【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

461話 勢い余って女湯に落下

 女風呂に急行しているところだ。
 覗きを企んでいるトミーやギルバートたちを止める必要がある。
 もうずいぶんと目的地に近づいてきている。

「むっ! あれを見ろ!」

 俺は前方を指差す。
 トミーやギルバートたちが見える。
 ちょうど女湯の柵を登り始めたところのようだ。

「どうやら間に合ったようだね。しかし、ギリギリか……」

 マクセルがそう言う。
 俺たちがモタモタしていたら、彼らが柵の頂上まで到達して女性陣の裸体が覗かれてしまうだろう。

「しかし、何が彼らをそこまで駆り立てるんだ……?」

 俺はそうつぶやく。
 Cランク冒険者は、冒険者の中でも中堅上位だ。
 食っていくに困ることはないし、妻を養っていくこともできる。
 小規模な村に定住すれば、ちょっとした英雄扱いさえ受けられるだろう。

 こんな危険を冒さないでも、彼らの欲求を満たす方法はいくらでもあるのに。
 そもそも、ギルバートにはカタリーナ、ジルガにはエルメアというお相手がいたような……。
 まあ、あれからどの程度進展しているのかは知らないが。

「この世で最も愚かな質問の1つだな、我が盟友タカシ。そこに女風呂があれば、覗かずにはいられないのが男のサガというもの」

 シュタインがそう言う。

「確かにな。それもそうだ」

 いくら妻がいようと、恋人がいようと、覗きの魅力には抗えない。
 男はみな変態の狼というわけだ。

「……いや、そんなことはないと思うけど……」

 マクセルが微妙な表情でそう言う。
 そうか。
 俺とシュタインが病的な女好きなだけで、マクセルぐらいの感性が一般的だったか。
 世の中、俺のような性犯罪者予備軍ばかりではないということだ。

「へっ。バカなこと言ってねえで、先を急ぐぞ。もう時間がねえ!」

 ストラスがそう叫ぶ。
 無駄口を叩きつつもしっかりと足は進めていた。
 しかし、タイミングは本当にギリギリだ。

「ガハハ! 我、頂点に到達せり!」

「ガハハ! 俺もだぜ!」

 ギルバートとジルガが柵の上端部に手をかける。
 あとは、体を引き起こせば女風呂が一望されてしまうだろう。

「うっしゃあ! あっしらも続くぜ!」

「「「うおおおぉ!!!」」」

 トミーたち後続の冒険者たちが雄叫びを上げる。
 これは本格的にマズいぞ。
 このままのスピードでは間に合わない。
 かくなる上は……。
 
「燃え爆ぜろ。フレア……ドライブ!」

 俺は爆速で移動する。
 最上級のオリジナル火魔法だ。
 既に聖闘気”迅雷の型”を発動していたが、それに火魔法によるブーストが加わった形である。

 ギルバートたちにみるみるうちに近づいていく。
 そして、俺はそのまま彼らにパンチを繰り出す。

「おらあっ!」

「むっ!? ぐおおおっ!!!」

「タカシの旦那!? ぷごっ!」

 ギルバートとトミーが、俺の拳を受けて弾け飛んでいく。
 ヒュー。
 バシャーン!!!
 少し離れたところで水音が聞こえた。

 この海洋温泉を大きく超えて、海に落下したようだ。
 彼らも実力は確かだし、溺れ死んだりはしないだろう。

「ふん。悪は滅びた……」

 俺はキメ顔でそう言う。
 ギルバートとトミーに全力のパンチをぶつけたことにより、俺の運動エネルギーはほぼ失われた状態にある。
 今は一時的に中空に浮いたような状態となり、やや前方に移動中だ。
 じきに落下し始めるだろう。

「あれ!? 何か騒がしいと思ったら、タカシがいる!」

「ほんとだ! タカシお兄ちゃんだ!」

 俺の下方向から、そう声が聞こえる。
 やべ。
 今の俺は、柵の頂上付近にいたギルバートたちを攻撃し、中途半端に勢い余って前方に移動している。
 つまり、女湯のど真ん中上空あたりへ移動中ということだ。
 
 ミイラ取りがミイラになっているじゃねえか。
 マズいぞ。
 俺に覗きの意図はなかったのに。

 戻ろうにも、俺にはモニカの”青空歩行”のような空中移動の技はない。
 フレアドライブを応用すればあるいは……?
 だが、ぶっつけ本番で成功させるのは厳しい。
 思わぬ人身事故に繋がる可能性もある。

 ミリオンズのみんなや雪月花あたりはともかく、ベアトリクス第三王女の裸体を見てしまったら相当マズい。
 今からでも全力で目をつぶっておくべきか。
 しかし目をつぶって着地するのはかなり怖いし、まだジルガやその他数人の冒険者たちは健在だ。
 彼らのこともどうにかしなければならない。

 そうこう考えているうちに、落下が始まった。
 俺はせめて、真下あたりにだけ視線を集中させておく。
 しかし運悪くちょうどそこにいた者たちの裸体は、視界に入ってしまった。

 バシャーン!
 俺は女湯のど真ん中に着水する。

「ひゃあああっ! う、嘘ぉ!」

「み、見るななのーっ!」

 ソフィアとセリナがそう叫ぶ。
 特にソフィアの裸体はモロに視界に入ってしまった。
 彼女たちが慌てて湯船に深く浸かる。
 湯は透明なのでまだ見えなくもないが、水面の揺らぎにより光が反射しているのではっきりとは見えなくなった。

「い、今の声はセリナ!? タカシ、てめえ何やってやがる!!!」

 ストラスの怒声が柵のすぐ側から聞こえる。
 俺のフレアドライブに遅れて、彼らもこちらに到達したようだ。

「俺は何もやっていない! 事故だ! それよりも、残りの不埒者をどうにかするんだ!」

 俺はそう叫ぶ。
 無事に着水を決めたことだし、視界はかなり絞っている。
 ジルガたちが迫っている柵の一角だけを見ておく。

「うおおおおぉ! セリナに手を出すなあああぁ!!!」

 ストラスがそう叫びつつ、こちらに突進してくる。
 俺の言葉を聞いちゃいねえ。

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