【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

153話 ドワーフ料理を堪能、リトルベア討伐依頼

 俺たちがガロル村に到着してから、2日後。
俺とミティは、ダディたちの仕事を手伝っている。
今日の午前中の手伝いは終わった。

 昼ごはんのために、アイリスたちと合流する。
昨日の昼食は、俺とミティはダディたちと一緒に食べた。
アイリスたちは、村の料理屋で食べたそうだ。

 アイリスたちによると、そこの料理がなかなかおいしかったらしい。
今日の昼食は俺とミティもいっしょにその料理屋に行ってみることにした。

 アイリスたちの案内に従い、村の中を歩いていく。

「ここだよー。豪快な肉料理がおいしかったんだ」

「うん。凝った盛り付けだけが料理じゃないと改めてわかったよ。シンプルでおいしかった」

 アイリスとモニカがそう評する。

 アイリスは、中央大陸からここ新大陸まではるばるやってきた。
いろいろな料理を食べてきている。

 モニカは、料理人だ。
当たり前だが、料理には詳しい。

 そのアイリスとモニカが評価している料理屋。
なかなか期待できそうだ。

「この店ですか。私も、小さいころに何度か食べにきたことがあります。楽しみです」

 ミティはこの店に来たことがあるのか。
まあ地元だしな。

 みんなで中に入る。
席に案内される。
メニューに目を通す。

 アイリスたちは、すぐに注文する料理を決めたようだ。
俺は何にするか。

「ふむ……。俺は、このビッグ鶏丼にするか」

 なかなか縁起の良さそうな料理名だ。
ビッグ鶏。
ビッグトリ。
ビクトリー。
勝利。

「私は、焼き肉定食の肉2倍盛りにします」

 ミティの肉好きはブレない。
これで、みんなが注文する料理は決まった。
店員を呼び、注文する。

 少し待つ。
しばらくして、料理が運ばれてきた。

 ビッグ鶏丼。
大きな丼ぶりに、米と鶏肉が入っている。

 さっそく食べてみる。

「うん。なかなか悪くない」

「こっちもおいしいですよ、タカシ様。食べてみてください。あーん」

「あーん」

 ミティから差し出された肉に、かぶりつく。

「……ちょっとー。最近、タカシとミティの距離が縮まってない? 何かあったの?」

 アイリスからそう指摘が入る。
鋭い。

 確かに、何かはあった。
俺とミティでナニをしたのだ。
ラーグの街での食事会の5日ほど前だ。
もうすぐで1か月になる。
時間が経つのは早いものだ。

「うん。まあ何もないといえば嘘になるかな……」

「えへへ……」

 俺とミティで、言葉を濁す。
明言するのは少し照れくさい。

「うーん……。気になる」

 アイリスがじとーっとした目で見てくる。
何とかごまかさないと。

「まあまあ。アイリスも、この料理を食べてみろ。うまいぞ。あーん」

 俺はビッグ鶏丼をスプーンですくい、アイリスに差し出す。

「えっ。ちょっと照れるね……。あーん」

 アイリスは、照れつつも素直に食べてくれた。

 何とか話題を逸らすことに成功した。
しばらく、雑談を交えつつ食事を進めていく。

「そういえば。新しい雷魔法と土魔法の使い勝手はどうだった? パラライズとストーンレインだったか」

 昨晩、ステータス操作により新たに取得・強化した魔法だ。
モニカが雷魔法レベル2のパラライズ。
ニムが土魔法レベル3のストーンレインだ。

 俺はまだ実際の魔法を見ていない。
アイリス、モニカ、ニムの3人は、午前中の魔物狩りで試し打ちすると言っていた。

「私のパラライズは、魔物を麻痺させる魔法だったよ。殺傷力はあまりないから、サポート向きかな」

「なるほど。パラライズで硬直させておいて、さらに別の魔法や物理で追撃するわけか」

 悪くなさそうな魔法だ。

「わ、わたしのストーンレインは、たくさんの石を相手に飛ばす魔法でした」

 そういえば、ストーンレインは一応見たことがある。
ラーグの街からゾルフ砦へ向かう道中で、三日月の舞のメンバーが使用していた。
確か、名前はテナだったか。
リーダーのエレナが火魔法使いで、ルリイが雷魔法使いだったはずだ。

 三日月の舞は、2人の前衛が攻撃を引きつけ、後衛の魔法使い3人で魔物に集中砲火を浴びせる戦闘スタイルだった。
3人の中級魔法でリトルベアに大ダメージを与えていた。

 あのストーンレインの使い手が俺たちのパーティメンバーにもいると思うと、非常に頼りになる。

「た、ただ、少し気になる点もありました」

 ニムが残念そうな顔でそう言う。

「なんだ? 何か問題があったか?」

「は、発動に必要なMPが、今のわたしでは不足気味だと感じました。あまり多用はできないかもしれません。接近戦ではロックアーマーも使いたいですし」

「なるほどな。中級魔法ともなると、MPの消費量も増えてくるしな。次の強化では、MP関連のスキルを取得してみてもいいかもしれないな」

 候補は、MP強化、MP消費量減少、MP回復速度強化あたりだ。
俺もこの3つを取得・強化している。
次の強化ではニムにもこのあたりのスキルを取得してもらおう。
次に俺が魔物狩りに同行したとき、実際にモニカとニムの新しい魔法を見て確認しておきたいところだな。

 そんな感じで雑談や情報交換を交えつつ、みんなでご飯を食べ進める。
みんなが食べ終わって一服していたとき、初老の男性が話しかけてきた。

「少しいいか? 君たち、冒険者だそうだの?」

「ええ、そうですが」

「折り入って頼みがあるのじゃが」

「聞くだけならば聞きましょう。引き受けるかはそれから判断します」

 俺たちが冒険者であることを確認してからの、頼み。
おそらく、魔物の討伐依頼あたりだろう。
危険度や報酬によっては、前向きに検討してもいい。

「村の近くに、リトルベアが出没しておるのじゃ。それを討伐してもらいたい。もちろん報酬は出す」

 やはり魔物の討伐依頼だった。

 リトルベアか。
今までに何度も聞いた名前だ。
西の森への遠征。
ラーグの街からゾルフ砦への道中にあった村の周辺での狩り。
ゾルフ砦からラーグの街への道中で、行きと同じ村の周辺での狩り。

 西の森への遠征の時点では、俺にとってリトルベアはかなりの強敵だった。
実際に戦ってはいないが。

 ラーグの街からゾルフ砦への道中の時点では、ギリギリ討伐できた。
Dランクのハルトマンたちと力を合わせ、9人で討伐した。

 ゾルフ砦からラーグの街への道中の時点では、討伐するだけなら楽にできた。
俺の火魔法やミティの投石で先制攻撃。
その後、俺の魔剣術、ミティのハンマー、アイリスの聖闘気などで畳み掛ければ、何の問題もない。
とはいえ、先制攻撃に失敗したときのリスクが少し気になった。
そのため、ラーグの守り手というDランク4人のパーティに声を掛け、合同で討伐にあたった。

 今の俺たちミリオンズにとっては、リトルベアはどの程度の敵となるか。
もともと討伐だけであれば、俺、ミティ、アイリスの3人でも可能ではあった。
そこにモニカとニムが加わった。
彼女たちのレベルはまだ低めではあるが、ステータス操作の恩恵は既にそれなりに受けている。
決して足手まといにはならない。
戦力的には確実にプラスになる方向性だ。

 先制攻撃。
俺の火魔法、ミティの投石に加え、ニムの土魔法が加わる。
あとはモニカの雷魔法も使えるかもしれない。
先制攻撃に失敗するリスクが少し減ることになる。

 その後の接近戦。
俺の剣術、ミティのハンマー、アイリスの聖闘気に加え、モニカの格闘が加わる。
また、ニムがタンク職としてロックアーマーを発動し、攻撃を引き付けてもらうこともできる。

 そう考えると、今の俺たちにとってはリトルベアは恐れるに足りない相手と考えてもいいだろう。

「リトルベアの討伐か。どうする? みんな」

「私はよくわからない。タカシたちの判断に任せる」

「わ、わたしもです」

 モニカとニムは、判断を丸投げだ。
一見無責任にも思えるが、これはこれでありだろう。
自分がよくわからないことは、より詳しい人に判断をあおぐのが適切なことも多い。

「ボクは引き受けていいと思う。この5人でなら問題ないと思うから」

「私も問題ないと思います!」

 アイリスとミティは討伐に前向きだ。
俺もアイリスやミティと同意見だ。
討伐する方向性でいいだろう。

「わかりました。……その依頼、引き受けます」

「おお、引き受けてくれるか。ありがとう。よろしく頼むぞ」

 その後、その男性から詳しい依頼内容や報酬を聞いた。
ダディたちにも事情を説明し、午後の鍛治の手伝いは休ませてもらうことにした。
ミティなしでのリトルベア戦はさすがに少し危険だからな。


●●●


 タカシたちが昼食をとり、リトルベアの討伐依頼の打ち合わせをしている頃。
タカシたちの動向を探っている者がいた。
カトレアだ。

「(どうやらあいつらはリトルベアの討伐にいくみたいね。……そうだ。いいことを思いついたわ。家の蔵にあったあの魔道具を使って……。ふふふ。今に見てなさい)」

 カトレアは不適な笑みを浮かべて、立ち去っていった。
彼女が何を企んでいるのか。
タカシたちがそれを知るのは、少し後のことになる。

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