【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

464話 リーゼロッテへプロポーズ

 リールバッハとの1対1の対談を終えた。
 俺はメイドさんに案内され、客室に向かう。
 中に入ると、ミティたちがくつろいでいた。

「お疲れ様です。タカシ様」

「お疲れー。リールバッハさんとの話はどうだった?」

 ミティとアイリスがそう言って、出迎えてくれる。

「ええと……。アヴァロン迷宮攻略やファイヤードラゴンの件であらためてお礼を言われたよ」

「それだけ? 他にもあったんじゃないの?」

 モニカが重ねてそう問いかけてくる。
 あるにはあったが……。
 この場で話すような内容かどうか。

「ふふん。まどろっこしいわね。リーゼ、こっちに来てタカシの前に立ちなさい!」

「わ、わかりましたわ……」

 リーゼロッテが緊張した面持ちで俺の前に立つ。
 なんだか部屋が緊迫した空気に包まれている気がする。
 これはどういうことだ?
 俺に何をしろと?

「タカシさん……。話は聞いていますよ。殿方なら、ビシッと決めてください」

「そ、そうですね。期待しています!」

 サリエとニムがそう言う。
 これは、ひょっとすると……。
 俺とリーゼロッテの結婚の話が、彼女たちに根回しされていたのか?
 俺がリールバッハと対談している間に、リーゼロッテの母マルセラあたりが話にきていたのかもしれない。
 こうなった以上、俺も腹をくくる必要がある。

「リーゼロッテ」

「は、はい。タカシさん」

 彼女がこちらに視線を向ける。
 美人であり、かわいらしさもある顔つきだ。
 水色の髪が美しい。

「俺と初めて会って間もない頃、高級なポーションを惜しみなく使ってくれたことがあったな。あれがなければ、俺は死んでいたかもしれない。あらためて礼を言わせてもらう。ありがとう」

「いえいえ。当然のことをしただけですので。それに、元はと言えばこの家から持ち出しただけのものですし」

 リーゼロッテがそう謙遜する。
 彼女は伯爵家の長女なので、金銭や資産の面では確かに余裕があったことだろう。
 とはいえ、あの頃の彼女は伯爵家から家出中の状態だった。
 そんな中で高級なポーションを迷わず使用できるのは、彼女の優しさゆえである。

「普段から、おいしい料理を幸せそうに食べているよな。その様子を見ると、こちらまで幸せな気持ちなる」

「ええと……。少し恥ずかしいですわね。好きなものを好きなだけ食べているだけですので……」

 彼女の顔が赤くなる。

「俺は、そんなリーゼとともに人生を歩んでいきたいと思っている。リーゼ……、俺と結婚してくれ!」

 俺はリーゼロッテにそう言う。
 公開プロポーズだ。
 本当は2人きりのときに言うつもりだったが、こうまでお膳立てされていてはな。

「……あらあら。まあまあ……」

 彼女の顔がさらに赤くなり、何やら挙動不審になっている。
 体がふらついている。
 そんな彼女に、ユナが近づく。

「ふふん。リーゼ、ここが踏ん張りところよ。照れている場合じゃないわ」

 ユナがリーゼロッテを支えつつ、そう言う。
 少し落ち着いたリーゼロッテを見て、ユナが彼女の背中を軽く押す。

「タカシさん。こちらこそ、ふつつか者ですがよろしくお願いしますわ」

 リーゼロッテがそう返答をする。
 よし!
 これで、プロポーズ成功だ。

 周囲からお膳立てされていたし、彼女の忠義度は高いし、ほぼ間違いなく受けてくれるとは思っていたが。
 それでも、やはり緊張するものだ。

「へー。リーゼお姉ちゃんとタカシお兄ちゃんが結婚かー」

「うふふ。英雄は色を好む……。タカシさんのハーレムの拡大は止まることを知りませんわね」

 マリアと千がそう言う。

「ピピッ! 個体名:リーゼロッテをマスター:タカシの婚約者として登録します」

 ティーナが無機質な声でそう言う。

「おめでとうございます」

「めでたいでござる!」

 サリエと蓮華がそう言う。
 他のみんなも祝福してくれている。

「ま、また奥さんが増えるのですね。婚約はわたしが先でしたが、ご結婚はリーゼロッテさんが先になるのでしょうか?」

「時期についてはまた相談しよう。リールバッハさんとも相談したのだが、俺に少し考えがある」

 具体的には、ニム、ユナ、マリア、サリエあたりと合わせて結婚式を開こうという考えだ。
 俺とニムは婚約済みだ。

 しかし、ユナ、マリア、サリエは俺と本人たちとの間でそういう話が出ただけにとどまる。
 まだ両親に結婚のあいさつには行っていない。
 この国の法律から判断すれば、本人の希望と同意により、結婚できる。
 しかし、できるだけ両親にあいさつはしておいたほうがいいだろう。

「みんな、祝福してくれてありがとう。このままお祝い会をしたいところだが、今日はもう遅い。慰労会でたくさん食べたし、海洋温泉では温まることができた。今日はもう寝ようか」

「ふふん。そうね。なら、私たちは隣の部屋に戻るわ」

「そうだね、ユナお姉ちゃん」

 ユナとマリアがそう言う。
 彼女たちは、最近よくいっしょにいる。
 同じ火魔法使いとして気が合うのかもしれない。

「隣の部屋? 全員がここで寝るんじゃないのか?」

「さすがに1つの部屋に全員は手狭ですよ。二部屋用意していただきましたので、私たちはそちらで寝ます」

 俺の問いに、サリエがそう答える。
 俺がリールバッハと面談している間に、部屋割についても彼女たちの間で相談済みだったようだ。

 俺、ミティ、アイリス、モニカ、ニム、リーゼロッテが、この部屋。
 ユナ、マリア、サリエ、蓮華、ティーナ、ドラちゃん、千が隣の部屋だ。

「では、また明日でござる」

「うふふ。わたくしもゆっくりさせてもらいましょう」

 蓮華と千がそう言う。
 彼女たちは少し仲が悪いが、同じ部屋でだいじょうぶなのだろうか。
 まあ、さすがに貴族の屋敷に招かれて暴れるほど愚かな2人でもないだろうが。

「みんな、また明日な」

 俺はそう言って、ユナやマリアたちを見送った。
 俺もゆっくりと眠らせてもらうことにしよう。

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