【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

139話 ハガ王国へ転移

 借金の一部を無事に返済した。
次は、転移魔法陣の件を済ませよう。

 ここラーグの街にも転移魔法陣は作成済みだ。
この家の一室に設置してある。

 ただ、転移魔法陣のことはみんなにはまだ話していない。
どれほど希少性のあるものかわからないからな。
まあみんなのことは信頼しているし、別に話しても問題ないだろうが。

 現在の転移魔法陣の設置場所は3か所。
ラーグの街、ゾルフ砦、ハガ王国だ。
転移魔法陣は、遠くへの転移になるほど消費MPが多くなるため、気軽には行けないようになる。
ガロル村へ向かうにあたって、できれば今のうちにゾルフ砦やハガ王国への用事は済ませておきたい。

 何か済ませておくべき用事があったかな?
俺は考え込む。

 ゾルフ砦での用事は特にないな。
潜入作戦の報酬はこの街の冒険者ギルドで無事にもらえたし。

 強いていえば、マクセル、ストラス、ギルバートあたりの現況は気になる。
とはいえ、わざわざ多くのMPと時間を使ってまで確認するほどでもない。
そもそも、彼らがまだゾルフ砦にいるかどうかもわからないしな。

 ハガ王国での用事は、2つ思い当たる。
バルダインの足の治療と、マリアの現況の確認だ。

 国王であるバルダインは足を悪くしている。
彼はかつて”疾風”の通り名で有名だったらしい。
俺が彼に勝てたのは、彼が全盛期の力を失っていたからだ。

 今後、サザリアナ王国とハガ王国は友好的な関係を築いていくはずだ。
バルダインの足を治療しても、問題ないだろう。

 彼の忠義度は40くらい。
うまく治療できれば、加護付与も狙えるだろう。
成功すれば、男性では初の加護付与対象者となる。

 まあ、加護付与に成功したとしてもパーティメンバーとして連れ回すわけにもいかないだろうが。
彼は国王だからな。
とはいえ、一国の王が全盛期の力を取り戻してさらにステータス操作により力を伸ばし、俺の後ろ盾となってくれるのであれば、これほど心強いものはない。

 マリアの現況も気になる。
バルダインの娘であり姫でもあるマリアには、加護を付与済みだ。
年齢、身分、種族を考慮して、まだパーティメンバーに加入はしてもらっていない。
しかし、ゆくゆくはパーティメンバーへの勧誘も考えている。
まだ本人や親には何も言っていないので、検討レベルの話ではあるが。

 せっかくの加護付与者だ。
何か体調を崩したりしていないか、様子を見ておきたい。
また、レベルが上がっていないかも気になる。

 マリアに加護を付与したとき、彼女はまだレベル1だった。
スキルポイントがなかったので、スキルを取得させてあげることができなかった。
俺たちと別行動をしている間に彼女のレベルが上がっていたら、スキルポイントが入っているかもしれない。

 このラーグの街からゾルフ砦やハガ王国に転移できることは、少し前に確認済みだ。
その時は行って帰ってきただけだが。
今回は、バルダインやマリアへ挨拶してみよう。

 転移魔法を使用した後に治療魔法を試すとなると、消費MPの問題がある。
ここからハガ王国までの転移魔法陣の発動で、3割ぐらいのMPを消費する。
往復なら6割だ。
そこに治療魔法レベル4のMP消費が加わる。
結構カツカツだ。
まあ、ギリギリ何とか足りるか。

 念のため、帰りは明日の朝になるかもしれないとミティかアイリスには伝えておこう。
家の中を歩き回り、ミティとアイリスを探す。

 2階にはいない。
リビングにもいない。

「2人ともどこかへ出かけたのか。……ん?」

 庭から物音がする。
庭へ向かう。

「ふんっ! ふんっ!」

 ミティがいた。
大きな岩を背負い、腕立て伏せをしている。
休日でも鍛錬を欠かさないとは。

「精が出るな。ミティ」

「あっ。タカシ様」

 ミティがこちらに目を向ける。
彼女が腕立て伏せを中断し、立ち上がる。

「何かご用ですか?」

「ちょっと出かけてくるから留守を頼もうと思ってな」

「私もお供いたしましょうか?」

「いや、少し事情があってな。1人で行くよ」

 転移魔法の消費MPは、いっしょに転移させる人や物の体積や質量に応じて増大する。
帰りの転移魔法やバルダインへの治療魔法のために、MPは温存しておきたい。

「そうですか。いつ頃お戻りになられますか?」

「今日中には戻る予定だ。もしかすると明日になるかもしれない。アイリスにも伝えておいてくれ」

「わかりました。お帰りをお待ちしていますね。お気をつけて」

 ミティと別れる。
彼女は腕立て伏せを再開した。

 さて、ハガ王国に向かうとしよう。
転移魔法陣を設置している部屋に入る。
念のため、鍵をかけておく。
万が一、俺がいない間に転移魔法陣が大きく傷つけられたりすると、転移魔法で戻ってこれなくなる可能性があるからな。
その場合、馬車などを利用して戻ってくる必要がある。
それは避けたい。

 転移魔法陣の上に立つ。
転移の呪文の詠唱を開始する。

「……テレポート」

 視界が切り替わる。
無事に転移できたようだ。
ハガ王国の王宮の隅の一室に転移した。

 まずは王宮から出よう。
侵入者とまちがえられても嫌だしな。

 気配察知レベル2と気配隠匿レベル1のスキルをうまく使って、王宮から外に出る。
特に街に異変はない。
平和な風景だ。
そのまま、一度人里から離れる。

 そしてゾルフ砦方面の門から何くわぬ顔で入っていく。
門番のオーガが2人いる。

『む! そこの人族! 止まれ!』

 門番に止められた。
まだ人族への偏見は根強いのか。
少し残念だ。
まあ話せばわかってくれるだろう。

『観光目的か? 観光許可証を提示しろ』

 観光許可証?
ゾルフ砦から、観光者が来るようになったのだろうか。
それはいいことだろう。
しかし残念ながら、俺はその観光許可証とやらを持っていない。

「すいません。俺はその観光許可証を持っていないのですが」

『観光者ではないのか? 珍しいな。……それにしても、やけに言葉が流暢だな』

 俺は異世界言語のチートを持っている。
この国で使われている言語も完璧に話すことができる。

『いや待てよ。そういえば、見覚えがあるぞ』

 もう1人の門番が、俺の顔をじっくりと見てくる。

『……もしや、タカシ殿か?』

「そうですが」

『おお! 陛下の盟友がいらしたとは! 取り次ぐので少しお待ちを!』

 俺の顔は、結構広く知れ渡っているようだ。
門番の片方が走り去っていった。

 しばらく待つ。
少しして、見覚えのある人がやってきた。

『へえ。タカシ殿が来たというのは、本当だったのか』

『ええ。門番の勘違いか何かだと思ったけど』

 六武衆のディークとフェイだ。
ディークはハーピィの男性。
フェイはハーピィの女性だ。

「こんにちは。バルダイン陛下に報告したいことがあるのですが」

『陛下の盟友の頼みであれば、拒否するわけにはいかない。付いてきたまえ』

 ディークとフェイの案内により、街の中を進んでいく。
王宮に案内してくれるようだ。

「【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く