【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

185話 ギルド貢献値3000万ガル ”紅剣”のタカシ

 ニムの畑の再整備をしてから、数日が経過した。

 日課の冒険者活動を終えて、冒険者ギルドに向かっているところだ。
まあ北の草原でファイティングドッグを狩っただけなので、討伐金額や買取金額にはさほど期待できないが。
主目的は、実戦感覚をにぶらせないことだ。
犬相手とはいえ、何もしないよりはマシだろう。

 俺たちミリオンズは、北の草原で狩りをするときは2グループに別れるようにしている。
組み合わせはいろいろ。
ただし、俺とアイリスは別グループにしている。
犬相手とはいえ、万が一のケガをしたときが怖いからな。
治療魔法を使える俺とアイリスが別グループがいい。

 今日は、俺とモニカ。
ミティ、アイリス、ニム。
この組み合わせで犬狩りを行った。

 モニカの戦闘能力はかなりのものになってきている。
格闘術レベル4、脚力強化レベル3、雷魔法レベル3のスキルの恩恵に加えて、本人の努力もあるからな。

 後は、闘気術を使えるようになれば理想的だ。
時おりアイリスからモニカやニムへ闘気術を教えてもらっているが、まだ取得できていない。
アイリスによると、あと一歩らしいのだが。
もう少し待つ必要がある。

 そんなことを考えつつ歩みを進める。
冒険者ギルドの扉を開き、中に入る。

 ざわっ。
ざわざわ。
俺たちが入った途端、周囲がざわついた。
何だ?
何か、顔を見られているような気がする。

 周囲の人のささやき声が聞こえてくる。
内容をしっかりと聞き取っていく。
普通ならこの距離では聞こえないだろうが、俺は聴覚強化レベル1を取得しているからな。
盗み聞きは得意なのだ。

「(あいつか……。見かけによらず大したもんだ)」

「(確か、半年ほど前に登録したばかりの新人だぜ。アドルフさんたちが気にかけていた)」

「(なるほど……。さすがはBランクのアドルフさん。見る目はあるということか)」

 ふむ。
よくわからんな。
敵意ではないようだが。

 とりあえず、受付嬢のネリーに討伐報告と買取依頼をしよう。

「こんにちは。ネリーさん」

「タカシさん。お疲れ様です。今日もファイティングドッグ狩りでしょうか?」

「ええ。討伐と買取の査定をお願いします」

「承知しました」

 ギルドカードを渡し、ファイティングドッグの死体なども出しておく。
ネリーにより、報酬の査定が進められていく。

「ところで、何かあったのでしょうか? 周囲がざわついているようですが」

 俺はネリーにそう問う。

「おや? ご本人がまだご存じなかったとは……。あれの件でしょう」

 ネリーがそう言って、壁に貼られた紙を指差す。
俺はその紙を見る。

 ん?
紙には、見覚えのある顔が写っている。
どこかで見たことがあるような……。

「タカシ様のお顔ですね! 凛々しくてカッコいいです!」

「へー。こういう風に貼られるんだねー」

 ミティとアイリスがそう言う。
見覚えのある顔どころではない。
俺の顔じゃねえか。

「なになに? ”紅剣”のタカシ。貢献値3000万ガル……?」

 モニカが紙を読んで、そう言う。

「と、特別表彰制度というやつでは?」

「あー。あれか」

 ニムの言葉を聞いて、思い出した。
ボフォイの街の冒険者ギルドの一件だ。
ミドルベアやヘルザムの討伐報告をした際に、ギルドマスターのベイグと手合わせをした。
俺の実力が認められて、討伐表彰制度とやらに推薦してもらえることになっていたのだ。

 無事に推薦が認可されて、特別表彰がされたというわけか。
改めて紙を見る。
精密な絵を描写する魔道具によって描かれた、俺の顔がある。
カラーだし、写真と言っても過言ではない絵だ。
これからは写真と呼ぼう。

 この写真撮影のときは、いろいろな角度から撮られた。
証明写真のように姿勢を正した写真の他、剣を構えて決め顔をした写真も撮られた。
ちょっとしたモデル気分だった。

 今回の特別表彰制度に採用された写真は、紅剣クリムウェルを構えて決め顔をした写真だった。
よりによってこれが採用されたか。
二つ名も”紅剣”のタカシだし。
ちょっと恥ずかしい。

「へー。カッコいいじゃん。タカシ」

「そ、そうですね。いいと思います」

 アイリスとニムがそう言う。
俺としてはちょっと恥ずかしいが、彼女たちがそう言ってくれるのであればこれもありか。
うん。
よく考えると、カッコいい気がしてきた。
紅剣のタカシ、貢献値3000万ガル。(`・ω・´)キリッ

「他にもいろいろな方がいるのですね」

「本当だね。……あ、この人なんて、神脚の勇者だってさ。すごい二つ名だね」

 ミティとモニカが、他の特別表彰者の紙を見てそう言う。
俺以外にも、何人もの対象者がいるようだ。

「シリウス、ハーヴェイ、アルカ……。これが実力者たちの名前か」

「タカシさんを含め、最近でめざましい活躍をした人たちが表彰されています。シリウス氏とハーヴェイ氏の活動拠点は少し遠いですし、しばらく貼っておいた後には剥がします。タカシさんのは当分は貼っておきますよ。評判はうなぎのぼりになるでしょう!」

 受付嬢のネリーがそう言う。
目立つのは少し苦手だが。
世界滅亡の危機を回避していくためには、そうも言ってられない。
今回の特別表彰制度で俺の評判が上がるのであれば、それにこしたことはないだろう。

 そうこう話しているうちに、討伐と買取の査定が終わったようだ。

「……はい。これで処理完了です。こちらが報酬金となります。特別表彰の報奨金も合わせて渡しておきますね」

「ありがとうございます」

 ネリーから報酬金、報奨金、ギルドカードを受け取る。
ファイティングドッグ狩りの報酬金は、リトルベア狩りなどに比べると、はるかに低い報酬だ。
とはいえ、5人の日々の生活費を引いても、ギリギリ黒字にはなる。
まあ、ヘルザムやミドルベアの討伐報酬がまだまだ残っているから、資金には余裕があるが。

 さらに今回は、特別表彰の報酬金も入った。
思わぬ臨時収入だ。

 借金も完済したし、ダリウスやマムの経済事情にも特に問題はない。
特に明確な使い道はないが、お金はあって困るものではない。
有効な使い道をあらためて考えておこう。

 ぱっと思いつく範囲では、馬車の購入か、新規のパーティメンバーとして奴隷の購入ぐらいか。
あとは、写真を撮る魔道具や、新たなアイテムバッグ、ポーションなどもできれば欲しいところではある。

 そんなことを考えつつ、冒険者ギルドの出口に向かう。
誰かが目の前に立ちふさがった。
チンピラだ。
見覚えのないチンピラだ。

「おいおい。兄ちゃん。若えのに大したもんじゃねえか。ちょっと金を恵んでくれよ。まとまった金が入ったんだろ?」

 カツアゲか。
久しぶりの典型的なチンピラだな。
さて。
どうしたものか。

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