【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

208話 ミリオンズvsエドワード司祭 前編

 エドワード司祭のところにやってきた。
俺、アイリス、ミティ、モニカ、ニムの5人だ。
エドワード司祭は、街中の教会にいた。

 最近になって建てられた教会である。
さほど大きくはないものの、しっかりとした建物だ。
どことなく厳かな雰囲気もある。

 普段は、ここで聖ミリアリア統一教の教えを説いたり、治療魔法をかけたりしているらしい。
今はエドワード司祭1人だ。

「エドワード司祭。こんにちは」

「ん? おお、タカシ君とアイリス君ですか。それに他のみんなも」

 エドワード司祭がこちらを向き、そう言う。

「今日はエドワード司祭に大切な話があります」

「なんでしょうか?」

 俺はひと呼吸置き、姿勢を正す。

「アイリスさんを俺にください!」

「う、うむ。それは、結婚するという話ですね? 大会での公開プロポーズを見ていましたし、そういう話もあるかとは思っていましたが……」

 そういえばそうだ。
俺とアイリスは、観衆の前で互いにプロポーズをしたのだった。
当然、エドワード司祭も俺とアイリスの結婚についての覚悟はしていたのだろう。

「一応聞いておきますが、アイリス君も同じ気持ちですね?」

「そうだね。ボクもタカシと結婚したいと思っているよ。エドワード司祭には、結婚式で祝福をあげてほしい」

「……そうですか。何となく、君たちが結婚することもあるのではないかと思っていました。ガルハード杯の前後でも、相性がよさそうでしたからね」

 エドワード司祭がそう言う。
彼が言葉を続ける。

「しかし、タカシ君はミティ君と既に結婚しているでしょう。アイリス君は第二夫人でいいのですか? それに、パーティメンバーも女性ばかりが増えているようですが」

「ボクは第二夫人で構わないと思っているよ。今後、さらに増えるかもしれないのも理解はしてる」

 モニカのことだろう。
ニムやマリアは、さすがにまだまだ先の話だ。

「まあアイリス君本人がそう言うのであれば、構わないでしょう。タカシ君の力量なら、複数の妻を守っていくことも可能でしょうし。私としては強く反対はしません。……が」

「が?」

「私はアイリス君の両親とも旧知の間柄です。少し慎重に見極めたいと思う気持ちもあります」

「えー。そんなこと言わずに、サクッと認めてよー」

 アイリスがぶーたれる。

「いえ。何も無理難題をふっかけようというわけではありません。私に君たちの実力を見せてください」

「実力? ボクはエドワード司祭に勝ったじゃない」

「ええ。アイリス君の成長は見事でした。今回は、タカシ君や、君たちのパーティとしての腕前を見せてもらいたいと思います。アイリス君とタカシ君が幸せになるためには、パーティとしての実力も大切ですからね」

「エドワード司祭の意向は理解しました。具体的には何をすればいいのでしょうか? 模擬試合ですか?」

 俺は彼にそう問いかける。

「そうですね。君たち5人と、私1人の模擬試合をしましょう。5対1での実戦形式です」

「……さすがになめ過ぎじゃない? ボク1人でも、勝ったのに」

 確かに、アイリスの言う通りだ。
彼女1人でもエドワード司祭には勝ったのだ。
俺たち5人対エドワード司祭1人なら、勝負になるはずがない。

「それはその通りですが。アイリス君も知っている通り、私の本来のメイン武器は”こちら”でして……」

 エドワード司祭がそう言って、棒を取り出す。
長さ2mぐらいの頑丈そうな棒だ。
アイテムバッグに収納していたようだ。

「えっ。武闘家が本業ではなかったのですか?」

「そうですね。まあ、もちろん武闘も十分に鍛えてはいますが」

 エドワード司祭は、棒術使いだったのか。
ステータス操作でも、棒術というスキルは見かけたことはある。
普段の魔物狩りでは剣・槍・ハンマーなどのほうが有用だと感じて、スルーしていたが。

 彼は神官だ。
無用な殺生は避けているのだろう。
そのために、あえて殺傷力の低い棒術を鍛えているといったところか。
さほど危険性の高くない魔物を追っ払うときや、軽犯罪者を制圧するようなときには、剣術などよりも棒術が役立つ局面もあるのだろう。

「私は棒術で闘います。あとは、気弾や治療魔法も併用します。実戦形式ですね。君たちも、実戦に近い戦闘方法できてください。ただし、鋭い刃物や殺傷力の高い攻撃魔法だけはさすがにさけてください。万が一ということもありますので」

「わかりました。俺たちの力を見せてあげましょう。なあ、みんな?」

「うん。そうだね」

「私もがんばります!」

 アイリスとミティがそう言う。
モニカとニムもやる気を見せてくれている。
エドワード司祭には悪いが、あっさりと勝たせてもらおう。


●●●


 エドワードとの模擬試合が始まる。
会場は、小さめのコロシアムを借りた。
メルビン杯が行われた場所だ。
今日は使用者がいなかったため、俺たちの貸し切りとなる。

「さて。さすがに5対1です。最初から本気でいかせてもらいましょう」

 エドワード司祭がそう言う。

「右手に闘気。左手に聖気。……聖闘気”守護”の型」

 彼が聖闘衣をまとう。
これで、彼の耐久力は格段に増した。
生半可な攻撃は通じないだろう。

「みんな。いくぞ! 準備してくれ!」

 俺はみんなにそう合図をする。
みんながそれぞれ、闘気を高めていく。

「疾きこと風の如し」
「疾きこと風の如し」
「侵掠すること火の如し」
「動かざること山の如し」
「聖闘気、迅雷の型、豪の型、流水の型」

 順に、俺、モニカ、ミティ、ニム、アイリスだ。
これで戦闘準備は整った。

「アイリス! まずは俺たちから仕掛けるぞ!」

「おっけー!」

 俺とアイリスでエドワード司祭に駆け寄る。

「ワン・エイト・マシンガン!」
「迅・砲撃連拳!」

 俺が18発の蹴り。
アイリスはパンチの連撃だ。
まずはこれで牽制をする。

「連撃の速度はなかなかのものですが。威力が足りていませんよ」

 エドワード司祭は平然とした顔でそう言う。
俺の攻撃はともかく、アイリスの攻撃はかなりの威力である。
多少のダメージは受けているようだが、耐えきれないほどでもないようだ。

 エドワード司祭がこちらの攻撃を耐えつつ、反撃の構えを取る。
しかし。

「スキあり!」

 ミティがエドワード司祭の後方から現れる。
俺とアイリスが彼の気を引いている間に、うまく回り込んだようだ。
そのまま、ミティが彼の首を脇に抱えて締め上げる。
いわゆるヘッドロックだ。

「ぐぬ!」

「さあ選んでください。このまま私に絞め落とされるか。それとも他の4人にやられるか」

 ミティがそう言う。
エドワード司祭にとっては、難しい選択だろう。
俺やアイリスもさらなる追撃を狙う。

「そのどちらでもないですよ。聖闘気、豪の型。……はっ!」

「きゃあっ!」

 エドワード司祭がミティを振りほどく。
そして。

「ぬうう! 十六夜連棍!」

「うっ!」

 エドワード司祭の棒術での攻撃により、ミティがふっ飛ばされる。

 ミティは闘気によってガードしていた。
大きなケガは負っていないようだ。
しかし、この試合への復帰は微妙かもしれない。
エドワード司祭にスキがあれば、俺の治療魔法でミティを治療することも可能だろうが。

「ふふふ。さあ、次はだれがかかってきますか? 順番に倒していきましょう」

 エドワード司祭がそう言って、不敵な笑みを浮かべる。
不用意にスキを見せれば、やられてしまうだろう。
ミティの治療のタイミングは慎重に判断する必要がある。

「くっ。棒術使いと戦うのは初めてだが、相当に厄介だな」

「でも、まだ私たちは4人いるよ」

「そうだね。ボクたちの力を合わせて、勝ちに行こう」

「わ、わたしもがんばります!」

 俺、モニカ、アイリス、ニムがそう言う。
まだまだ、模擬試合は始まったばかりだ。
工夫次第で勝つことも可能だろう。
気を引き締めよう。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品