魔法をかけるのは、公平性に欠ける。
「そうか。わかった。だが、次の試合も応援しているぞ」
ミティは俺の第一夫人だし、応援するぐらいはいいだろう。
「ありがとうございます。がんばります! むんっ!」
彼女の気合いは十分だ。
「さあ! 次の試合に参ります! 筆頭警備兵の”雷双剣”キリヤ選手対、ミリオンズの”山風”蓮華選手です! 奇しくも剣士同士の対決となりました! はたしてどんな戦いを見せてくれるのか!?」
ネリーのアナウンスを聞き、二人がステージに向かう。
「キリヤ君。がんばってくださいね」
「ああ。剣士相手に、俺が負けるわけにはいかねえ」
ヴィルナの応援を受け、キリヤがそう言う。
彼がステージに上がる。
「ふむ。きりや殿が相手でござるか。剣を使うところは何度か見かけたことがある。いずれ手合わせをしたいと思ってござった」
ステージ上で待っていた蓮華が、キリヤにそう声を掛ける。
「ふっ。そいつは光栄なことだ。だが、手は抜かねえ。俺が勝たせてもらうぞ」
「それはこちらの台詞でござる。……いざ、尋常に勝負!!」
二人はステージ上で相対する。
「両者とも、準備はよろしいようですね! ……それでは、試合開始!」
「いくぜ! おらぁっ!!」
開始と同時に、キリヤが大きく踏み込んで斬りかかる。
「甘いでござる!」
それを見越していたかのように、蓮華が素早く半歩下がって回避する。
「ちぃっ!」
「今度は拙者の番でござる!」
「くっ! 速いな!」
キリヤは一度距離を取ろうとバックステップを踏むが、蓮華が素早く間合いを詰めてくる。
「はあっ!」
「ぐぅっ!!」
蓮華の鋭い斬撃を何とか受け止めるが、勢いまでは殺しきれずに数メートル押し戻される。
「やるじゃねぇか。ならこれならどうだ」
キリヤが全身に闘気を込める。
「ほう。なかなかの闘気でござる。ではこちらも……はぁぁぁぁ!!」
蓮華も同じように闘気を高めていく。
闘気を纏った二人がぶつかり合う。
「うおぉぉぉぉ!!」
「ぬん!!」
バチィッ!!
激しい音を立て、二人の間で火花が散っている。
どちらも一歩も引かない展開だ。
「すげえ……。あの”雷双剣”のキリヤを相手に互角に渡り合ってるぜ……」
「当たり前だろ。相手はあのミリオンズの一員だぞ」
「ハイブリッジ騎士爵に素質を見抜かれた女だ。強いに決まってる。むしろ俺からすりゃ、キリヤが健闘しているという印象だぜ」
観客たちが口々にそう言う。
キリヤはこのラーグの街が地元であり、もともとそれなりに有名人だったようだ。
一方の蓮華はヤマト連邦出身であり、この街の住民からはまださほど認知されていない。
それでも、ミリオンズの一員だというだけで一定以上の評価は受けている。
観客たちにとっては、どちらが勝つかまったく予想できないといったところか。
ちなみに俺にも予想がつかない。
「はあ、はあ……。まだまだぁ!! おらよっ!!」
キリヤの攻撃がさらに激しくなる。
「むっ。ぬぬぬ……」
蓮華が負けじと応戦する。
両者の実力はほぼ拮抗しているか。
いや……。
「ははは! どうした? 防いでばかりだと俺には届かねぇぞ?」
どちらかと言えばキリヤが押しているような感じがする。
男女の身体能力の差が出ている感じか?
この世界には闘気や魔力がある分、男性と女性の戦闘能力の差は小さい。
しかしそれでも、同程度の実力者同士なら身体能力の性差が勝負を分けることはあり得る。
「拙者は負けるわけにはいかぬ。しからば、奥の手でござる!!」
蓮華が闘気と魔力を高めていく。
「火影流奥義、山嵐!!!」
蓮華が発動した風魔法により、キリヤを中心とした竜巻が発生する。
彼女はその風に自らの体を乗せて高速移動を始めた。
「ほー。こいつは面白い技を出してきたな」
キリヤがニヤリとする。
「さあ! 大変なことになってきました! キリヤ選手、この大技を無事にしのぎ切ることはできるか!?」
ネリーが興奮気味に叫ぶ。
「ふっ。だが、こっちだって負けるわけにはいかねえんだよ! 俺はあいつを守るために……強くあれねばならんのだ!!」
キリヤがそう叫ぶ。
「いくぞ! これが俺の奥の手だ!! はあああぁっ!!」
彼が闘気と魔力を全開にする。
双剣が激しく輝き出す。
「隙有りでござる!!」
蓮華がキリヤの背後から斬りかかる。
キリヤは反応できていない。
これは決まったか。
俺はそう思った。
しかし……。
「雷切!!!」
その一言と共に、キリヤの体が超速で動いた。
「なぬっ! ぐっ……」
次の瞬間、蓮華が吹き飛ばされていた。
そのままステージの外まで転がっていく。
「な……なんということでしょう! まさかのキリヤ選手のカウンター攻撃が決まりました! いったい何が起きたのか!?」
「はあ、はあ……。危なかったぜ……」
キリヤが額の汗を拭う仕草をする。
「ふふん。雷魔法と闘気の合わせ技のようね。反応速度が尋常ではなかったわ」
「そうですね。瞬間的な速度だけで言えば、モニカさんやアイリスさんにも匹敵するかもしれません」
解説のユナとサリエがそう言う。
視力強化のスキルを持つ俺の目は、彼の動きを捉えていた。
確かに、モニカやアイリスあたりの超スピードに迫ろうかという速さだった。
彼には通常の加護どころか加護(小)すら付与していないのだが、かなりの戦闘能力だな。
これは将来有望である。
ぜひとも、忠義度を稼いで加護の付与を狙っていきたいところだ。
俺がそんなことを考えている間にも、ネリーのカウントは進んでいる。
しかしあと数秒というところで、蓮華が立ち上がった。
「おおっと! ここで蓮華選手が復帰か!?」
「……いや、降参でござる。きりや殿は強かった」
蓮華のギブアップだ。
無理をすればまだ戦えるだろうが、ただの腕試しでそこまでする意味もないだろう。
彼女は、故郷であるヤマト連邦で起こる戦いに向けて、力を研鑽している様子だ。
体を張る局面は今じゃない。
「世界は広い。たかし殿どころか、その配下の者にこれほどの逸材がいるとは。拙者もまだまだ精進が必要でござるな」
蓮華がそう言う。
「ふっ。そっちも強かったぜ。俺も闘気とMPがすっからかんだ」
キリヤが足をプルプルさせ、そう言う。
相当な消耗具合だ。
蓮華がもう少し無理をして試合を続行していれば、勝っていたのは蓮華だったかもしれないな。
まあいい。
次の試合を見せてもらうことにしよう。
二回戦第一試合は、ミティ対ニムという今大会屈指の好カードだった。
ミティの超パワーとニムの絶対防御が激突する格好となったが、最終的にはミティが勝利した。
彼女の消耗は大きい。
次の試合までに回復できるかが重要だ。
「ミティ。治療魔法をかけておこうか?」
「いえ。それでは他の参加者との公平性を欠きます。後に残るような傷はありませんし、このままで大丈夫です」
ミティがそう言う。
確かに、彼女の言うことには一理ある。
もしこれが他の街で開催されている大会なら、俺たちはここぞとばかりに身内にだけ治療魔法を施して万全のコンディションを整えるだろう。
しかしこの大会は、ハイブリッジ家の者たちの実力を改めて確かめるための大会だ。
言ってみれば、全員が身内である。
特定の者にだけ治療魔法をかけるのは、公平性に欠ける。
「そうか。わかった。だが、次の試合も応援しているぞ」
ミティは俺の第一夫人だし、応援するぐらいはいいだろう。
「ありがとうございます。がんばります! むんっ!」
彼女の気合いは十分だ。
「さあ! 次の試合に参ります! 筆頭警備兵の”雷双剣”キリヤ選手対、ミリオンズの”山風”蓮華選手です! 奇しくも剣士同士の対決となりました! はたしてどんな戦いを見せてくれるのか!?」
ネリーのアナウンスを聞き、二人がステージに向かう。
「キリヤ君。がんばってくださいね」
「ああ。剣士相手に、俺が負けるわけにはいかねえ」
ヴィルナの応援を受け、キリヤがそう言う。
彼がステージに上がる。
「ふむ。きりや殿が相手でござるか。剣を使うところは何度か見かけたことがある。いずれ手合わせをしたいと思ってござった」
ステージ上で待っていた蓮華が、キリヤにそう声を掛ける。
「ふっ。そいつは光栄なことだ。だが、手は抜かねえ。俺が勝たせてもらうぞ」
「それはこちらの台詞でござる。……いざ、尋常に勝負!!」
二人はステージ上で相対する。
「両者とも、準備はよろしいようですね! ……それでは、試合開始!」
「いくぜ! おらぁっ!!」
開始と同時に、キリヤが大きく踏み込んで斬りかかる。
「甘いでござる!」
それを見越していたかのように、蓮華が素早く半歩下がって回避する。
「ちぃっ!」
「今度は拙者の番でござる!」
「くっ! 速いな!」
キリヤは一度距離を取ろうとバックステップを踏むが、蓮華が素早く間合いを詰めてくる。
「はあっ!」
「ぐぅっ!!」
蓮華の鋭い斬撃を何とか受け止めるが、勢いまでは殺しきれずに数メートル押し戻される。
「やるじゃねぇか。ならこれならどうだ」
キリヤが全身に闘気を込める。
「ほう。なかなかの闘気でござる。ではこちらも……はぁぁぁぁ!!」
蓮華も同じように闘気を高めていく。
闘気を纏った二人がぶつかり合う。
「うおぉぉぉぉ!!」
「ぬん!!」
バチィッ!!
激しい音を立て、二人の間で火花が散っている。
どちらも一歩も引かない展開だ。
「すげえ……。あの”雷双剣”のキリヤを相手に互角に渡り合ってるぜ……」
「当たり前だろ。相手はあのミリオンズの一員だぞ」
「ハイブリッジ騎士爵に素質を見抜かれた女だ。強いに決まってる。むしろ俺からすりゃ、キリヤが健闘しているという印象だぜ」
観客たちが口々にそう言う。
キリヤはこのラーグの街が地元であり、もともとそれなりに有名人だったようだ。
一方の蓮華はヤマト連邦出身であり、この街の住民からはまださほど認知されていない。
それでも、ミリオンズの一員だというだけで一定以上の評価は受けている。
観客たちにとっては、どちらが勝つかまったく予想できないといったところか。
ちなみに俺にも予想がつかない。
「はあ、はあ……。まだまだぁ!! おらよっ!!」
キリヤの攻撃がさらに激しくなる。
「むっ。ぬぬぬ……」
蓮華が負けじと応戦する。
両者の実力はほぼ拮抗しているか。
いや……。
「ははは! どうした? 防いでばかりだと俺には届かねぇぞ?」
どちらかと言えばキリヤが押しているような感じがする。
男女の身体能力の差が出ている感じか?
この世界には闘気や魔力がある分、男性と女性の戦闘能力の差は小さい。
しかしそれでも、同程度の実力者同士なら身体能力の性差が勝負を分けることはあり得る。
「拙者は負けるわけにはいかぬ。しからば、奥の手でござる!!」
蓮華が闘気と魔力を高めていく。
「火影流奥義、山嵐!!!」
蓮華が発動した風魔法により、キリヤを中心とした竜巻が発生する。
彼女はその風に自らの体を乗せて高速移動を始めた。
「ほー。こいつは面白い技を出してきたな」
キリヤがニヤリとする。
「さあ! 大変なことになってきました! キリヤ選手、この大技を無事にしのぎ切ることはできるか!?」
ネリーが興奮気味に叫ぶ。
「ふっ。だが、こっちだって負けるわけにはいかねえんだよ! 俺はあいつを守るために……強くあれねばならんのだ!!」
キリヤがそう叫ぶ。
「いくぞ! これが俺の奥の手だ!! はあああぁっ!!」
彼が闘気と魔力を全開にする。
双剣が激しく輝き出す。
「隙有りでござる!!」
蓮華がキリヤの背後から斬りかかる。
キリヤは反応できていない。
これは決まったか。
俺はそう思った。
しかし……。
「雷切!!!」
その一言と共に、キリヤの体が超速で動いた。
「なぬっ! ぐっ……」
次の瞬間、蓮華が吹き飛ばされていた。
そのままステージの外まで転がっていく。
「な……なんということでしょう! まさかのキリヤ選手のカウンター攻撃が決まりました! いったい何が起きたのか!?」
「はあ、はあ……。危なかったぜ……」
キリヤが額の汗を拭う仕草をする。
「ふふん。雷魔法と闘気の合わせ技のようね。反応速度が尋常ではなかったわ」
「そうですね。瞬間的な速度だけで言えば、モニカさんやアイリスさんにも匹敵するかもしれません」
解説のユナとサリエがそう言う。
視力強化のスキルを持つ俺の目は、彼の動きを捉えていた。
確かに、モニカやアイリスあたりの超スピードに迫ろうかという速さだった。
彼には通常の加護どころか加護(小)すら付与していないのだが、かなりの戦闘能力だな。
これは将来有望である。
ぜひとも、忠義度を稼いで加護の付与を狙っていきたいところだ。
俺がそんなことを考えている間にも、ネリーのカウントは進んでいる。
しかしあと数秒というところで、蓮華が立ち上がった。
「おおっと! ここで蓮華選手が復帰か!?」
「……いや、降参でござる。きりや殿は強かった」
蓮華のギブアップだ。
無理をすればまだ戦えるだろうが、ただの腕試しでそこまでする意味もないだろう。
彼女は、故郷であるヤマト連邦で起こる戦いに向けて、力を研鑽している様子だ。
体を張る局面は今じゃない。
「世界は広い。たかし殿どころか、その配下の者にこれほどの逸材がいるとは。拙者もまだまだ精進が必要でござるな」
蓮華がそう言う。
「ふっ。そっちも強かったぜ。俺も闘気とMPがすっからかんだ」
キリヤが足をプルプルさせ、そう言う。
相当な消耗具合だ。
蓮華がもう少し無理をして試合を続行していれば、勝っていたのは蓮華だったかもしれないな。
まあいい。
次の試合を見せてもらうことにしよう。
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