【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

473話 ラーグの街への道中

 俺たちミリオンズは、海洋都市ルクアージュを後にした。
 馬車でのんびりと移動していく。
 同行者は、俺を含めて20人ほどだ。

 まずは、俺たちミリオンズが12人。
 俺、ミティ、アイリス、モニカ、ニム。
 ユナ、マリア、サリエ、リーゼロッテ、蓮華。
 それにティーナとドラちゃんだ。
 ミリオンズもずいぶんと大所帯になったものである。

 そして、残りの者はーー。

「へへへ。タカシの旦那が治めるラーグの街は、行ったことがない街です。楽しみですぜ」

「俺たち、がんばって貢献させていただきやす!」

 まずは、トミーとそのパーティメンバーたちである。
 俺が声を掛けてみたところ、付いてきてくれることになった。

 彼らはCランク冒険者。
 実力は確かである。

 また、リーダーのトミーは俺に対する忠義度が高く、30台である。
 ラーグの街を拠点に活動してくれれば、忠義度を稼ぐ機会もそれなりにあるはずだ。
 彼に加護(小)を付与できれば、いろいろと捗るだろう。

 俺のハーレムパーティに男を入れるかは非常に悩ましいところだが、必ずしもパーティに加える必要もない。
 俺に対する忠義度が高い優秀な冒険者がラーグの街近郊で活動してくれるというだけでも、メリットは大きい。

「騎士爵様の領地を拝見させてもらおうじゃないの!」

「ハナちゃんも、新しい街は楽しみ~」

「……開発中という、西の森に興味がある……」

 ”雪月花”のツキ、ハナ、ユキがそう言う。
 彼女たちも付いてきてくれることになった。

 彼女たちは俺に対して、色仕掛けで取り入ろうとしたことがある。
 忠義度は20台。
 金や地位を主な目的としているため、まだまだ加護の条件を満たしそうにない。

 とはいえ、彼女たちもトミーと同じくCランク冒険者である。
 有能な冒険者がラーグの街の近郊で活動してくれるだけでもメリットは大きい。

 トミーにしろ雪月花にしろ、別に俺の直属の配下となるわけではない。
 あくまで、新興貴族が治める領地で何か旨味がある仕事が転がっていないかを確認するぐらいの意味合いである。
 いい仕事がなければ、あっさりとまた別の街に移ってしまう可能性もある。
 何とか、よさそうな仕事を見繕って斡旋してやりたいところだ。

 第一候補は、先ほどユキが言及していた西の森の開発に関する仕事である。
 西の森の奥地で、ブギー頭領やジョー副頭領たちが採掘を進めているところだ。

 採掘場の近くには遺跡がある。
 かつて俺たちとブギー盗掘団が戦った時点で、多少の探索は進められていた。
 今頃は、採掘と同時並行で遺跡の探索も進められているはずである。
 また、ラーグの街から西の森の奥地への道中を整備する計画も持ち上がっていた。
 高ランク冒険者の戦闘能力は、いろいろな局面で重宝するだろう。

「トミーも雪月花も、俺の領地でもてなしてやろう。楽しみにしていてくれ。……そして、俺にとっては久々の帰還だ。懐かしい我が家が待っている」

「そうですね。私も、我が家が恋しくなってきたところでした。もちろんルクアージュもいい街でしたが……」

「うむ。寿司に、温泉。それに海水浴も。素晴らしい街でござった」

 ミティと蓮華がそう言う。
 彼女たちは、日々のんびりとそれらを満喫していた。

「ラーグの街にも、何か名物や観光名所があればいいかもなあ……」

 俺はそうつぶやく。

「あの街ならではの食材があれば、いい料理が思い浮かぶかもしれないけど……。なかなか難しいよねえ」

 モニカがそう言う。
 ラーグの街は内地にあるので、海産物は獲れない。
 街の外周部で農業は行われているが、他の地域と比べて独自の作物があるわけではない。

「そ、そうですね。でも、モニカお姉ちゃんが再現していたマヨネーズはいいかもしれませんが」

「マヨネーズか。食の都の周辺ではもう流通しているそうだが、ラーグの街周辺ではまだめずらしいはずだ。確かに、マヨネーズを売り出すのはありだな」

 本家である食の都がイチャモンをつけてきたりしないかだけは少し心配だが。

「味見ならわたくしにお任せください。あと、領地経営についても少しは貢献できると思いますわ」

 リーゼロッテがそう言う。
 彼女は食いしん坊なので、味については確かに頼りになるだろう。
 そして、伯爵家長女の知識と経験があれば、領地経営に有益な助言をもらえるはずだ。

 とはいえ、あまり多くは期待できないかもしれないが。
 ラスターレイン伯爵家は領地経営の手腕よりも水魔法の腕で王家から重宝されている貴族家だからな。
 領地経営という点では、ハルク男爵のほうが頼りになるか……?
 少領ながらも、善政を敷いていると評判である。

「ふふん。私は、ハンナやロロちゃんの近況が気になるわね!」

「ボクはクリスティちゃんかな。彼女の武闘の筋はいい。鍛錬を欠かさずやってくれていたらいいけど……」

 ユナとアイリスがそう言う。
 俺が騎士爵を授かってすぐに、大規模な登用試験を行った。
 また、その少し後には奴隷商館に赴いて有望そうな人材を購入した。

 登用試験組は5人。
 兎獣人のヴィルナ、双剣使いのキリヤ、天眼使いのヒナ、読書家のトリスタ、孤児院出身のロロだ。

 奴隷組は6人。
 猫獣人のクリスティ、元村人のハンナ、元村人のニルス、元冒険者のシェリー、元冒険者のネスター、片目を失明していた幼い少女リンだ。

 確か、俺が彼らを登用したり購入したりしたのが6月下旬。
 俺たちがラーグの街を出発してソーマ騎士爵領に向かったのが8月20日頃。
 今日は、11月1日。
 登用後に2か月ほど接した後は、2か月ほど放置していることになる。
 もちろん、俺がいなくとも仕事はあるので遊ばせているわけではないが。

 他にも、我が家で働いてくれている者がいる。
 執事のセバス、メイドのレインとクルミナである。
 さらに、サリエの付き人であるオリビアもいたな。
 彼女はせっかくハルク男爵家から付いてきたのに、今回の旅路では留守番となっている。
 今さらだが、ルクアージュまで付いてきてもらってもよかったかもしれない。

「マリアは久しぶりにパパに会いたいな!」

「私も、父にいろいろと報告しておきたいことがありますね」

 マリアとサリエがそう言う。
 2人も、俺のステータス操作の恩恵により戦闘能力や魔法の技量が格段に向上した。
 マリアの父バルダインやサリエの父ハルクも、きっと驚いてくれるだろう。

 さらには、俺との結婚の話もある。
 俺と彼らは、以前にも少しそのような話はしていた。
 当時は冗談半分の感覚だったので、まさか本当に結婚するとは思っていないかもしれない。

 まあ、少なくとも俺に悪感情は持っていないはずだ。
 結婚を申し込みに訪れて、門前払いされるということはないだろう。

「ピピッ! 当機には様々な機能があります。マスターのご意向を満たせるように、今後も最大限の提案をしていきます」

「私もユナとタカシのためなら何かしてあげるよ!」

 高性能ゴーレムのティーナとファイアードラゴンのドラちゃんがそう言う。
 人外の彼女たちであれば、人族である俺にできないこともできるかもしれない。

 ミリオンズのみんな、新たな同行者、そしてラーグの街で待機している配下の者たち。
 それぞれの力を合わせて、領地を発展させていきたいところだ。

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