【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

203話 2回戦 ニムvsジルガ

 メルビン大会の続きだ。

「続きまして、2回戦第4試合を始めます! ニム選手対、ジルガ選手!」

 司会の人がそう叫ぶ。

「で、では、行ってきます」

「がんばってね! ニムちゃん」

「悔いのないように全力を出し尽くしてくれ」

 モニカと俺がそう言う。

「わ、わかりました。がんばります!」

 ニムがコロシアムのステージに上がる。
対戦相手のジルガと対峙する。

「両者構えて、……始め!」

 試合が始まった。

「たとえ子どもだろうと、容赦はせん! いくぜ! 先手必勝!」

 ジルガがそう言って、ニムに駆け寄る。

「ぬうう! マシンガンパンチぃ!」

「くっ。なんの!」

 ジルガとニムが激しい攻防を繰り広げる。
ニムはこの1か月でかなり実力を付けた。
しかし、さすがにジルガには少し及ばないようだ。
苦戦している。

「ガハハ! 今のままでは俺には勝てんぞ! 嬢ちゃんの全力を見せてみろ!」

「わかりました。わたしの本気を見せてあげましょう」

 ニムが闘気を解放する。

「剛拳流、動かざること山の如し」

 ニムの奥の手だ。
耐久力が大幅に向上する。

「ガハハ! その技を待っていたぜ! 俺の全力と勝負だ!」

 ジルガが腕と拳に闘気を集中させていく。

「いくぜ! ギガント……」

「負けません! はああ……! ”鉄心”」

 ニムが闘気の出力をさらに上げて、防御を固める。

「ナックル!」

「…………!!!」

 ジルガのパンチがニムにヒットする。
彼女の闘気を込めたガードにより、威力は大幅に減退しているはず。

「き、効きませんね」

 ニムがそう言う。
やはり、あまり効いていなかったようだ。
……いや、あれはやせ我慢かもしれない。
口元が引きつっている気がする。

「ガハハ! 俺の奥義を耐えやがるとは。将来有望な嬢ちゃんだぜ!」

「そ、それほどでも……」

 ジルガの言葉に、ニムが頬を緩める。

「だが! 今回は俺が勝たせてもらうぜ! 嬢ちゃんのその技には致命的な弱点がある!」

「じゃ、弱点……? そんなものはありません!」

 ジルガの指摘に、ニムがそう反論する。

 動かざること山の如しの弱点か。
何かあったかな?
ニムの闘気の出力はそれなりに大きい。
闘気術をレベル3まで上げているからな。

 彼女に生半可な攻撃は通らない。
先ほどもジルガのギガントナックルを耐えきっていた。

「ガハハ! 今からそれを教えてやるぜ!」

 ジルガがそう言う。
弱点とやらを教えてもらおう。
俺は彼を注意深く見る。

 ……………………。
…………。
……。

 ん?
おかしいな。
ジルガが動く気配がない。
何か仕掛けるんじゃなかったのかよ。

「くっ。はあ、はあ……」

 何もしていないニムの息が乱れてきた。
…………!
なるほど。
そういうことか。

「ガハハ! それが弱点だ! 常にその技を発動していれば、闘気の消費量が半端ない! 理想は相手の攻撃に合わせて都度発動することだろうが、さすがの嬢ちゃんでもそこまではまだ無理だろう!」

 ジルガがそう言う。
確かに、ニムにはまだそこまでの力量はない。
単純な闘気の出力や身体能力は優れているものの、実戦経験が少ないからな。

「こ、こうなったら! 玉砕覚悟です! ……フィジカル・パンク!」

 ニムがそう言って、ジルガに突進する。
まっすぐなタックルだ。
猪突猛進、猪突猛進!

「ガハハ! 破れかぶれか!」

 ジルガがそう言って、ニムのタックルを受け止める。

「ぬ? うおっ!?」

 ジルガが体勢を崩す。
ニムのタックルの威力が想定以上だったようだ。
彼女の身体能力はかなりのものだからな。

 このままニムの流れに持ち込めるか?
と思ったが、さすがにその考えは甘かったようだ。

「……どりゃあああっ!」

 ジルガが踏ん張り、ニムをステージ外に投げ飛ばす。

「ニム選手場外! カウントを取ります! 1……2……3……」

 審判が場外カウントを始める。
10カウントがされればニムの負けとなる。

 彼女は投げ飛ばされたとはいえ、ダメージはまだ軽微だ。
意識もはっきりとしており、立ち上がっている。
しかし。

「……8……9……10! 10カウント! ニム選手の場外負けです! 勝者ジルガ選手!」

 ニムは試合を諦め、ステージ上には戻らなかった。
少し残念ではあるが、妥当な決断だ。

 身体的なダメージは少ないとはいえ、闘気は大量に消耗している。
また、彼女は防御主体の戦法なので、こういう大会ルールとは相性が悪い。
今回のジルガのように待ちの戦法をとられると、有効な手がなくなってしまう。

 まあ、彼女の本職は冒険者だし、土魔法もある。
今後の魔物狩りでの活躍を期待しよう。
1回戦を突破して、2回戦のジルガとも接戦だっただけでも十分だ。
彼女はまだ10歳と少しだしな。

「ガハハ! 俺の勝ちだぜ!」

 ジルガがそう勝利宣言をする。
もう少し敗者に配慮してくれ。
ニムが少し暗い顔をしている。

 まあ、ジルガは細かいことを気にしない性格だ。
悪気はないのだろうが。

 ニムがトボトボと控室に戻ってくる。

「ま、負けてしまいました」

「ドンマイ! いい試合だったよ」

「よくがんばったね。ニムちゃん」

 アイリスとモニカがニムをねぎらう。

「まあ俺も2回戦負けだしな。ニムは十分がんばったよ」

「そうですね! すごいと思います!」

 俺とミティで、さらにニムを励ます。

「そ、そうでしょうか。えへへ……」

 褒められて、ニムもまんざらではなさそうだ。

 さて。
これで、2回戦はこれで全試合が終了した。

×Aブロック1番、タカシ。
×Aブロック2番、ミッシェル。
○Aブロック3番、アイリス。
×Aブロック4番、ババン。

×Bブロック1番、ミティ。
×Bブロック2番、レナウ。
○Bブロック3番、エドワード。
×Bブロック4番、ギムル。

○Cブロック1番、モニカ。
×Cブロック2番、ハルトマン。
×Cブロック3番、ギルバート。
×Cブロック4番、カルロス。

×Dブロック1番、ニム。
×Dブロック2番、ビリー。
○Dブロック3番、ジルガ。
×Dブロック4番、エルメア。


 準決勝戦は、次の2試合となる。
アイリスvsエドワード。
モニカvsジルガ。

 4人中、俺たちミリオンズから2人も残っている。
うれしい結果だ。

 30分の休憩の後、3回戦が始まる予定である。
アイリスとモニカのさらなる奮戦に期待しよう。

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