【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
198話 1回戦 ニムvsビリー
メルビン杯の続きだ。
第5試合のモニカvsハルトマンは、モニカが勝った。
そして第6試合は、ギルバートが登場した。
対戦相手はカルロス。
ババンやレナウと同じく、初級の武闘家だったようだ。
あっさりとギルバートが勝った。
ギルバートの実力はかなりのものだ。
前回のガルハード杯では1回戦負けだったが。
あれは相手が悪かった。
相手のマクセルは、前回のゾルフ杯の準優勝者だからな。
ガルハード杯の前にあった小規模大会の決勝では、ギルバートがジルガに勝っていた。
そのジルガは、ガルハード杯1回戦で当時のアイリスに勝っていた。
このあたりの試合結果から推測すると、当時の武闘における戦闘能力は、アイリス<ジルガ<ギルバート<マクセルといった感じになる。
今回のメルビン杯でも、ギルバートは優勝候補の1人だろう。
2回戦以降で要注意の相手だ。
まあ、2回戦以降のことはとりあえず置いておこう。
今は、目の前の試合に注目だ。
今から第7試合が行われようとしている。
ニムの出番だ。
対戦相手はビリー。
ラーグの街を拠点に活動している、Dランク冒険者だ。
黒き旋風というパーティを組んでいる。
俺と西の森への遠征で同行したこともあるし、食事会に招いたこともある。
知らない仲ではない。
「続きまして、第7試合を始めます! ニム選手対、ビリー選手!」
司会の人がそう叫ぶ。
ニムがコロシアムのステージに上がる。
対戦相手のビリーと対峙する。
「よ、よろしくお願いします」
「ああ。よろしくな」
2人が試合前のあいさつを交わす。
ニムは少し緊張しているようだ。
「両者構えて、……始め!」
試合が始まった。
まずはお互いに距離を保ちつつ、様子を伺っている。
「やれやれ。少しやりにくいな……」
ビリーがそうつぶやく。
「な、なにがでしょうか?」
「そりゃ、君みたいな小さな女の子と闘うことがだよ。変な勝ち方をしてしまうと、観客からブーイングを浴びそうだし」
ビリーの懸念ももっともだ。
ニムは10歳と少しの少女。
対して、ビリーは10代後半くらいの青年。
ビリーがニムをボコボコにしたりすれば、間違いなくブーイングが起きるだろう。
「むっ! その心配は無用です! 全力できてください!」
ニムが少し気分を害したようだ。
彼女の実力は確かだ。
加護の恩恵により、身体能力が高い。
この1か月のメルビン道場での鍛錬により、格闘術レベル1と闘気術レベル1も習得した。
さらにステータス操作により、腕力強化をレベル2、脚力強化をレベル2、体力強化をレベル2、闘気術をレベル3まで伸ばしている。
そこらの初級の武闘家などに引けをとるとは考えにくい。
なめられるのは心外だろう。
とはいえ、外見は幼い少女である。
ビリーの感覚も理解できる。
これは、身を以て理解してもらう以外にないだろう。
「わかった。ケガをさせないよう、せめて注意するよ。いくぞ!」
彼がニムに駆け寄る。
「はっ! せいっ!」
「なんの!」
ビリーの攻撃を、ニムが耐えている。
受け流すというよりは、腕などで的確に防御している感じだ。
彼女の身体能力は高い。
腕力、脚力、体力。
それぞれバランス良く伸ばしている。
近接戦闘における安定感という意味では、モニカやミティとはまた違った良さがある。
ニムとビリーの攻防が続く。
ややニムが優勢か。
ビリーの格闘術は、レベル1ぐらいの初級だと思われる。
格闘術における力量は、ニムと互角だ。
単純に身体能力の差で、ややニムが優勢に闘いを進めているといったところか。
「くっ。はあ、はあ……」
ビリーの息が上がってきた。
ニムは特に体力に秀でるからな。
長期戦は彼女の望むところだ。
息が上がったビリーのスキを突き、ニムが攻撃を仕掛ける。
「せえぃっ!」
「ぐっ!」
ニムの腹パンだ。
ビリーにそれなりのダメージが入ったようだ。
彼がとっさに後ろに引き、体勢を立て直す。
「なるほど……。確かに、少女と侮っていたら負けてしまいそうだ」
「も、もう遅いです。このままわたしが勝たせてもらいます」
「そうはいかない。まだ俺には奥の手がある。見せてあげよう」
ビリーが手に闘気を集中させていく。
彼の手が黒色に染まっていく。
「これが我が奥義……黒色の旋風である。しかと見るがよい」
ビリーが決め顔でそう言う。
口調も変わっている。
中二病か?
「で、ではわたしも奥の手を出しますね」
ニムが闘気を開放する。
「剛拳流、動かざること山の如し」
ニムの新技だ。
メルビン師範から伝授された、風林火山の内の”山”である。
耐久力が大幅に向上する。
「ほう。貴殿もなかなかやるようだな。それでこそ我が宿命の相手よ」
ビリーが決め顔でそう言う。
何が宿命だよ。
君とニムは初対面だろうが。
「いくぞ! 奥義ーーブラック・サイクロン!」
「”鉄心”」
ビリーの渾身の”ブラック・サイクロン”。
まあ実態は、闘気を込めたただのパンチだろうが。
それに対するは、ニムの”鉄心”だ。
闘気を込めた鉄壁の防御である。
はたしてどちらが勝つか。
俺はハラハラしつつ見守る。
ドガン!
ビリーのパンチとニムのガードが激突する。
「ぐっ。バ、バカな……」
「残念でしたね。わたしには効きませんよ」
ビリーの攻撃を耐えきったニムがそう言う。
まったく効かなかったわけではなさそうだが、戦闘不能というほどのダメージは負っていない。
「む、無念……」
ビリーはそう言って倒れた。
闘気を使い果たし、力尽きたのだろう。
審判がカウントを始める。
「……8……9……10! 10カウント! ビリー選手のダウン負けです! 勝者ニム選手!」
審判がそう宣言する。
無事にニムが勝利を収めることができた。
治療魔法士がビリーに駆け寄り、治療魔法をかける。
治療魔法は外傷や毒の治療の他、体力や闘気の回復にも多少の効果がある。
ニムがビリーに歩み寄る。
手を差し伸べる。
「お、お疲れ様でした。対戦ありがとうございました」
「ああ。こちらこそ対戦ありがとう。……それにしても、見かけからは想像もできないぐらいの強さだな。びっくりしたよ」
ビリーがそう言う。
口調が元に戻っている。
「あ、ありがとうございます。メルビン師範やタカシさんに教えてもらったおかげです」
「タカシか。こんな小さな女の子をパーティに入れていると聞いて、正直どうかと思ったが。なかなか見る目があるみたいだな」
ビリーがこちらに視線を向けつつそう言う。
会釈だけしておく。
ニムがステージからこちらに戻ってくる。
祝福しておこう。
「おめでとう! ニム!」
「お疲れ様。ニムちゃん」
俺とモニカ、それにミティとアイリスでニムを出迎える。
「あ、ありがとうございます。なんとか勝ててよかったです」
ニムが安心したような顔でそう言う。
実力で言えば、ニムのほうがビリーよりもやや上だったと思う。
しかし、試合運びによっては彼女の敗北もあり得たかもしれない。
今回は、ビリーの全力での攻撃vsニムの全力での防御という形に持ち込めたことが功を奏した。
2回戦以降も、試合運びによっては勝つことも可能だろう。
期待したいところだ。
第5試合のモニカvsハルトマンは、モニカが勝った。
そして第6試合は、ギルバートが登場した。
対戦相手はカルロス。
ババンやレナウと同じく、初級の武闘家だったようだ。
あっさりとギルバートが勝った。
ギルバートの実力はかなりのものだ。
前回のガルハード杯では1回戦負けだったが。
あれは相手が悪かった。
相手のマクセルは、前回のゾルフ杯の準優勝者だからな。
ガルハード杯の前にあった小規模大会の決勝では、ギルバートがジルガに勝っていた。
そのジルガは、ガルハード杯1回戦で当時のアイリスに勝っていた。
このあたりの試合結果から推測すると、当時の武闘における戦闘能力は、アイリス<ジルガ<ギルバート<マクセルといった感じになる。
今回のメルビン杯でも、ギルバートは優勝候補の1人だろう。
2回戦以降で要注意の相手だ。
まあ、2回戦以降のことはとりあえず置いておこう。
今は、目の前の試合に注目だ。
今から第7試合が行われようとしている。
ニムの出番だ。
対戦相手はビリー。
ラーグの街を拠点に活動している、Dランク冒険者だ。
黒き旋風というパーティを組んでいる。
俺と西の森への遠征で同行したこともあるし、食事会に招いたこともある。
知らない仲ではない。
「続きまして、第7試合を始めます! ニム選手対、ビリー選手!」
司会の人がそう叫ぶ。
ニムがコロシアムのステージに上がる。
対戦相手のビリーと対峙する。
「よ、よろしくお願いします」
「ああ。よろしくな」
2人が試合前のあいさつを交わす。
ニムは少し緊張しているようだ。
「両者構えて、……始め!」
試合が始まった。
まずはお互いに距離を保ちつつ、様子を伺っている。
「やれやれ。少しやりにくいな……」
ビリーがそうつぶやく。
「な、なにがでしょうか?」
「そりゃ、君みたいな小さな女の子と闘うことがだよ。変な勝ち方をしてしまうと、観客からブーイングを浴びそうだし」
ビリーの懸念ももっともだ。
ニムは10歳と少しの少女。
対して、ビリーは10代後半くらいの青年。
ビリーがニムをボコボコにしたりすれば、間違いなくブーイングが起きるだろう。
「むっ! その心配は無用です! 全力できてください!」
ニムが少し気分を害したようだ。
彼女の実力は確かだ。
加護の恩恵により、身体能力が高い。
この1か月のメルビン道場での鍛錬により、格闘術レベル1と闘気術レベル1も習得した。
さらにステータス操作により、腕力強化をレベル2、脚力強化をレベル2、体力強化をレベル2、闘気術をレベル3まで伸ばしている。
そこらの初級の武闘家などに引けをとるとは考えにくい。
なめられるのは心外だろう。
とはいえ、外見は幼い少女である。
ビリーの感覚も理解できる。
これは、身を以て理解してもらう以外にないだろう。
「わかった。ケガをさせないよう、せめて注意するよ。いくぞ!」
彼がニムに駆け寄る。
「はっ! せいっ!」
「なんの!」
ビリーの攻撃を、ニムが耐えている。
受け流すというよりは、腕などで的確に防御している感じだ。
彼女の身体能力は高い。
腕力、脚力、体力。
それぞれバランス良く伸ばしている。
近接戦闘における安定感という意味では、モニカやミティとはまた違った良さがある。
ニムとビリーの攻防が続く。
ややニムが優勢か。
ビリーの格闘術は、レベル1ぐらいの初級だと思われる。
格闘術における力量は、ニムと互角だ。
単純に身体能力の差で、ややニムが優勢に闘いを進めているといったところか。
「くっ。はあ、はあ……」
ビリーの息が上がってきた。
ニムは特に体力に秀でるからな。
長期戦は彼女の望むところだ。
息が上がったビリーのスキを突き、ニムが攻撃を仕掛ける。
「せえぃっ!」
「ぐっ!」
ニムの腹パンだ。
ビリーにそれなりのダメージが入ったようだ。
彼がとっさに後ろに引き、体勢を立て直す。
「なるほど……。確かに、少女と侮っていたら負けてしまいそうだ」
「も、もう遅いです。このままわたしが勝たせてもらいます」
「そうはいかない。まだ俺には奥の手がある。見せてあげよう」
ビリーが手に闘気を集中させていく。
彼の手が黒色に染まっていく。
「これが我が奥義……黒色の旋風である。しかと見るがよい」
ビリーが決め顔でそう言う。
口調も変わっている。
中二病か?
「で、ではわたしも奥の手を出しますね」
ニムが闘気を開放する。
「剛拳流、動かざること山の如し」
ニムの新技だ。
メルビン師範から伝授された、風林火山の内の”山”である。
耐久力が大幅に向上する。
「ほう。貴殿もなかなかやるようだな。それでこそ我が宿命の相手よ」
ビリーが決め顔でそう言う。
何が宿命だよ。
君とニムは初対面だろうが。
「いくぞ! 奥義ーーブラック・サイクロン!」
「”鉄心”」
ビリーの渾身の”ブラック・サイクロン”。
まあ実態は、闘気を込めたただのパンチだろうが。
それに対するは、ニムの”鉄心”だ。
闘気を込めた鉄壁の防御である。
はたしてどちらが勝つか。
俺はハラハラしつつ見守る。
ドガン!
ビリーのパンチとニムのガードが激突する。
「ぐっ。バ、バカな……」
「残念でしたね。わたしには効きませんよ」
ビリーの攻撃を耐えきったニムがそう言う。
まったく効かなかったわけではなさそうだが、戦闘不能というほどのダメージは負っていない。
「む、無念……」
ビリーはそう言って倒れた。
闘気を使い果たし、力尽きたのだろう。
審判がカウントを始める。
「……8……9……10! 10カウント! ビリー選手のダウン負けです! 勝者ニム選手!」
審判がそう宣言する。
無事にニムが勝利を収めることができた。
治療魔法士がビリーに駆け寄り、治療魔法をかける。
治療魔法は外傷や毒の治療の他、体力や闘気の回復にも多少の効果がある。
ニムがビリーに歩み寄る。
手を差し伸べる。
「お、お疲れ様でした。対戦ありがとうございました」
「ああ。こちらこそ対戦ありがとう。……それにしても、見かけからは想像もできないぐらいの強さだな。びっくりしたよ」
ビリーがそう言う。
口調が元に戻っている。
「あ、ありがとうございます。メルビン師範やタカシさんに教えてもらったおかげです」
「タカシか。こんな小さな女の子をパーティに入れていると聞いて、正直どうかと思ったが。なかなか見る目があるみたいだな」
ビリーがこちらに視線を向けつつそう言う。
会釈だけしておく。
ニムがステージからこちらに戻ってくる。
祝福しておこう。
「おめでとう! ニム!」
「お疲れ様。ニムちゃん」
俺とモニカ、それにミティとアイリスでニムを出迎える。
「あ、ありがとうございます。なんとか勝ててよかったです」
ニムが安心したような顔でそう言う。
実力で言えば、ニムのほうがビリーよりもやや上だったと思う。
しかし、試合運びによっては彼女の敗北もあり得たかもしれない。
今回は、ビリーの全力での攻撃vsニムの全力での防御という形に持ち込めたことが功を奏した。
2回戦以降も、試合運びによっては勝つことも可能だろう。
期待したいところだ。
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