【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

511話 二回戦 ミティvsニム

 ハイブリッジ家のトーナメントが開催されている。

「さあ! いよいよ二回戦に進みます! 二回戦第一試合は、ミティ様とニム様の激突!! ミリオンズでも屈指のタイマン戦闘能力を誇る方々ですが、果たしてどちらが勝利を収めるのか!?」

 ネリーが興奮気味にそう言う。
 俺も少し気になるところだ。
 ミティとニムがそれぞれステージに上がる。

「では、早速試合開始ぃー!!!!」

 ネリーの合図とともに、両者が同時に動いた。
 二人とも思い切りがいい。

「ビッグ……メテオ!」

「我が敵を砕け! ストーンレイン!」

 ミティの投石と、ニムの土魔法の激突だ。
 両者が放った石が激しくぶつかり合う。

「おおっとぉぉぉぉぉ!! いきなり激しい遠距離戦が展開されましたぁぁぁぁぁ!!」

 実況のネリーが叫ぶ。
 二人とも、次々と石弾を放ち続けている。

「解説のお二方、この展開をどうご覧になりますか?」

「ふふん。そうねえ。パワーならミティに分があるけど……」

「アイテムバッグに入れてある岩には限りがありますからね。一方のニムちゃんは、かなりのMPを誇ります。遠距離の持久戦になると、有利なのはニムちゃんでしょう」

 解説のユナとサリエがそう言う。
 その言葉通り、ミティの手数が減っていく。
 彼女の投擲の方が一発一発の威力は高いのだが、弾数で劣勢だ。

「こ、降参するなら今のうちですよ」

 ニムが油断なく土魔法を連射しながらそう言う。

「なんのこれしき! まだまだ手はあります!」

 ミティが投石をやめる。
 そして今度は、ハンマーを取り出した。
 彼女が冒険者デビューした頃に使っていた、ストーンハンマーである。
 大戦槌ウリエルではない。
 殺傷能力の高すぎる武器は今大会では禁止されているのだ。
 彼女がニムの石弾に耐えながら、ストーンハンマーを振りかぶる。

「ビッグ・ホームラン!!」

 ガキン!
 打った!
 強烈なライナーがニムを襲う。

「くっ!」

 ニムがかろうじてそれを回避する。
 しかし、そのスキにミティが距離を詰め……。

「ビッグ……ボンバー!!」

 闘気を込めたハンマーを勢いよく振り下ろす。
 ドゴォーン!!
 凄まじい轟音が響く。

「おおっとぉ! これは強烈な一撃だ! 決まってしまったか~!?」

 ネリーがそう叫ぶ。

「ふふん。まだよ」

 ユナの言葉通り、まだ勝敗は決していない。

「ふ、ふう。危ないところでした」

「とっさに土魔法で防ぎましたか。なかなかの反応速度ですね」

 ニムは土魔法のロック・デ・ウォールを発動していたようだ。
 彼女とミティの間には土の壁が生成されており、ミティの攻撃は無効化されてしまっている。

「もう一度です! ビッグ……ボンバー!!」

「ロック・デ・ウォール!」

 ミティのハンマーによる攻撃が、ニムの土壁に防がれる。
 同じような攻防が何度か繰り返された頃……。
 ボロッ。
 ストーンハンマーが崩れてしまった。

「むっ!? 武器の限界ですか」

 いくらミティの闘気によって強化されているとはいっても、もとは普通のストーンハンマーだ。
 ニムの闘気と魔力が込められた土壁の方が固い。

「ま、丸腰ではわたしには勝てませんよ? 降参されてはどうでしょうか?」

「まだまだ戦えます! 最後まで抵抗しますよ!」

「どう抵抗するのですか?」

「それは……」

 ミティが駆け出す。

「拳で! です!!」

 ドゴォーン!!
 ミティのパンチが、ニムの土壁にめり込む。

「う……。武器もなしでこれほどの威力を……?」

 ニムが驚く。
 ミティは腕力強化のスキルをレベル5にまで伸ばしている。
 ちなみにこのスキルの効果は、純粋に腕力が向上するだけにとどまらない。
 手指や関節の強度も合わせて向上する。

「私を舐めないことです!」

「な、なるほど……。では、拘束して無力化させていただきましょう。……ロック・デ・ロック!!」

 ニムが土魔法を発動する。
 これは……俺とニムが婚約した後の夜に、彼女が発動していた魔法だな。
 小型のゴーレムを生成し、相手の四肢にまとわりつく魔法だ。

 あの夜俺は拘束され、ニムにもてあそばれてしまった。
 抵抗できない状況で年下の女の子に責められるという、なかなかハイレベルなプレイだったな。
 しかし、あれはあれで悪くなかった。

「むっ!? 私の足にまとわりつくとは……。邪魔なゴーレムですね」

 ミティが自身の足元のゴーレムを払おうとするが、奴らの腕はガッチリとミティの足首を捕えている。

「さあ!  これで動けないはずです! 一気に決めさせてもらいますよ」

 ニムが勝ち誇るように言う。
 ミティの脚力は、腕力に比べるとさほどでもない。
 このような拘束を受けては、まともに動けないだろう。

「この程度で私を拘束した気にならないことです。……ふんっ!!!」

 ミティがステージに手をついたかと思うと、力強く握りしめた。
 ガッ!!!
 岩でできたステージに、ミティの指が食い込んでいる。
 さすがの握力だ。
 そして、指の強度も半端ではない。

「ぬうんっ!!!」

 ミティが力を込め、足にまとわりついたゴーレムごと腕の力で高く跳躍する。
 すげえ。

「な、なんという馬鹿げた力……。でも、空中ではいい的! 今度は腕を封じます! ロック・デ・ロック!」

 小型ゴーレムが、跳躍中のミティの拳あたりに生成される。
 足に加えて腕まで封じられては、今度こそミティに打つ手はなくなってしまう。

「ふふふ。そう来ると思いました。いい武器をありがとうございます」

 ミティがしたり顔で言う。
 確かに見方によっては、腕に生成された小型ゴーレムはいい鈍器になるだろう。
 彼女が先ほどまで使っていたストーンハンマーや素手よりも、ニムが生成したゴーレムの方が固いだろうし。
 まあ普通の人なら、そもそも腕を動かせなくなるだろうが。

「”侵掠すること火の如し”。ビッグ……」

 ミティがニムの方向に跳躍した状態のまま、腕を経由して小型ゴーレムに闘気を込めていく。

「し、しまった……! ロック・デ・ウォール!!!」

 ニムが慌てて土壁を生成する。
 ミティの攻撃が先ほどと同程度の威力であれば、この土壁に阻まれてしまうだろうが……。

「トンカチ!!!」

 ドゴォーーン!!!
 あたりに轟音が鳴り響く。
 ミティのパンチは凄まじい威力だ。
 俺の予想を遥かに超える威力で、土壁をぶち抜いている。

「う……。む、無念です……」

 ニムはそう言い残して倒れた。

「おおっとぉぉ! ミティ様の強力な一撃で勝負が決まったぁぁぁぁ! 勝者はミティ様です!!!」

 ネリーがそう叫ぶ。

「「「わあああぁ!!!」」」

 観客席が歓声に包まれる。
 ミリオンズ同士の対決は、ミティに軍配が上がったか。
 しかし、ニムも十分に健闘した。
 後で二人とも労っておこう。

 さて。
 次の試合はどうなるかな?

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