【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

402話 アヴァロン迷宮 4階層 / 他の隊の動向

 俺たちは、引き続きアヴァロン迷宮の探索を進めている。
 3階層のボスであるコカトリスを撃破したところ、また無機質な声が響いたのだ。

「最終防衛装置”ゼータナイン”か……」

「いったい何なのでしょうか? 防衛装置というからには、何か機械仕掛けの類でしょうが……」

 ミティがそう言う。
 この世界では科学が発達しておらず、代わりに魔法が発達している。
 とはいえ、機械の類がまったくないわけではない。
 ダンジョンの防衛機能の1つとして、何らかの機械装置が組み込まれている可能性はある。

「それに、最終というからには何か強力な仕掛けなんだろうね」

「き、気を引き締めていきましょう」

 モニカとニムがそう言う。
 ダンジョンも最奥に近づきつつある。
 油断せず、進んでいこう。

 俺たちはダンジョンの4階層を進んでいく。

「また石版があるぞ。『フレイムドラゴンが子どもを生む。生まれたばかりのジュニアをファイアードラゴンと呼ぶことに』だとさ」

「わたくしたちラスターレイン伯爵家が封印を維持してきたファイアードラゴンに、親がいましたとは……。まあ、生物ですしよく考えれば当然のことですが」

 リーゼロッテがそう言う。
 この世界における竜種は、かなりの強者だ。
 1匹現れるだけで国家存亡に関わる大事となる。

 とはいえ、一般人が竜種の恐怖に怯えることはあまりない。
 竜種の基本的な住処は、はるか海を超えた先にある外界だと言われている。
 人族が住まう新大陸や本大陸においては、目撃例は多くない。

 何しろ国家存亡にすら関わる強者であるため、国軍や冒険者の総力を上げて追い払うからである。
 また、ここのファイアードラゴンのように長年封印されている竜種も世界各地には数体いるらしい。

 竜種の生態は、あまりよくわかっていない。
 リーゼロッテにとっては、竜種が子どもを生むということ自体ピンと来ないようだ。

「さらに続きがある。『フレイムドラゴンは我が子の成長を待たず、旅立っていった。本来の住処である外界に戻ったのだろうか……。我々は、竜種の貴重な検体としてファイアードラゴンを研究することにした。うまくいけば、我が国の強力な戦力となるだろう』か」

「竜種を研究ですか……。無謀な者もいたものです。古来より、過ぎたる力を求めた者が身を滅ぼす事例は枚挙にいとまがないですのに……」

 サリエがそう言う。
 彼女は読書家だ。
 欲張って過ぎたる力を欲した権力者が自滅するような話を、たくさん知っているのだろう。

「もしかしますと、ラスターレイン伯爵家のご先祖様が研究をしていたのかもしれませんわ。わたくしは聞いたことがありませんが……。お父様にも聞いてみたいですわね」

 現当主のリールバッハであれば、リーゼロッテが知らないことでも知っているかもしれない。
 彼は、第一隊を率いて別の入口からアヴァロン迷宮の攻略に挑戦している。
 ダンジョン内の構造次第では、途中で合流する可能性がある。

 それに、長男リカルロイゼ、当主の妻マルセラ、次男リルクヴィスト、次女シャルレーヌが率いる第二隊から第五隊の現状も気になるところだ。
 はたして、彼らも順調にダンジョンを進んでいるのだろうか。


●●●


 タカシたち第六隊が、第四層を進んでいる頃。

 リルクヴィストが率いる第二隊は、ギガントゴーレムと対峙していた。
 彼らは西側の入口から攻略を進めている。
 彼らにとって、ギガントゴーレムは第三層の階層ボスである。

「ぬうぅ! 雷竜咆哮拳!」

「「ビッグ……バン!!!」」

 マクセル、ギルバート、ジルガたちがギガントゴーレムと熱戦を繰り広げている。

「ピピッ……。侵入者を排除します」

 ギガントゴーレムが無機質な声を発する。

「ちっ。マクセルたちの攻撃も通用しねえのかよ。キツイぜ」

「弱音を吐くななの。ストラス君」

 セリナがそう言う。

「……仕方ありませんね。ファイアードラゴン戦に向けて温存するつもりでしたが、ここは私に任せてください。上級の水魔法をお見せしましょう」

 リカルロイゼがそう言う。
 彼は水魔法専門。
 力を温存するために後方にて待機していた。

 だが、今の状況ではそうも言っていられない。
 まずは、目の前の脅威を取り除くことが先決なのだ。

「よし、みんなで詠唱時間を稼ぐぞ!」

 マクセルがそう指示を出す。
 ギルバートやストラスたちの他、同行の冒険者たちがその指示に従う。

 そして、リカルロイゼが水魔法の詠唱を始める。
 彼らは無事にギガントゴーレムを撃破できるのだろうか。


●●●


 同刻。
 リールバッハが率いる第一隊は、ドラゴンゴーレムと対峙していた。
 竜の力を模倣したゴーレムである。

 彼らは南側の入口から攻略を進めている。
 彼らにとって、ドラゴンゴーレムは第三層の階層ボスである。

「……弾けろ。エアバースト」

 ブオンッ。
 幼女イリアが放った風魔法により、強風が巻き起こる。
 ドラゴンゴーレムが若干体勢を崩す。

「……かなり強固なゴーレムだが……。俺に解体できないものはない……」

 バキッ!
 熊獣人のボネスがドラゴンゴーレムの鱗を削ぎ落とす。

「あはは。僕もいくよ。ライオン・キング・キック!」

 アルカが強烈な右ストレートを打ち込む。
 彼女の従魔たちの力を借りたパンチである。

「トドメは我に任せろ。はあああぁ……! サザンクロス!!!」

 ベアトリクス第三王女が十字形の闘気弾を放つ。
 ドラゴンゴーレムのボディはもうボロボロだ。
 そしてーー。

「ピピッ……。ボディの損傷が許容限度を超えました。活動を停止します……」

 ドラゴンゴーレムは最後に無機質な声を発し、停止した。

「ふむ……。我の魔力を温存することができたな。皆の尽力のおかげだ。礼を言う」

 リールバッハがそう言う。
 彼は上級水魔法の使い手として、ファイアードラゴン戦に備えて力を温存している。
 多少の援護くらいはせねばならないかと思っていたが、終わってみればそれも必要なかった。
 彼の想定以上に、第一隊は精鋭揃いである。

 第一隊のダンジョン攻略は順調だ。
 順調に思われた。
 しかしーー。

「(うふふ。わたくしも力を温存してここまで来れました。リールバッハには闇の瘴気を仕込み済み……。そして、ベアトリクスやアルカたちも疲弊気味……。この上ない理想的な状況です)」

 内心でそう考えている女性がいる。
 彼女の名はーー。

「(うふふ。ダンジョン攻略メンバーの選別試験には、本来であれば普通に参加するつもりでしたが……。まさか、あのタカシさんたちが来るとは想定外でした。おかげで、がんばってキャラをつくるはめになりました)」

 彼女の名前はセン。
 またの名を、ちぃちゃんという。

「(いい年して”ちぃちゃん”とか、ムリがあるんですよ。タカシさんも変な目で見ていましたし……。でも、結果的にはバレなかったのですからよしとしますが)」

 センには、とある目的がある。
 その目的のためなら、手段は問わない。

 ハガ王国では、国王夫妻や六武衆に闇魔法をかけてサザリアナ王国との武力衝突を起こさせようとした。
 ディルム子爵領では、紅蓮の水晶を盗み出すためにひと騒動を起こした。
 そして、今回の件では”ちぃちゃん”というキャラ付けでダンジョン攻略メンバーに潜り込んだ。

「(目的のためなら何でもします。わたくしの恩人の”あの方”を救うために……。この国の民には、申し訳ありませんが犠牲となってもらいましょう)」

 センの魔の手が、リールバッハに向かおうとしている。
 既に闇の瘴気を仕込まれ済みのリールバッハや、疲弊気味のベアトリクスやアルカたちは、彼女の企みを止めることができるのか。
 それともーー。

 ダンジョン内に、嫌な気配が漂い始めていた。




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