【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

477話 重力魔法で移動速度アップ!

 ルクアージュからラーグの街に向かっているところだ。
 乗車人数が多いので、馬車のスピードがあまり出ない。
 このペースだとまだかなりの日数がかかってしまうだろう。

 そこで、ミティと蓮華の風魔法により追い風を発生させ、スピードアップを図った。
 加えて、アイリスとサリエの治療魔法により馬の体力を回復させた。
 今までよりも移動速度は上がったことになる。
 さらに、マリアが何かをしようとしている。

「見ててね! タカシお兄ちゃん」

「ああ。ムリせずやってみてくれ」

「うん!」

 マリアが、馬車の前方で立ち上がる。
 そして、魔法の詠唱を始めた。

「……とき放て。レビテーション!」

 彼女が発動したのは、初級の重力魔法だ。
 対象物の重量を低下させる効力を持つ。

 ディルム子爵領のカザキ隊長も重力魔法の使い手だ。
 彼は自身にレビテーションを掛けるとともに爆破魔法を併用して、擬似的な飛行能力を得ていた。

 マリアも重力魔法の使い手だ。
 アヴァロン迷宮でキラー・ビーというハチ型の魔物と戦ったときに使用して、相手の飛行を阻害していた。
 また、中級の重力魔法であるゼログラビティを使用して、ラスターレイン伯爵家を浮かせることで抵抗不能状態に追い込んだこともある。

「どうかな?」

 マリアがそう問う。

「む……。初級の重力魔法では、この大人数が乗っている馬車を浮かせることはできないみたいだが……」

「それはもちろんだよ! 浮かせたら、危ないし!」

 言っていることはその通りなのだが、それならばなぜわざわざ魔法を発動したのか。
 俺がそう思っているとき——。

「…………ん?」

 馬車の速度が心なしか上がっているような気がする。

「アイリス、サリエ。また治療魔法を馬に掛けてあげたのか? それとも、ミティか蓮華の風魔法による追い風か?」

「ボクはやっていないよ。スピードが上がったのは、マリアちゃんの重力魔法のおかげじゃないかな」

 アイリスがそう答える。

「マリアのおかげ? ……ああ、なるほどな」

「うん! みんなが軽くなれば、お馬さんも楽になるかなって思ったんだ!」

 マリアが元気よくそう言う。
 馬車に乗っているミリオンズや雪月花、それに馬車本体の重量を適度に軽くすることで、馬の負担を軽減しているようだ。

「マリアはいい子だなあ……」

 俺は思わず頭を撫でてしまった。

「えへへっ」

 マリアが嬉しそうに笑う。

「むっ! 私もがんばりました! 褒めてください!」

「もちろんミティにも感謝しているとも。よくやってくれた」

 俺はミティの頭を撫でる。
 子どもに張り合ってどうする、とは言うまい。

「ボクもがんばったんだけどなー」

「私もです……」

「あの、拙者も……頑張ったのでござるが……」

 君たちもか。

「ありがとう。アイリス、サリエ、蓮華」

 俺は感謝の言葉を述べながら、それぞれの全員の頭を撫でていく。

「度を超えた女好きという噂は本当みたいね……」

「ふふ~。なら、ハナちゃんにもまだまだチャンスはあるね~」

「……でも、目指すべき力量はとんでもない。さらっと発動していたけど、それぞれの魔法の腕は中級以上……。こんな小さな女の子まで……」

 ツキ、ハナ、ユキがそうつぶやく。

「まあ、みんながんばっているからな。ツキ、ハナ、ユキも、がんばればこれぐらいはできるようになるだろう。”高み”で待っているぞ」

 俺はキメ顔でそう言う。

「上から目線ね……。でも確かに、私たちもがんばらないといけないわ」

「ハナちゃんはゆっくりしたいよ~。努力せずに側室入りしたい~」

「……ボクは側室は興味ないけど、もとよりがんばるつもり……」

 ツキ、ハナ、ユキがそう言う。
 女好きの俺としては、多少忠義度が低くとも手を出したい。
 それに、現時点でもある程度の戦闘能力がある彼女たちであれば、ミリオンズに加入させても極端に足を引っ張ることはない。

 しかし、体裁というものがある。
 愛を育んでいない者を軽率に仲間に加えていったら、ミティやアイリスが黙っていないだろう。
 彼女たちが新たな女性メンバーを受け入れてくれるのは、俺がそれぞれと深い絆を結んでいる前提があるからだ。
 今の俺と”雪月花”の間には、そういった繋がりがない。
 彼女たちの実力が増し、俺ともっと親密になれば、ミリオンズへの加入もあり得るだろう。

「へへっ。さすがはタカシの旦那だぜ! あんな小さな女の子にまで手を出すなんてよ!」

「だな! しかし、この国で良かったな! ミネア聖国だったら、追放されていたかもしれねえぜ!」

 トミーたちがそう言う。
 この国は結婚適齢期が日本よりも早い。
 結婚が可能になる年齢は12歳だ。

 その影響か、俺のようなロリコンに対する視線もさほど厳しくない。
 まだ11歳のマリアと親しくしていても、犯罪者を見るような視線が向けられることはない。
 まあ、親しくとは言ってももちろん肉体的には手を出していないが。

「ミネア聖国かー。確か、童女趣味で国から追放された騎士がいるらしいね」

 アイリスがそう言う。
 追放?
 少しカッコいい気がしないでもない。

 ミネア聖国で広く名の通った騎士だよ。
 度を超えたロリコンで、国を追われた男さ…………。

「ホホ……。昔の話だ。俺の事などどうでもよろしい」

「えっ!? タカシのことだったの!?」

「タカシ様にそのような過去が!?」

 アイリスとミティが驚愕の視線を向ける。

「いや、冗談だよ。……しかし、その人には一度会ってみたいな」

 同じ趣味を持つもの同士、気が合うかもしれない。
 幼女体型のミティ、12歳のニム、11歳のマリア、外見年齢10歳ほどのティーナあたりに手を出されないようにだけは、注意する必要があるが。
 俺たちはそんな会話をしつつ、引き続き馬車に揺られていった。

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