【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

238話 連れ去られたシトニとクトナ ”ビーストマスター”アルカとの出会い

 ディルム子爵が率いてきたアカツキ総隊長を始めとする隊長格たちを撃破した。
ディルム子爵は、一般兵たちを連れて逃げ去っていった。

 撃破した隊長たちは、せっかくなので捕虜として確保した。
アカツキ総隊長。
若き天才カザキ隊長、60歳を超えていまだ現役のダイア隊長。
戦闘狂のガーネット隊長、不死身のオウキ隊長。
捕虜は以上の5人だ。

「ちっ。お前ら、情けねえぞ。揃いも揃って」
「へへへ。そういうアカツキ総隊長こそ。まさかあなたが負けるとは思いませんでしたぜ」
「ほっほっほ。若い芽が育っている。儂が子どもに負けるとはの」
「ひいい。岩怖い、岩怖い」
「我のフルプレートアーマーを貫く技があるとはな。世間は広いものよ」

 アカツキ、カザキ、ダイア、ガーネット、オウキがそう言う。
捕虜にはしたものの、それぞれ落ち着いているものである。
さすがは領軍の隊長たち。
精神力も一流といったところか。

 ……1人は、何やら取り乱しているが。
何があったのだろうか。
後でミティたちに戦闘の内容を聞いてみよう。

 俺たちは彼らを引き連れて、意気揚々とウォルフ村に戻り始める。
ディルム子爵たちは退却したはずではあるが、反転攻勢に出てこないとも限らない。
念のため、村の戦士たちの一部に村の周囲の警戒は継続してもらっている。
まあ杞憂だろうが。
主戦力の隊長格たちの身柄はこちらにある。

 村に着いた。
村の戦士たちがアカツキ総隊長たちを連れていく。
牢に捕らえておくそうだ。
まあせっかく倒したのに、解放してまた暴れられたりしたら困るしな。

「さて……。俺たちはどうしようか」

「ふふん。まずは村を一回りして被害状況を確認しましょう。念のためにね」

 俺の言葉に、ユナがそう答える。
大量の兵が村になだれ込んだ様子はないので、大きな被害はないはずだが。
数人程度の侵入は許しているかもしれない。
ユナの言うとおり、念のために村を一回りしておくべきだろう。

 俺、ユナ、ミティ、アイリス、モニカ、ニム。
6人で村を歩いていく。

 いつもと変わらない風景だ。
家屋などに被害はない。
戦士ではない村人は警戒のために家に閉じこもっているので、閑散とはしているが。

 シトニとクトナの家の前を通る。
家の近くで、少女がレッドウルフとたわむれていた。

「やれやれ。こんな事態だというのに、のんきなことだなあ」

「ふふん。本当にね。シトニとクトナ、どっちかしら?」

 俺たちは少女に近づいていく。
……ん?
よく見ると、シトニでもクトナでもどちらでもない。

「あはは! いっけー! うるふっち!」

 だれだろう。
10代後半くらいの少女だ。
満面の笑みでレッドウルフと遊んでいる。

「だれ? ボクは知らない人だけど。ユナは知ってる?」

「ふふん。私も知らないわね」

 アイリスの問いに、ユナがそう答える。
ユナが少女に近づいていく。

「ちょっと! 人の家の前で何をやっているのよ!」

「ん? あはは。こんにちは。君たちは村の人?」

「そうよ! 見慣れない顔だけど、あなたはだれなの?」

「僕はアルカ。ちょっと旅行でこの村に来たんだ」

 この時期に旅行?
違和感がある。
それに、アルカという名前はどこかで聞いたような気がする。

「そうか。俺はタカシ。少し聞きたいんだが、この家の住人がどこへ行ったか知っているか?」

 この家の住人は、シトニとクトナだ。
彼女たちは戦士ではないので、この家で待機していたはず。

 他にも両親と弟がいるが、彼らは戦士なので先ほどまでの戦いに参加していた。
戦闘終了後に元気に歩いているのを見かけた。
今ごろは村の周囲を警戒する任務にあたっているはず。
彼らについては心配ない。

「あはは。もちろん知っているよ。ウィリアム君が連れ去っていったね。ディルムさんからそういう指示を受けていたから」

「なに……? 連れ去った?」

「あはは。いわゆる誘拐ってやつだね」

 アルカが悪びれる様子もなく、そう言う。

「ふ、ふざけないで! その口ぶりだと、あなたもディルム子爵の配下なのでしょう!? 知っていることを、洗いざらい話してもらうわよ!」

 ユナがそう言って、臨戦態勢に入る。
俺やミティも、合わせて戦う構えをとる。

「あはは。僕はもう当初の依頼と目的を達成したし、戦う理由はないんだけどなあ」

「そ、そんな言い分は通りませんよ! ボコボコにしてあげます!」

 ニムがそう言って、すごむ。

「仕方ない。おいで。くまっち。とらっち」

 アルカがそう言って、パチンと指を鳴らす。
いわゆる指パッチンだ。

「がうっ!」
「ぐうう……!」

 クマとトラが虚空から現れた。
クマはリトルベアに似た感じのクマだ。

「召喚魔法……? めずらしい魔法を使えるんだね。キミは」

 アイリスがそう言う。

「あはは。僕の仲間たちは強いよ。君たちに勝てるかな?」

 アルカがそう言う。

「がうっ!」

「むっ!」

 クマが俺に攻撃を加えてくる。
なかなか鋭い攻撃だ。
俺は間一髪でそれを避ける。

「あはは。くまっちは時間稼ぎを頼むよ。後で呼び戻すからね。さあ、とらっちは僕を乗せて逃げよう。うるふっちもいっしょにね」

 アルカはそう言って、トラの背中に乗った。
レッドウルフを1匹乗せている。
逃げるつもりのようだ。
トラが走り出す。

「みんな。このクマは俺に任せろ。みんなでそのアルカとやらを捕縛してくれ」

「おっけー!」
「了解!」

 アイリスとモニカがそう返事をする。

「タカシ様。くれぐれもお気をつけて」

「ふっ。この俺が、今さらリトルベアごときに遅れをとるとでも? すぐに合流するから行ってくれ!」

 ミティの言葉に、俺はそう答える。
リトルベアなら、今までパーティで何度も討伐してきた。

「わ、わかりました。いきましょう!」
「ふふん。任せるわ!」

 ニムとユナがそう言う。
ミティ、アイリス、モニカとともに、5人でアルカを追って駆け出す。

「あはは。追いかけっこだね。楽しいなあ」

 アルカは余裕の表情だ。
はたして、超スピードのアイリスやモニカから逃げ切れるかな?
ユナ、ミティ、ニムの遠距離攻撃もあるぞ。

「がうっ!」

「おっと」

 俺が少しよそ見をしているスキを突いて、クマが攻撃をしてくる。
まずは、こいつを倒さないと。

「中級以上の魔物とのソロでの戦いは初めてだな。まあ、俺の敵ではあるまい」

 剣術、火魔法、格闘。
それに、風魔法や水魔法もある。
どれで倒そうか。

 せっかくだし、チャンスがあれば”五十本桜”を披露してやろうかな。
先ほどのアカツキ戦では、彼になかなかスキがなくてうまく使えなかったのだ。
さらにその上の”百本桜”もあるが、さすがに威力が高すぎる。
詠唱時間も長くなるし、使いどころは慎重に選ぶ必要がある。

 いずれにせよ、クマ畜生ごときに俺が負けることはありえない。
さっさと倒して、ミティたちに合流することにしよう。

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