【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

120話 ダリウスの病状の急変:治療魔法レベル4

 数日が経過した。
俺たちは、午前中は冒険者として活動し、午後はニムの畑の復旧を手伝っている。
夕食はニムも誘ってラビット亭でとっている。

 ニムの畑の復旧はほぼ完了しつつある。
また、ラビット亭の客入りも増えてきている。

 全てが順調だ。
何も問題ない。
そう油断していたのがいけなかったのか。

 ラビット亭で夕食を済ませ、宿屋でくつろいでいたとき、誰かが部屋に駆け込んできた。

「タカシ! アイリスさん! 大変なの! 急いで来てほしい!」

 モニカだ。
ただごとではない雰囲気だ。

「わかりました! すぐに行きます!」

 俺は宿屋を飛び出す。
アイリスやミティも付いてくる。

 モニカに付いていきながら、事情を聞くことにする。

「モニカさん。いったい何があったのです?」

「お父さんの容態が急変したの! ずっと調子は良さそうだったのに」

 そういうことか。
一刻も早く治療魔法をかける必要がある。
俺の中級治療魔法でうまく症状を緩和させられるといいのだが。
もし中級でうまく緩和できなければ……。

 ラビット亭に着く。
店の奥に行く。
部屋に入る。

「うう……。はあはあ……」

 ダリウスがベッドで寝ている。
顔色が悪い。
かなり具合が悪そうだ。

 横には、医者のような男が立っている。
また、ニムもいる。
心配で様子を見に来たのだろうか。

「手は尽くしたのですが……。今夜が峠でしょうな」

 医者のような男がそう言う。

「そんな!」

 モニカが悲壮な顔でそう叫ぶ。

「治療魔法をかけましょう。いいですね?」

 俺は男とモニカにそう確認する。

「ほう。治療魔法を使える方ですか。ぜひお願いします」

「お願い、タカシ、アイリスさん」

 許可が出たので、治療魔法の詠唱を開始する。

「……神の御業にてかの者を癒やし給え。ヒール」

 淡い光がダリウスを包む。
彼の顔色が少し良くなった気がする。
続けて、アイリスも同じくヒールを発動する。

「ぐ……。はあはあ……。モニカ……」

 ダリウスが何とか意識を取り戻した。
しかし、まだまだつらそうだ。
ヒールではやはり不十分なのか……。

 思い切って治療魔法をレベル4に強化するか?
いや、しかし……。
上級の治療魔法は俺の手に余る。
ううむ。
躊躇している場合ではない。
でも、しかし……。

「モニカ……。不甲斐ない父ですまんな。母親をなくし、さみしい思いもさせてしまった」

 ダリウスが苦しそうな声でそう言う。

「そんなことないよ! 私、お父さんの娘でよかった!」

 モニカがダリウスの手を握りながら、そう叫ぶ。
彼女の目からは涙が溢れている。

「ありがとう、モニカ。……タカシくん、娘を頼む。少々お転婆なところもあるが、自慢の娘だ……」

「わかりました。任せてください」

 どうしよう。
どうする。
どうすべきか。
迷っている時間はない。

「モニカ……。最後の別れだ。元気でな……」

 ダリウスがそう言って、目を閉じる。
意識を失ったようだ。

「お父さん! お父さん! 待って! 私を置いていかないで!」

 モニカがダリウスにすがりつく。

 ええい。
治療魔法が俺の手に余るとか、言っていられるか!
目の前でこんな事態に遭遇して、冷静でいられるほど俺は大人ではない!

 ステータス操作で治療魔法をレベル4に強化する。
治療魔法レベル4はリカバリーだ。

 細かい効果の考察は後回しでいい。
とにかく治療魔法をかけるぞ。
間に合ってくれ。

「上級の治療魔法はまだ練習中だったけど、試すだけ試してみるよ。モニカ、いいか?」

「タカシ……。お願い……」

 モニカが涙ながらに見てくる。
失敗するわけにはいかない。

 リカバリーの詠唱を開始する。
かなり長めの詠唱になりそうだ。
…………。
……。
詠唱の終わりが近づく。

「……彼の者に安らかなる癒やしを。リカバリー」

 俺の体から力がふっと抜ける。
MPをかなり消費したようだ。

 淡い光がダリウスを包む。

「うう……!」

 ダリウスが呻く。
ギリギリ間に合ったようだ。
彼の顔色が少し良くなった気がする。

「もう一度やってみます」

 再度、リカバリーの詠唱を開始する。
…………。
……。
詠唱の終わりが近づく。

「……彼の者に安らかなる癒やしを。リカバリー」

 淡い光がダリウスを包む。
ダリウスの顔色が良くなってきた。

「ど……どうなったの……?」

 モニカが、おそるおそるといった感じでそう尋ねる。

「ふむ……」

 医者のような男がダリウスの様子を見る。
意識は失っているが、穏やかな顔色だ。
呼吸も安定している。

「……どうやら、峠は越えたようです」

「よかった……!」

 モニカが安堵する。

 しばらくはダリウスの容態を見守る。
少しして、ダリウスが意識を取り戻した。
モニカや医者のような男と会話もできている。
これで一安心だ。

 ダリウスが再び眠りにつく。

 もう夜も遅い。
ダリウスの容態が確かに落ち着いたのを確認できたので、帰ることになった。
医者のような男も帰り支度を整えている。

「念の為、数日間は特に注意しておく必要があるでしょう。何かあれば、すぐに私を呼んでください」

 男がそう言う。

「わかりました」

 モニカがそう答える。

「モニカさん。俺もいつでも呼んでください。すぐに駆けつけます」

「わかった。本当にありがとう、タカシ。私にできることがあったら、何でも言ってね」

 モニカがそう言う。
ん?
今何でもするって言ったよね?

 彼女にしてほしいことはある。
しかし、今この場で言うのもな。
落ち着いてからタイミングを見て伝えよう。
断られる可能性もある。
覚悟の準備が必要だ。

 モニカの家を出る。
俺、アイリス、ミティ、ニム。
そして医者のような男もいっしょだ。

 帰り道。
その医者のような男が話しかけてくる。

「……それにしても、お若いのに上級の治療魔法を使えるとは。すばらしい腕前ですな。感服しました」

 医者のような男が俺に向かい、そう言う。

「ずっと練習していたのです。土壇場で成功できてよかったです」

「ふむ。……申し遅れました。私は医者のナックと申します。私の受け持ちの患者に、私の治療魔法や薬だけでは治しきれない者がいるのです」

 医者のような男は、やはり医者だったようだ。
治療魔法を使えるらしい。
普段は、治療魔法や薬の力で病人を治療しているわけか。

「それは大変ですね」

「ぜひ、あなたを紹介させていただきたい。貧しい者もおり、謝礼はそれほど出せないかもしれませんが」

 ナックが心苦しそうな顔でそう言う。

「考えておきましょう」

 うーん。
やはり、当初から懸念していたことが現実になりそうか。
俺の精神力では、病人を見てみぬ振りをすることは難しい。
しばらくは治療回りになるかもしれない。
レベリングが疎かになりそうだ。

 まあ仕方ないか。
モニカの父を見捨てるわけにもいかなかったしな。
後悔はない。

「……あ、あの!」

 ニムが、突然大きめの声をあげる。

「ん? ニム、どうした?」

「私の母も看ていただけませんか!? お願いします!」

 ニムがそう言って、頭を下げてくる。

「確かに、彼女の母も私の受け持ち患者の1人で、難病を患っています。ダリウス氏よりも症状は軽いですが」

 ナックがそう言う。

 そういえば、ゾルフ砦に向かうより前の時期に、ニムからそういう話を聞いたような気がする。

「……うん。そういうことなら、もちろん治療させてもらおう。ただし、成功するかはわからないぞ」

 見知らぬ他人でもスルーするのは難しい。
ニムの母親なら、なおさらスルーすることは無理だ。
治療する以外の選択肢はない。

「ありがとうございます!」

 ニムがそう言って、頭を下げる。

 今日はもう夜遅い。
ダリウスとは違い一刻を争うわけではないため、ニムの母親の治療は明日行うことになった。
無事に治療できればいいのだが。



レベル16、たかし
種族:ヒューマン
職業:剣士
ランク:C
HP:120(92+28)
MP:150(60+90)
腕力: 90(50+15+25)
脚力: 85(47+14+24)
体力:127(55+17+55)
器用: 68(52+16)
魔力:112(56+56)

武器:紅剣クリム
防具:アイアンアーマー、アイアンシールド

残りスキルポイント5
スキル:
ステータス操作
スキルリセット
加護付与
異世界言語
剣術レベル4
格闘術レベル1
回避術レベル2
気配察知レベル2
気配隠匿レベル1
視力強化レベル1
MP強化レベル3
腕力強化レベル1
脚力強化レベル1
体力強化レベル2
魔力強化レベル2
肉体強化レベル3
闘気術レベル3 「開放、感知、集中」
火魔法レベル5 「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム、火魔法創造 “二十本桜” “バーンアウト”」
水魔法レベル1 「ウォーターボール」
風魔法レベル1 「エアバースト」
治療魔法レベル4 「キュア、ヒール、エリアヒール、リカバリー」
空間魔法レベル3 「アイテムボックス、アイテムルーム、転移魔法陣作成」
高速詠唱レベル1
MP消費量減少レベル2
MP回復速度強化レベル1

称号:
犬狩り
ホワイトタイガー討伐者
ジャイアントゴーレム討伐者
オーガ・ハーピィの盟友
ガルハード杯ベスト16

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