【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

124話 ダリウスとマムに報告

 モニカとニムに秘密を打ち明けた翌日。
ラビット亭にやってきた。

 まだ開店前だ。
人は俺たちしかいない。

 ダリウスに話しかける良いタイミングだ。

「ダリウスさん。少しよろしいですか?」

「ん? どうした? タカシ君」

「モニカさんを私にください!」

 ……ん?
少し言葉選びを間違えたかもしれない。

「ほう! モニカもやっといい男を見つけたか! 心配していたんだ!」

「お父さん! もう!」

 うれしそうなダリウスに対して、モニカは少し顔が赤くなっている。

「3人目というのがちと気にくわんが、まあ悪くはないか。将来有望な治療魔法師さんだしな!」

 ダリウスがそう言う。

「私の本業は冒険者です。こちらのミティ、アイリスとともに3人で活動しています」

「ん? そうか。治療魔法師ではないのだな」

「はい。そして、モニカさんにもパーティに加入していただきたいのです。先ほどの言葉はそういう意味です」

「なんだ、結婚ではないのか」

 ダリウスが少し残念そうな顔をする。

「……それにしても、冒険者だと? モニカにできるのか? 格闘の心得は多少は教えているが、ほとんど素人だぞ?」

 モニカは格闘術レベル1を所持している。
ダリウスが教えていたようだ。

「問題ありません。私の見立てでは、モニカさんには才能があります」

 厳密には、才能ではないけどな。
ステータス操作というチートの前では、才能など誤差の範囲でしかない。
大事なのは本人の意欲だ。

「ふむ。才能か。……モニカはどう考えているのだ?」

 ダリウスがモニカにそう尋ねる。

「才能があるかはわからないけど。やるだけやってみたいな。店のことは気になるけど」

「そうか。モニカがそう言うのであれば、無理に止める気はない。店のことはお父さんに任せなさい。……しかし、危険はないのか?」

 ダリウスがそう心配する。

「しばらくはこの街の近郊で活動します。無理はしません」

「それならいいか。まずはやってみるといい。挫けそうになったら、いつでもやめていいんだぞ」

 ダリウスがモニカにそう言う。

「わかった。ありがとう、お父さん」

 モニカがそうお礼を言う。

「ちなみに、冒険者としてやっていけそうだと判断したら、遠出する機会もあるんだろう?」

「そうですね」

 隊商の護衛依頼でラーグの街を離れることもあるだろう。
もしくは、ミッションにより指示される可能性もある。
依頼やミッションを別としても、レベリングや新たな仲間を求めて他の街へ旅していくつもりだ。

「どうせなら、食の都にも行ってこい。料理人として、いろいろと学ぶことも多いだろう」

 ダリウスがモニカにそう言う。

 食の都グランツ。
マヨネーズが作られた街だ。
アドルフの兄貴やレオさんも、観光地としてオススメしていた。

「そうだね。私も行ってみたいとは思っていたよ。料理人の憧れだよねえ」

 モニカがそう言う。

「食の都か。俺も噂で少し聞いたことがある街だな。どんな街なんだ?」

「Sランク冒険者の”食王”グランさんが治める都市国家だよ。全世界の良質な料理が食べられるらしい」

 モニカがそう説明する。

「へえ。行ってみたいな」

「おいしい肉料理もあるのでしょうね。私も行ってみたいです」

「ボクも行きたいな。近隣の街には行ったことがあるけど、グランツには行ったことないし」

「い、いいですね」

 モニカ、俺、ミティ、アイリス、ニム。 
5人の意見が一致した。

「ここからだとちょっと遠いし、まあゆくゆくだね」

 アイリスがそう言う。
俺は地理関係はよく知らないが、中央大陸から来たアイリスがそう言うならそうなのだろう。

「……それはそうと、モニカがいなくなると店の人手が足りなくなるな。誰か雇うか……。ニムちゃん、どうだ?」

 ダリウスがそうニムを誘う。

「え、えっと。ごめんなさい」

 ニムが困り顔をして、ダリウスの誘いを断る。

「ニムちゃんにも、パーティへの加入を打診しているのです。マムさんへの相談はこれからですが」

「なにい!? 正気か? こんな小さな子どもを」

 ダリウスが驚く。

 そりゃそういう反応になるか。
ニムは10歳と少し。
冒険者ギルドの規約をギリギリ満たしてはいるが。

「ニムちゃんにも才能があるのです」

 とりあえずそう言うしかない。

「にわかには信じられんが……。まあ余所の子の進路にあれこれ口を出すのも無粋か。マムさんの判断に任せよう」

 ダリウスは困惑した顔のままだが、とりあえずは引き下がってくれた。

「それで、マムさんのところにはいつ行くんだ?」

「今から行こうかと思っています」

「ふむ。心配だし俺も付いていこう。モニカも同時に加入するわけだし、無関係というわけでもない」

「わかりました。ニムもそれで問題ないか?」

「は、はい。だいじょうぶです」

 ニムがそう返事をする。

 さっそくマムさんのところへ向かうことになった。

 俺、ミティ、アイリス。
モニカ、ニム、ダリウス。
6人でニムの家に向かう。


●●●


 ニムの家に着いた。

「こんにちは。マムさん」

「あらあら。こんにちは。タカシさんにダリウスさん、それにみなさん。何かご用かしら?」

 マムが出迎えてくれる。

「大切な話があります。ニムさんを私にください!」

 ……ん?
また少し言葉選びを間違えたかもしれない。
なんか、毎回間違えている気がする。
気のせいか?

「む、娘は結婚にはまだ早いと思います。治療していただいたことには感謝していますが……」

 マムが動揺した顔でそう答える。

「し、失礼しました。少し言葉選びを間違えました。……ニムさんに、冒険者として私たちのパーティへ加わって欲しいという意味です」

「……ニムが冒険者に? ご冗談でしょうか?」

 マムがそう聞き返してくる。
まあ、10歳と少しの女の子を冒険者として勧誘してるわけだし、そういう反応になるよな。

「ニムさんに才能の片鱗を感じたのです。しばらくこの街の近郊で活動し、見極めさせていただきたいと思っています」

 モニカのときと同じような説明をする。
実際には、才能はあまり重要ではないが。
ステータス操作というチートの前では、才能など誤差の範囲でしかない。
大事なのは本人の意欲である。

「才能ですか……。ニムに冒険者が務まるかしら? 根は強い子だけど、まだ小さいのに」

 マムが心配顔でそう言う。
完全拒否というわけでもなさそうだ。

「もちろん、慣れないうちは全力でサポートします。本人もやる気です」

「そうなの? ニム」

「う、うん。がんばってみる」

 ニムがそう言い、意気込む。

「じゃあ、少しの間のお試しということでなら……。畑仕事はママがしておくから気にしないでね、ニム。……でも、あんまり危険なところへは行かせないでくださいね」

 マムの了承をもらえた。

「もちろんです。ちなみに、モニカさんにも合わせて加入してもらいます。しばらくは2人のペースに合わせて活動します」

「まあ、モニカちゃんも?」

 マムが驚いた顔でモニカを見る。

「うん。ニムちゃんとがんばるよ」

「ああ、それでモニカちゃんとダリウスさんも来ていらしたのね。ちょっと不思議には思っていました」

 マムがそう言う。

「モニカ。お前のほうが年上なんだから、ニムちゃんを支えてやるんだぞ」

 今まで黙って聞いていたダリウスが、そう言う。

「わかってるよ。ニムちゃんはもうすぐ私の妹になるかもしれないし、なおさらちゃんと見ておくよ」

 モニカがいたずら顔でそう言う。

「妹……? こらっ。大人をからかうなっ」

 ダリウスがそう言う。
少し怒っているような口調ではあるが、表情はそうでもない。
顔を赤くし、照れたような感じだ。

 マムも同じような表情だ。

 つまり、そういうことか。
お熱いことだ。
祝福の準備をしておく必要があるかもしれない。

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