【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

440話 接触、リトルクラーケン

 アヴァロン迷宮のある孤島からルクアージュへ船で戻っているところだ。
 リトルクラーケンという巨大なイカが出現した。
 俺たちミリオンズは、千とともに船の前方へ向かう。

「父上。タカシ殿をお連れしました。状況はどうなっていますか?」

「ご苦労。リトルクラーケンは、こちらのスキをうかがっておるところだ。このまま何事も起きなければ理想的だが、そうもいくまい。迅速に撃退、もしくは討伐する必要がある」

 リカルロイゼの問いに、リールバッハがそう答える。
 彼の隣には、マルセラ、リルクヴィスト、シャルレーヌもいる。
 ラスターレイン伯爵家が勢揃いだ。
 さらにーー。

「ダンジョン攻略では不覚をとった。臣下のラスターレイン伯爵家の異変に気づけなかったのは、我の落ち度だ。ここは挽回させてもらおう」

 ベアトリクス第三王女がそう言う。

「僕にできることがあれば、もちろん協力するよ」

「あはは。くらっちも仲間にしたいけど、モフモフはしていなさそうだねえ」

 ”白銀の剣士”ソフィアと”ビーストマスター”アルカもいる。

「フレンダちゃんのお友だちは、剣士さんばかりだからね~。ここは自分でがんばっちゃうよ~」

 ”魅了”のフレンダもいる。
 なかなかの強者が集まっているな。
 まあ、そもそも今回のダンジョン攻略メンバーは全員が実力者だが。
 比較的下のほうのトミーたちでも、Cランク冒険者だ。

「ふむ。彼女たちも参戦か」

「ええ。リトルクラーケンに有効打を持つ方々に声を掛けました」

 シャルレーヌがそう言う。
 ここにはいない”雷竜拳”マクセルや”解体者”ボネスも実力は確かだが、リトルクラーケンを相手にはやや相性が悪い。
 そのため、彼らには声を掛けなかった感じか。
 逆に言えば、ベアトリクス、ソフィア、アルカ、フレンダには有効打があるのか?

「せっかく来てもらったところ悪いが……。お前たちの出番はない。下がっていていいぞ」

 俺はそう言う。
 リトルクラーケンに、強者たちの手をわずらわせる必要はない。
 まずは千が試し、それでムリなら俺たちミリオンズが戦えばいいだろう。
 そう思ったがーー。

「ちっ。ハイブリッジ騎士爵よ。そなたの活躍は認めるが、我を低く見るその態度は看過できぬぞ」

 ベアトリクスがそう言う。
 言葉選びをミスったか?
 低く見たのではなくて、手をわずらわせたくないという意味だったのだが。

「へえ。ならば見せてもらおうか」

 本人がやる気なのであれば、止める必要もない。
 ベアトリクスの戦闘は、選別試験のときに少し見たことがあるだけである。
 二つ名の”剣姫”に恥じない戦闘能力があるか、改めて見せてもらうことにしよう。

「ソフィア殿、アルカ殿、フレンダ殿も我に続け。行くぞ!」

 ベアトリクスの号令のもと、彼女たちが攻撃態勢を取る。

「はあああぁ……! サザンクロス!!!」

 ベアトリクスの双剣から、十字型の大きな闘気弾が射出される。
 かつてCランク冒険者たちを一掃していた強力な技だ。

「神よ。僕に力を……。聖剣エクスカリバー!」

 ソフィアが剣を前に突き出す。
 剣の切っ先から、白く輝く光の波動が放たれる。

「あはは。モフモフたちの力を結集だ! ライオン・キング・ファング!」

 アルカの口から、牙状の闘気弾が射出される。

「愛と勇気と希望の名の元に、いっくよ~。ビューティー・セイント・アロー!」

 フレンダが弓を構え、闘気でできた矢を射出する。

 ベアトリクス、ソフィア、アルカ、フレンダ。
 いずれも、鍛え抜かれた強力な闘気弾だ。

 これをくらっては、リトルクラーケンはひとたまりもないだろう。
 俺はそう思った。
 しかしーー。

 ぬるんっ。
 リトルクラーケンの体表を滑るかのようにして、闘気弾は逸れてしまった。
 やつにダメージはない。

「なっ!? 我のサザンクロスが通じぬだと?」

 ベアトリクスが驚愕の表情を浮かべる。

「うーん。遠距離攻撃は効きにくいのかな」

「あはは。ヌルヌルの体表がジャマしてるみたいだね」

 ソフィアとアルカがそう分析する。

「ショック~。フレンダちゃんの必殺技が~」

「くっ。ならば、接近戦で切り刻んでくれるわ!」

 ベアトリクスが船上を駆け出す。
 そして、リトルクラーケンに向かって大きくジャンプした。
 思い切りがいい。
 しかし、海の魔物に海上で勝負を挑むのは無謀じゃないか?

「あっ。もう! 僕も手伝うよ!」

「あはは。仕方ないなあ」

「いくぞ~」

 ソフィア、アルカ、フレンダがベアトリクスのフォローに向かう。
 だがーー。

 ぬるんっ。
 がしっ。

 リトルクラーケンの触手により、4人とも捕らえられてしまった。
 何やってんだ。
 高ランク冒険者の名が泣くぞ。

「あはは。うひひ! ヌルヌルがくすぐったい!」

 アルカが触手に悶える。

「そ、そこはダメだよ! 勇者として、純潔は守らないと……。ふああぁっ!」

 ソフィアが悲鳴を上げる。
 リトルクラーケンの触手が、彼女の大切なところを襲おうとしているのだ。
 さらにそれは、フレンダとベアトリクスにも襲いかかろうとしている。

「にゅ~。フレンダちゃんの体に触れていいのは、白馬の王子様だけなのに~」

「くっ。イカ風情が、王族たる我を辱めるつもりか。殺せ」

 いや、ただのイカがそこまで考えていないと思うが。
 自分の縄張りに侵入した獲物を捕獲したぐらいの認識だろう。

 強者のはずの彼女たちでも、相手に有利な海上で戦うとこのザマである。
 俺たちミリオンズや千も、気を引き締める必要がある。

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