【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

156話 熱戦、ミドルベア

 ミドルベアとの戦闘が始まる。

「まずは遠距離攻撃からだ。各自、攻撃準備!」

 俺はそう言う。
俺、ミティ、モニカ、ニム。
それぞれが遠距離攻撃の準備をする。

「……パラライズ!」

 モニカの手のひらから電流のようなものがほとばしる。
ミドルベアにヒットする。

 ミドルベアの動きが少し鈍くなる。
少しだけだ。
残念ながら、ゴブリンのように完全に行動を阻害することはできていない。

 ゴブリン、リトルベア、ミドルベア。
魔物のサイズや戦闘能力が増大するにつれて、麻痺の効果が薄くなる傾向があるようだ。
体が大きい分、魔法の出力が足りないのかもしれない。
もしくは、魔法耐性があるとかかな。

 とはいえ、一定程度は動きがにぶっている。
今がチャンスだ。

 俺の詠唱が終わる。
両手を前方にかざし、魔法を発動させる。

「ファイアートルネード!」

 ごうっという音と共に火の竜巻が発生し、ミドルベアを襲う。
少し遅れて、ニムの詠唱が終わる。
同時に、ミティが岩を投擲する。

「我が敵を砕け! ストーンレイン!」

「ビッグ……メテオ!」

 大きな岩とたくさんの石が、ミドルベアを襲う。
かなりのダメージを与えた。
与えたはずだ。
しかし。

「グルル! グルアアアアー!」

 ミドルベアが雄叫びをあげて、こちらに近づいてくる。
もう少しだけでも攻撃をダメージを与えておきたい。

「炎あれ。我が求むるは豪火球。三十本桜!」

「……パラライズ!」

「……ストーンレイン!」

 魔法をガンガン放ち、迎え撃つ。
もうミドルベアは目の前にまで迫っている。

「いくぞ、ミティ!」

「わかりました! タカシ様!」

 ミティと息を合わせる。

「「……エアバースト!」」

 俺とミティの風魔法の同時発動だ。
突風がミドルベアを襲う。
奴がバランスを崩し、横に転倒する。

 残念ながら転倒のダメージはあまりなさそうか。
しかし、少しの時間はかせげた。
この間に、各自の近接戦闘の準備が整っている。

「聖闘気、豪の型」

 アイリスは聖闘気をまとっている。
彼女は、闘気術や聖闘気術のスキルを伸ばしてきた。
ガルハード杯で俺と闘ったときと比べ、格段に闘気量が増している。

 アイリスがミドルベアに接近する。

「豪・裂空脚!」

 アイリスの強烈な回し蹴り。
ミドルベアを捉えた。
だが。

「グルアアアア!」

「きゃっ」

 ミドルベアの反撃。
アイリスは弾き飛ばされる。
俺たちを囲む土の塀に激突した。

「だいじょうぶか!? アイリス!」

 普通に考えれば、重傷間違いなしの勢いで飛ばされていった。
治療魔法が必要だろう。
俺は思わずアイリスに駆け寄ろうとする。

「だいじょうぶ! 闘気でガードしたから」

 アイリスが無事に立ち上がる。
軽傷のようだ。

「……ロックアーマー」

 ニムが土の鎧をまとう。

「い、いきます! ……ロック・パンク!」

 ニムが勢いよくミドルベアにタックルをぶちかます。
なかなかの威力がありそうだ。
脚力強化や体力強化を取得した恩恵だろう。

 しかし、ミドルベアが相手では少し威力が足りないか。
ミドルベアがニムのタックルを耐え、反撃する。

「うっ」

 ニムが弾き飛ばされる。
土の塀に激突した。

「ニムちゃん!」

 モニカが慌てて駆け寄ろうとする。

「ロ、ロックアーマーのおかげで無事です! わたしのことは気にしないでください!」

 ニムがそう言う。

 この攻防の間に。
ミティがミドルベアの背後に回っていた。

「ニムちゃん。いいタックルでしたよ。あなたの犠牲は無駄にはしません」

 ミティがそう言う。

 いや。
ニムは死んではいないが。

「ビッグ……ボンバー!」

 ミティの全力でのハンマーの振り下ろし。
ミドルベアにクリーンヒットした。
さすがのミドルベアも、この攻撃ではそれなりのダメージを受けたようだ。
奴に隙ができる。

「今です! タカシ様!」

 ミティの合図だ。
俺は心を研ぎ澄ませる。
集中する。

「斬魔一刀流……火炎斬!」

 俺の斬魔剣で斬りつける。
火魔法を剣に纏わせて攻撃する技だ。

 ミドルベアの胴体に、大きな切り傷が入った。
奴が怒り狂い、俺に反撃しようとする。

 マズい!
斬魔剣の反動で、うまく避けられない!

「タカシ様!」
「「タカシ!」」
「タカシさん!」

 ミティ、アイリス、モニカ、ニム。
みんなが援護を急いでくれている。

 しかし、一歩間に合わないか。
俺はせめて闘気を体にまとう。
何とか耐えきってみせる!

 俺がそう覚悟を決めたとき。
ザクッ!
ミドルベアの頭部に何かが突き刺さる。
何だ?
ミティの投擲か?

 何にせよ、ナイスフォローだ!
ミドルベアの意識が一瞬逸れた。
俺は体勢を立て直す。

「間一髪だったね。タカシ。無事で良かったよ」

 モニカがそう言う。

「そろそろ、私もいいところ見せないとね」

 モニカが攻撃の構えを取る。
脚に力と魔力を込めている。

「雷華崩脚!」

 モニカの強烈な回し蹴りだ。
脚力強化と格闘術により、高威力になっている。
技のベースは裂空脚だろう。
雷魔法レベル1のスパークを併用することにより、さらに威力が上がっているようだ。

 俺たち5人で、それぞれ大技を決めた。
ミドルベアはまだ倒れない。
かなりのダメージを与えてはいるが。
もう少し時間がかかりそうだ。
奴の反撃にも十分に注意して、戦っていく必要がある。


●●●


 ミドルベアとの戦闘も終わりが見えてきた。
奴はもうボロボロだ。
こちらの5人は、多少のダメージは負っているものの、戦闘不能レベルではない。

「あと一息だ。みんな。一気に畳みかけるぞ!」

「「「「了解!」」」」

 それぞれが、最後の力を振り絞り攻撃の構えを取る。
まずはニムだ。
土魔法の詠唱が終わる。

「……ストーンショット!」

 魔法により生成された石が、ミドルベアを襲う。
ストーンレインやロックアーマーを使うMPはもう残っていないようだ。
最後のMPを振り絞ったストーンショットだ。

 威力はさほどでもない。
しかし、弱っているミドルベアにはそれなりに有効だ。
奴に隙ができる。
ミティが奴の背後に回り込む。

「ビッグ・ホームラン!」

 残る力を振り絞ったハンマーの振り回しだ。
ミドルベアがよろめく。

「いくよ! アイリス」

「うん! モニカ。うまく息を合わせよう!」

 モニカとアイリスが、ミドルベアに駆け寄る。

「「W裂空脚!」」

 アイリスとモニカの回し蹴りだ。
アイリスが右回り、モニカが左回り。
息の合った同時攻撃だ。

 ニムのストーンショットで隙をつくり。
ミティのビッグホームランでよろけさせ。
アイリスとモニカのW裂空脚で、とうとうミドルベアは地面に倒れた。
しかし、すぐに起き上がるそぶりをする。

「炎あれ。我が求むるは豪火球。三十本桜!」

 俺の三十本桜で追撃する。
30個の火球がミドルベアを襲う。

「やったか!?」

 ミドルベアは起き上がってこない。
……ついに、ミドルベアの討伐に成功したようだ。
恐る恐る近づき、アイテムルームに収納する。

「みんな。ケガはないか?」

「私は大きなケガはありません」

「ボクもないよー」

 ミティとアイリスがそう言う。
モニカとニムも大きなケガはないようだ。
みんなそれぞれ、ちょっとしたケガはあった。
俺とアイリスの治療魔法で治療していく。

「ふう。一時はどうなるかと思った。特にあれは危なかった。ミティ、ありがとうな」

「? 何のことですか?」

 ミティが首をかしげる。

「あれだよ。俺が斬魔剣の反動で隙だらけになったとき、投擲で助けてくれただろう?」

「いえ。あれは私ではありません。私も岩を投擲しようとしましたが……。それより早く、別方向から投げられていました」

 ミティがそう言う。

「ふむ? では、アイリス、モニカ、ニムのだれかか?」

「ボクじゃないよ」

「私も知らない」

「わ、わたしもわかりません」

 全員違うようだ。
おかしいな。
一度ミドルベアの死体をアイテムルームから出す。

「ほら。頭のところを見てくれよ」

 ……ん?
何か身に覚えのある形状だ。
手裏剣だ。
手裏剣のような形状の刃物がミドルベアの頭部に刺さっていた。

「この形状の武器は誰も持ってないよ。誰か通りすがりの人が手伝ってくれたのかな」

 アイリスがそう言う。

 うーん。
どうせなら、そのまま加勢してくれてよかったのだが。
少し不自然な援護の仕方だ。

「誰が手伝ってくれたのかはわからないが、ミドルベアは無事に討伐できたし良しとしよう。これで一件落着だな」

「いえ。待ってください。元凶がまだです」

「元凶? ああ、カトレアか」

 俺たちのこの場所に誘い込み、魔の角笛を利用してミドルベアをけしかけてきた。
カトレアが元凶だ。
彼女の姿を探す。

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