【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

509話 ハナvsトミー、ナオンvsオリビア

 ハイブリッジ家のトーナメントが開催されている。

「さあ、次の試合に移ります! Cランクパーティ”雪月花”三姉妹の長女であるハナ選手対、同じくCランク冒険者であるトミー選手! この両名は、ルクアージュでのハイブリッジ騎士爵様のご活躍を見て、はるばるこの街までやってきました! 配下登用に向けてアピールできるか、見ものです!!」

 司会のネリーがそう言う。

「ツキちゃんは負けちゃったからね~。ここはお姉ちゃんがリベンジしちゃうよ~」

 ゆるく、しかし自信たっぷりにハナがそう言う。

「……姉さん、油断大敵だよ……」

「しっかりね!」

 三女ユキと次女ツキがそう声援を送る。

「へへっ。俺も簡単には負けねえぜ! 覚悟しな!」

 トミーがそう言う。
 彼も”雪月花”と同じCランク冒険者だ。
 そして、特別表彰者ではない点も共通している。
 冒険者としては同格だと言っていいだろう。

 とはいえ、同じランクでも戦闘能力や得意分野などに違いはある。
 魔法、剣術、武闘のどれが得意か。
 魔物退治、対人戦、未知の場所の探索、そのどれが得意か。
 加えて、相性の良し悪しもある。
 ハナとトミーのどちらが勝つか、俺にはまったく予想がつかない。

「では両者、前へ!」

 ネリーの合図とともに両者は向かい合い、礼をする。

「それでは試合開始!!」

「行くぜぇ、ハナァ!!」

 トミーが剣を振りかざして突進していく。

「させないよ~ん」

 ハナは盾を構えてそれを受け止めた。
 剣と盾がぶつかりあう鈍い音が響く。

「おおっと!? いきなり激しい衝突! お互いの武器と盾が砕け散りそうだ!!」

「ふふん。さすがはCランク冒険者ね。かなりの身体能力だわ」

 解説のユナがそう言う。
 そんな彼女はBランクなのだが、彼女は1対1の肉弾戦ではあまり強くない。
 火魔法の高火力と連射力、弓矢による遠距離攻撃、テイムしたファイアードラゴンであるドラちゃんと一時的に融合する”火竜纏装”などの技が得意だ。

「おらぁ! まだまだいくぜ!」

 トミーがさらに追撃を行おうとするが……。

「ハナちゃんも負けてられないよ~」

 彼女が盾で攻撃をしのぎながら、魔法の詠唱を進めていく。

「敵を縛って~。ウッドバインド~!!」

「なんだ!?」

 突然、地面に生えた木から枝が伸びてきてトミーの足に絡みつく。
 そして拘束してしまった。

「くそ、動けん!?」

「これでもう動けないよね~。じゃあトドメだね~」

「させるかっ!!」

 トミーが必死の形相で抵抗しようとするが……。

「ぐはっ……」

 そのまま気絶させられてしまった。

「そこまで! 勝者、ハナ選手!!」

 審判のネリーが宣言すると、会場内から拍手が巻き起こる。
 トミーの実力は確かだが、魔法が使えないのだったか。
 相手の魔法による搦め手に身体能力だけで対抗するのは、なかなか厳しそうだな。
 まあいい。
 次だ次。


「えー、続いては! 王都騎士団の元小隊長ナオン選手対、ミリオンズ構成員サリエ様の付き人であるオリビア選手です!」

 司会のネリーがそう叫ぶ。
 ナオンとオリビアがステージ上で対峙する。
 小隊長のナオンはCランク冒険者相当の実力者だ。
 一方のオリビアは、サリエの付き人として何でもこなす才女だ。
 剣術においても高い実力を持つ。

「それでは、試合開始!!」

「やあやあ! 我こそはナオン! いざ尋常に勝負せよ!」

 名乗りを上げる彼女に対して、オリビアは黙っている。

「どうした? 怖気づいたのか?」

「いえ。名乗りを上げる習慣がありませんでしたので……。標的はただ、消すのみ……!」

 ヒュッ!
 オリビアが突如気配を消した。

「消えた!?」

「どこ行ったのよ!?」

 観客たちがざわめく中……。
 ガキン!!
 鈍い音が響いた。
 いつの間にかナオンの背後に迫っていたオリビアが剣を振り下ろし、それをナオンが間一髪で防いだのだ。

「むっ!? 私の暗殺剣に反応するとは……」

「ふ、ふふふ。私にかかれば、この程度は造作もないことだ」

 ナオンがそう言う。
 彼女もなかなかやるなあ。
 今のを防ぐとは。
 しかし声は震えている。
 防げたのはギリギリだったのかもしれない。

「……次は当てますよ……!」

「くっ……!」

 再びオリビアが消えた。
 俺は意識を集中させる。
 今度は彼女の動きを把握できた。

 彼女が消えたように見えるのは、気配隠匿の技術によるもののようだ。
 速さ自体は普通である。
 気配察知のスキルを持つ俺やアイリスなら、十分に対処可能な相手だ。

「そこか!」

 ナオンが背後に向かって剣を振るう。
 キィン!
 剣同士のぶつかる音。
 そこにはオリビアがいた。

「ほう、やりますね。それならばこれはいかがでしょう……」

「…………」

 またも消え、気づいた時には別の場所に現れる。
 ナオンはそれを落ち着いて見極めようとしている様子だ。

「ここだぁっ!!」

 ナオンが剣を振り下ろす。

「ぐっ!!!」

 それを剣で受け流そうとしたオリビアだが、剣ごと切り裂かれてしまう。

「終わりだ!!」

 ナオンがさらに追撃する。

「ぐふっ」

 オリビアはダメージを受け倒れ伏した。

「そこまで! 勝者、ナオン選手!!」

 審判のネリーがそう宣言した。
 会場内から歓声が沸き起こる。
 オリビアはサリエの付き人として非常に多才で何でもこなすが、さすがに戦闘において騎士団の小隊長に勝てるほどではなかったか。
 まあ、それでも相当にいい試合をしていたが。

 さあ。
 次が一回戦最後の試合だ。
 楽しませてもらうことにしよう。

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