【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

332話 風呂 女性組

 タカシやミティたちミリオンズの入浴に続き、セバスやキリヤたち男性組の入浴が終わった。
次は、女性組である。

 メイドのレインとクルミナ。
登用試験突破者のヴィルナ、ヒナ、ロロ。
そして奴隷のクリスティ、ハンナ、シェリー、リン。
みんなが服を脱ぎ、浴室に入る。

「すごいですね。噂には聞いたことがありますが。これがお風呂というものですか」
「…………(ジロジロ)」

 大きな浴槽にお湯がはられているのを見て、ヴィルナとロロが興味深そうにしている。

「ひ、ひいぃ。湯気が湧いています。怖いですぅ」
「はっ。こんなの、水浴びといっしょだ! いくぞっ!」
「私もいくよ!」

 リンは初めて見るお風呂にビビっている。
そんな彼女の手を引いて、クリスティが風呂に向かう。
ヒナも負けじと付いていく。

 ザバーン!
3人が風呂に飛び込む。
しかしーー。

「あ、熱いですぅ。ひいぃ。私は出ますぅ」
「はっ。この程度、なんてことねえよ……!」
「アチチ!」

 男性組が風呂から上がった時点で、少しお湯は冷めていた。
しかし、タカシの火魔法によりきちんと再加熱されていたのだ。
ただ、少し火加減を誤り、熱めの温度となってしまっている。

 リンとヒナは、湯船からすぐに撤退した。
クリスティは少し粘ったが、やはり同じように撤退した。

「みなさん! 湯船に入る前に、きちんと体を洗いましょう!」
「こちらにタオルを用意してありますので~」

 レインとクルミナがそう指示を出す。
このハイブリッジ家に長く仕えているのは、この2人だ。
彼女たちがこの場を取り仕切るのは自然なことである。
クリスティやヒナの暴走に遅れは取ったが、まだ取り返せる。

「わかりました。レインさん、クルミナさん」
「それにしても、立派な浴室だねえ。まさか奴隷に落ちてから風呂に入ることになるとは。人生はわからないもんだ。ゲホッ」

 ハンナとシェリーがそう言う。

 ここで、彼女たちの序列について整理しておこう。
男性組と同じく、やや微妙な上下関係がある。
年齢、身分、採用時期がまちまちだからだ。

 年齢は、ロロ(6歳)≦リン(7歳ぐらい)<クリスティ≒レイン≒クルミナ(10代中盤)<ハンナ≒ヴィルナ≒ヒナ(10代後半)<シェリー(30代)。
身分は、リン(隷属契約の奴隷)<クリスティ=ハンナ(主従契約の奴隷)<シェリー(条件付き主従契約の奴隷)<ロロ=レイン=クルミナ=ヴィルナ=ヒナ(平民)。
採用時期は、リン=クリスティ=ハンナ=シェリー(今日)≦ロロ=ヴィルナ=ヒナ(1週間ほど前)<レイン=クルミナ(3か月ほど前)となっている。

 総合的に考えれば、リン<クリスティ≦ハンナ<シェリー<ロロ<ヴィルナ≒ヒナ<レイン≒クルミナといった上下関係が妥当だろうか。

 奴隷であるリン、クリスティ、ハンナ、シェリーの4人。
平民であるロロ、ヴィルナ、ヒナ、レイン、クルミナの5人。
この間には、身分上の線引があると言ってよい。

 とはいえ、条件付き主従契約の奴隷である30代のシェリーと、孤児院出身の6歳の少女ロロの間に、そこまで厳格な上下関係があるというのも実態と乖離する。

 この9人については、今後の仕事ぶりに応じて周囲の目も変わってくるだろう。
現時点での上下関係は、あまり意味をなさないようになってくる可能性がある。

 とりあえず今は、レインとクルミナの指示のもと、それぞれが体を洗っている。
そして、終えた者から湯船につかり始める。

「なるほど……。これはいいものですねえ」
「はっ。悪くねえな。はふう……」

 ヴィルナとクリスティがリラックスした様子でそう言う。
クリスティは、張り詰めていた緊張が解けつつある様子だ。

「あ、温かいですぅ。本当に私なんかが入っていてもいいんでしょうか……」

 リンがそうつぶやく。
彼女は隷属契約の奴隷である。
その上、年齢もロロの次に低い。
この集団の中で、最も立場が低いのは彼女と言っていいだろう。

「構いません! きちんと疲れをとって、明日以降の仕事に備えましょう!」
「お館様は優しいお方ですから~。誠意をもって仕えていれば、今後もこのような厚遇を受けさせてもらえますよ~」

 レインとクルミナがそう言う。

 彼女たちは、セバスの紹介によりタカシのもとに仕えている。
当初のタカシは貴族ではなく、一介のCランク冒険者に過ぎなかった。
ハルク男爵やセバスが彼を高く評価しているのを受けて、自身の経験を積むのも兼ねて仕え始めたのだ。

 それが、あっという間にBランクに昇格し、騎士爵までいただいたではないか。
ハルク男爵やセバスの人を見る目は確かだったということだろう。
そして、そんな彼らの言うことに従った彼女たちも、いい判断をしたと言っていい。

 最初は安月給だったが、叙爵を機に少し昇給してもらった。
追加人員としてロロ、ハンナ、リンたちが来た。
彼女たちは、レインやクルミナの部下となる。
待遇や権限が向上して、ますます仕事にやる気を出しているところである。

「厚遇と言えば、この後にお食事も用意していただけるとおっしゃっていましたね」

 ハンナがそう言う。

「そうだな。お館様や奥方様がお残しされたものを、恵んでもらえるのかもしれない。ゲホッ」
「はっ。さぞやいいものを食べているのだろうな。残り物とはいえ、少し楽しみだ」

 シェリーとクリスティがそう言う。
普通の奴隷に与える食事と言えば、粗末なものだ。
食事の量を極端に少なくしたり、味付けを意図的にひどいものにしたりすることなどは、サザリアナ王国法によって禁じられている。
しかし、だからと言って所有主とまったく同じ食事を与える物好きはあまりいない。

「お館様は、私たちと同じ食事をとられます! 生活リズムの違いもあるので、毎日私たちと同じ時間同じ場所でとられるわけではありませんが」
「今日は初日ですし、みなさんも含めていっしょに食べることになると思いますよ~。モニカ様やニムさんが準備していました~。私も手伝いましたし~」

 レインとクルミナがそう言う。
タカシとミティが奴隷商館を訪れている間に、彼女たちは彼女たちでやるべきことをやっていたのだ。

「それは楽しみね! いっぱい食べるぞー!」
「…………(じゅるり)」
「うふふ。私も楽しみです。キリヤ君の喜んでいる顔が目に浮かびます。待ち遠しいですね」

 ヒナ、ロロ、ヴィルナが期待に胸を膨らませつつ、そう言う。

 そんな感じで、女性組の入浴時間は過ぎていった。

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