【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

334話 スキル強化の整理 前編

 食事会は無事に終了した。
ミリオンズ、使用人組、登用組、奴隷組。
それぞれ、今後も仲良くやっていけそうな手応えを感じた。

 まあ、個人レベルで多少相性が悪い者ぐらいはいるかもしれないが。
ハイブリッジ家全体を揺るがすほどの致命的な仲の悪さでなければ、問題はない。

 今は、俺たちミリオンズで屋敷のリビングにてくつろいでいるところだ。

「ふう。有望な人材をたくさん確保できてよかったよ。騎士爵として、順調な滑り出しができたと言っていいだろうか」
「大きな問題はないと思います! 強いて言えば、各自のタカシ様への忠誠心が足りないような気はしますが……」

 俺の言葉を受けて、ミティがそう言う。

 俺の加護付与スキルの副産物により、登用組や奴隷組の忠義度は測れている。
おおむね30前後くらいだ。
なかなかの高水準だと言っていいだろう。

 ただし、その忠義度があまり態度に出ない者もいる。
その筆頭が、雷双使いのキリヤだ。
彼の忠義度は25を超えているのだが、言葉遣いなどはまったく丁寧ではない。

 また、猫獣人の犯罪奴隷クリスティについてはまだまだ忠義度が低めだ。
風呂と食事会を通してそれなりには上がったが、まだ20足らず。
言葉遣いなども相変わらずあまり丁寧ではない。

 ミティはそのあたりを気にしているのだ。

「まあ、彼らの内心における忠義は把握しているから問題ないさ」
「そうだね。ボクも、今ぐらいの関係でいいと思うよ」

 アイリスがそう言う。
彼女は、あまりそういうことを気にしないタイプだ。

 目下の者から多少無礼な態度を取られても気にしない。
逆に、彼女が目上の者に接するときも、ごく普通の気安い態度で接する。
良くも悪くも、相手によって態度を変えない。

「人が増えたから、料理のつくりがいがあるね。手伝ってくれる人もいるから、それほど大変でもないし……」

 モニカがそう言う。
彼女は、週3ぐらいのペースでハイブリッジ家の晩餐をつくってくれている。
また、休日にはモニカが思いつきでデザートなどをつくってくれることもある。

 晩餐やデザート作りは、レインやクルミナが手伝ってくれている。
さらに、ハンナ、ロロ、リンらもそこに加わった。

 ちなみにモニカが晩餐をつくらない日は、レイン、クルミナ、ハンナ、セバスあたりが用意してくれることになっている。
さすがにモニカほどではないが、なかなかしっかりした料理が出される。

「そ、そうですね。わたしも、畑仕事を手伝ってもらえて助かっています」
「ふふん。私は、馬の世話をロロちゃんやリンちゃんに教えているわよ。なかなかスジがいいわ」

 ニムとユナがそう言う。
ニムの家庭菜園や、ユナの馬の世話については、仕事が半分で趣味が半分のようなイメージだ。
まったくの任せきりにするのは寂しいだろうが、適度に作業を負担してもらうのはありだ。
本業の冒険者活動により専念できるようになる。

「さて。そろそろ、次の旅も見据えていかないといけない。それにあたって、各自が最近強化してきたスキルを共有しておきたいと思う」

 俺はそう言う。
ブギー盗掘団の捕縛作戦などを通じて得たスキルポイントは、それぞれと相談して少しずつ割り振ってきていたのだ。
順番に思い出して整理していこう。

「ええと。ミティが伸ばしたのは……」
「腕力強化ですね! レベル4から5に伸ばしていただきました。風魔法も便利で捨てがたかったですが……」
「そうだな。ビッグスメリーモンキー戦の後には、風魔法で匂いを吹き飛ばしてくれたしな」

 ミティの風魔法のスキルレベルは3。
中級のジェットストームまで使える。
強力な風の竜巻により、ビッグスメリーモンキーの異臭を吹き飛ばしてくれたことがあった。

 風魔法をレベル4に伸ばせば、さらに強力な風魔法が使えるようになるだろう。
しかし、ここは腕力強化を伸ばすことにしたのだ。

「有望な人材も増えましたし、集団としての柔軟性はどんどん向上しています。ここは、私だけにしかできないことに特化して伸ばしていこうと思ったのです」

 ミティがそう言う。
彼女の最大の長所は、もちろん圧倒的な腕力だ。
もともと強めであることに加え、パワー関係のスキルを重点的に強化しているからな。

 また、休日には精力的に筋トレをしている。
巨石を背中に置いた状態での腕立て伏せは、迫力がある。

「頼もしいな。ミティの豪腕には期待しているぞ」

 彼女は、ついこの前に腕力強化をレベル5に伸ばした。
これで彼女のパワー系のスキルは、腕力強化レベル5と闘気術レベル4になった。
それらを十二分に活かせる、槌術レベル5や投擲術レベル4のスキルもある。

 もはや、彼女の豪腕を止められる者はこの国、いやこの大陸にはいないのではなかろうか。
さらに、闘気術や投擲術などに伸びしろが残っていることも驚異的だ。

「お任せください。むんっ」

 ミティがそう意気込む。
かわいくも強大な戦闘能力を持つ彼女がいてくれて、本当に助かる。
戦闘以外に、鍛冶でも貢献してくれているしな。

「次は、アイリスだな。アイリスが伸ばしたのは……」
「聖魔法だね。レベル3から4に伸ばしてもらったよ」

 アイリスがそう言う。

「聖魔法レベル4はパニッシュだったな。俺も合わせて強化したし。確か、闇の瘴気を帯びている魔物や悪人に対して有効な光の波動を放つ魔法だな?」
「そうだねー。当面はレベル3で十分だと思っていたんだけど、盗掘団の捕縛作戦のときの失敗もあるしね。それに、将来的に聖女認定にも挑戦したいし」

 盗掘団の捕縛作戦の際には、俺とミティが闇の瘴気に汚染されて暴走してしまった。
また、アイリスやニムなども少し汚染され、行動に若干の変化が見られた。
聖魔法の力量がもっとあれば、事前に異変に気づくなどして結果も変わったかもしれない。

「俺とアイリスで、合同魔法の練習もしていかないとな」
「うん。上級同士の聖魔法の合同魔法が使えるようになれば、ほとんどの闇の瘴気は祓えるだろうね。がんばっていこう」

 アイリスがそう言う。
彼女は、抜群の武闘戦闘能力、治療魔法、聖魔法などで多大な貢献をしてくれている。

「次はモニカだ。モニカが伸ばしたのは……」
「雷魔法をレベル4から5に伸ばしてもらったね」

 モニカがそう言う。

「ああ。雷魔法レベル5は、雷魔法創造だったか。その点は、火魔法や土魔法と同じだな」
「うん。火や土ほどには応用力がないかもしれないけど。攻撃範囲、威力、詠唱時間あたりをうまく調整して使い勝手のいい雷魔法を創っているところだよ」

 各種属性魔法の創造は、モニカが言うように攻撃範囲、威力、詠唱時間などをうまく調整して創り出すことになる。
あとは、攻撃対象、消費MP、特殊効果なども影響する。

 攻撃範囲が広く、威力が高く、詠唱時間が短く、攻撃対象は限定されず、消費MPは少なく、何らかの特殊効果が付いている。
そんな魔法が創り出せれば文句ないが、もちろんそう簡単にはいかない。
バランスを取らないと、うまく魔法を創り出せない。

「使い勝手のいい魔法を創り出すのは、なかなか骨の折れる仕事だ。俺も苦労してきた」

 俺のオリジナル火魔法として、百本桜、フレアドライブ、バーンアウトなどがある。

 百本桜は、ファイアーボールを基礎として創り出した魔法だ。
威力を少し落とし、消費MPを増やす代わりに、数多くのファイアーボールを同時に放つことができる。
もちろん、俺の魔力のステータスの高さも関係している。

 バーンアウトは、自身に向けられた矢などを燃やし尽くすイメージで創り出した魔法だ。
対象を非生物に限定するイメージとする代わりに、火力が大幅に増している。
ディルム子爵領を襲撃した際には、放たれた鉄球を一瞬にして蒸発させた。

「がんばるよ。また相談するかもしれない」
「わかった。いつでも言ってくれ」

 モニカは現時点でも十分に強力な戦力だ。
雷魔法だけでなく、格闘にも優れている。
加えて、聴覚にも優れ、料理も上手だ。
今よりも強力な雷魔法がさらに加われば、鬼に金棒だ。

「さて。次は、ニムだな」
「わ、わたしは、いろいろと伸ばしていただきました。腕力強化レベル2を3に、脚力強化レベル2を3に、体力強化レベル2を3に、そして栽培術レベル2を3にですね」

 ニムがそう言う。
彼女の最大の武器は、土魔法だ。
しかし、土魔法は既に最大のレベル5にまで伸ばしている。

 そうなると、次に強化候補に挙がるのは基礎ステータス向上系のスキルだ。
腕力、脚力、体力あたりを伸ばすと、彼女がロックアーマーを装着したときの身のこなしが向上する。
MPや魔力あたりを伸ばすと、ストーンレインやゴーレム生成などによる攻撃能力が上がる。

 今回の場合は、前者を選んだわけだ。
これにより、彼女はミリオンズ内でも非常にバランスよく高い身体能力を持つことになった。
彼女の身体能力から繰り出される、巨岩をまとった突進は驚異的である。

「ニムは、接近戦でも遠距離戦でも、頼りになる存在だな。期待しているぞ」
「は、はい。がんばります!」

 ニムが元気よくそう言う。
彼女は、高い防御力から安定した戦闘能力を誇る。
また、彼女の家庭菜園から採れる野菜もおいしい。
彼女の今後の成長が楽しみなところだ。

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