【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

138話 借金の一部返済

 ミティと初めて1つになった次の日。
今日も冒険者活動は休みとした。
やることがあるのだ。
具体的には、借金返済の件と、転移魔法陣の件がある。

 まず、ラーグ奴隷商会への借金の返済の件だ。
今の俺たちの資金は、金貨200枚ほど。

 ここで、俺たちの所持金の推移を整理しておこう。
この街に帰ってきた時に所持していたのは、金貨200枚ほどだった。

 その後、バルダインからもらった魔石を金貨200枚ほどで売却した。
モニカに金貨200枚を貸し出した。
モニカとニムの装備費などに金貨数十枚を使った。
普段の生活費で少しずつ使用した。
普段の冒険者活動で少しずつ稼いだ。
俺の治療回りで多少の稼ぎを得た。

 そしてつい先日、潜入作戦の報酬を受け取ることができた。
俺、ミティ、アイリスで金貨150枚ほどだった。
潜入作戦の依頼を受けたのはゾルフ砦でだったが、受け取りはラーグの街でもできる。
各地の冒険者ギルドは提携しているからな。

 その結果、今の俺たちの所持金は金貨200枚になっているというわけだ。
正直、資金の管理の仕方をまちがえた気がする。
誰の活躍によりどれだけの報酬金を得たか。
誰のためにいくら金を使ったか。
そのあたりがごちゃごちゃになっている。
把握しきれない。

 これはリーダーである俺のミスだ。
幸い、ミティ、アイリス、モニカ、ニムの4人からは特に不平不満が出ていないが。

 ミティとは昨日確かな絆を結んだし、もはや家族といってもいいだろう。
ミティと俺の財布をいっしょにすることには問題ない。

 他の3人はどうか。
パーティとして活動しているし、加護もついている。
家族に近い存在といえるだろう。
彼女たちも、俺やミティと財布をいっしょにしてもらってもいいかもれない。
そのほうがスッキリする。

 懸念事項としては、モニカへの貸し出し金の扱いだ。
家族になって貸し借りを帳消しにすることは、俺は構わない。
また、ニムは当時はパーティに加入していなかったので、モニカへの貸し出し金ついては関係がない。

 アイリスがどう思うかだ。
モニカへの貸し出し金は、パーティ資金から出している。
そこはアイリスも同意してくれていた。
とはいえ、その貸し出しの返済を免除するとなると話は別だろう。

 そのあたりは、一度パーティのみんなで話し合う必要がある。
うーん。
まあ、俺の考えすぎかもしれないが。
細かい貸し借りや報酬の差額など気にならないほど、稼げばいいのだ。
ステータス操作のチートの恩恵がある俺たちなら、それも可能だろう。
金貨の100枚や200枚などはした金と言える日が来ることに期待しよう。

 とりあえず、ラーグ奴隷商会への俺の借金はいくらか返済しておきたい。
返済の意思を示すためだ。
利子もあるしな。


●●●


 奴隷商会に到着した。
怖い顔のいつもの門番がいる。

「いらっしゃいませタカシ様。武器はこちらでお預かり致します」

 武器を預け、店内に入る。
若い店員に案内され、応接室に通される。
ソファに座る。
お茶が出される。

「お待たせしましたタカシ様。この街へ戻って来られたのですね」

 店長が部屋に入ってきて、そう言う。

「はい。1か月ほど前に戻ってきました。少しゴタゴタしていて、こちらに来るのが遅れてしまいました」

「噂は聞いておりますよ。この短期間でCランクになられたとか。ゾルフ砦のほうであった戦闘でも、大活躍だったそうではないですか」

「いえ。たまたま活躍の機会に恵まれただけです」

 さすが、大きな奴隷商会の店長をしているだけはある。
なかなかの情報網を持っているようだ。
この様子だと、俺がこの街に戻ってきていたことも事前に知っていたのだろう。

「ミリオンズの皆さまが、Cランク、Bランクへと昇格されていくことを期待していますよ。……ところで、本日はどのようなご用件でしょうか?」

「借金の返済にきました。まだ全額ではありませんが……」

「かしこまりました。着実な返済、ありがとうございます。今回はいかほど返済されるおつもりでしょうか?」

 手持ちの金貨は200枚。
日本円でいえば、200万円ほどだ。
パーティが5人になったし、余剰資金は多めに残しておきたい。
近いうちに、ガロル村とやらに行くつもりだしな。
どういう状況で金が要りようになるかわからない。

「今回は、金貨100枚を返済したいと思います」

 俺の残りの借金は、利子を含めて金貨300枚になっている。
キリがいいので、今回は金貨100枚を返済しておくことにする。
このあたりは、パーティのみんなにも相談済みだ。

「かしこまりました。タカシ様のご活躍は、私どもの想像以上ですな。この調子ですと、3年と言わずに今年中の完済もありえますな。いえ、別に急かしているわけではありませんが」

 以前返済したのは、確か5月初旬だった。
今日は9月2日。
4か月経っている。
その結果金貨100枚を返済しているのだから、月々金貨25枚以上を稼いでいることになる。

 改めて計算してみると、それほど稼いでいるわけでもないな。
まあモニカへ大金を貸し出したし、日々の生活費や冒険者としての必要経費もあるしな。

 店長が、若い店員と何やら話す。
若い店員が部屋から出ていった。

「ただいま、返済証明書の発行の手続きをしております。しばらくお待ちください」

「わかりました」

 このあたりは以前も同じ流れだった気がする。
しばらく待つ。

 店長と情報交換を兼ねた雑談をしているうちに、若い店員が部屋に戻ってきた。
若い店員が店長に書類を渡す。

「では、準備が整いましたので、返済の手続きに入りたいと思います。まずは、今回返済されます金貨100枚をお出しいただけますか?」

「わかりました」

アイテムボックスから金貨100枚を取り出す。
机の上に置く。

「こちらで金貨100枚になります」

「はい。……確かに、100枚ありますな」

 店長が金貨を数える。
無事に数え終えると、書類に何やら書き込み、印鑑を押した。

「では、こちらが返済の証明書になります」

 1枚の紙を渡された。
重厚感のある特殊な紙だ。

 内容を読む。
俺が金貨100枚を返済し、残りの借金が金貨200枚になったことが記されている。
店長のサインと、ラーグ奴隷商会の印鑑も押してある。
以前もらった証明書と同じような様式だ。

「そちらにタカシ様のサインをお願いいたします」

 拒否する理由もないので、サインする。

「それでは、以上で一部返済の手続きを終了とさせていただきます。この度は、迅速な返済、ありがとうございました」

「いえ。今後も確実に借金を返済していくつもりですので、よろしくお願いします。またこの街を離れる予定ですので、次回の返済はしばらく後になるかと思いますが」

「承知しました。私どもとしましては、タカシ様の完済は確信しておりますので、全く問題ありません。ご活躍をお祈りしております」

 店長がそう言う。
無事に借金の一部返済が終わった。
ラーグ奴隷商会を後にする。

 次の用事を済ませよう。
転移魔法陣の件だ。

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