【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

114話 モニカの苦境

 冒険者で護衛依頼の達成報告を済ませた。
冒険者ギルドから出る。

 さて。
モニカとニムのことが心配だな。

「ミティ。まずはモニカさんのところに行こうか」

「そうですね。彼女の身や店が無事か心配です」

 ミティが心配顔でそう言う。

「モニカって?」

 アイリスがそう尋ねてくる。

「ああ、この街で贔屓にしていた料理屋の店員さんだよ。親しくさせてもらっていてね」

「そうなんだ。わかった。ボクも付いていくよ」

 3人でモニカのラビット亭に向けて歩き出す。

 ラビット亭が見えてきた。
が、これは……。

「食堂が……半壊しているね」

「そうですね……。街中の家屋にも魔物による被害が出たとは聞いていましたが」

 ミティがそう言う。

「嫌な予感はしていた。でもまさか、よりによってモニカさんの店が被害にあったとはな」

 モニカは無事なのか。
聞いた話では、死者はいないということではあったが。
しかし、ケガはしている可能性がある。

 半壊している店の奥から女性が出てきた。
モニカだ。

「タカシ……? それにミティも。久しぶりだね」

「お久しぶりです。モニカさん」

「護衛依頼で他の街に行ってたんだっけ? この街に戻ってきたんだね」

 心なしか、モニカの表情が少し暗い気がする。
それはそうか。
自分の店が被害にあったんだからな。

「ええ。先ほど戻ってきたところです」

「来てくれたところ申し訳ないけど、しばらく料理は出せそうにないよ」

「いったい何があったのですか?」

「少し前に、魔物が街に入り込んで暴れたんだ。運悪く、私の店が被害にあった」

 本当に、運が悪かったとしか言いようがないな。
周囲の他の家屋も多少の被害はあるようだが、ラビット亭の被害はその中でも大きい。

「それは……、残念でした。ケガはありませんでしたか?」

「逃げるときに、足をちょっとね。奥で療養していた父は、何とか無事だった。不幸中の幸いだね」

 モニカの足を見る。
確かに、ケガをしているようだ。
包帯を巻いている。

 小さくないケガのようだ。
歩けないほどではないみたいだが。
日常生活にも少し支障が出てしまうレベルだろう。

「お父様にケガがなくてよかったです」

「目下の悩みは、店の修繕をどうするかだね。貯金もそんなにないし、父の病気のこともあるし……」

 モニカが少し沈んだ顔でそうこぼす。

「おっと、話しすぎたかな。まあ自分たちで何とかするよ。国や街から何か補助金が出るかもしれないし。無事に店を再開できたら、また食べにきてね。約束していた魚料理を振る舞うよ」

 モニカはそう言って半壊している食堂に戻っていった。


 うーん。
何とかしてあげたいところだ。

 モニカの忠義度は現状25ぐらい。
低くはないが、特別高くもない。
だが、今回の件でうまく手伝えれば50以上も可能かもしれない。

 忠義度の件は別としても、彼女の沈んだ顔は見たくない。
それに、彼女のおいしい料理をまた食べたい気持ちもある。

「モニカさんの店の再建を手伝いたいな。ミティとアイリスはどう思う?」

「タカシ様がそうおっしゃるのであれば、もちろん賛成です。私としても、知らない仲ではありませんし」

 ミティがそう言う。

「ボクも賛成だよ。神官として、困っている人は助けないとね」

 アイリスがそう言う。

 ミティ、アイリスともに前向きに考えてくれるようだ。
彼女たちなら、そう言ってくれると思っていた。

「ありがとう。具体的な案は何かあるか?」

 俺にもいくつか案はあるが、まずは彼女たちの案を聞いてみよう。

「力仕事なら私に任せてください。後は、お金を貸してあげるとかでしょうか? タカシ様が私にくださっているお金は、あまり使わずに貯めてあります」

 ミティには、自由に使ってもらうお金として、稼いだ額の一部を渡している。
ちなみに俺自身にも同程度の額を設定して、お小遣いとして管理している。

 残りはパーティとしての活動資金だ。
日々の生活費や装備の購入資金、そして借金の返済金はそこから出す。
そういう方針で資金を運用している。

 アイリスがパーティに加わったので若干の見直しを検討中だが、基本的には同じような方針で今後も進めていくつもりだ。

「ミティの案は良いね。お金は、ミティの貯金ではなくて、パーティ資金から出そうかな。アイリスもそれでいいか?」

「お金の件はそれでいいよ。あと、さっきの話だと、病気かケガで療養中の父親がいるんでしょ?」

「ああ。あまり言いふらすことでもないが、働けないレベルの病気らしい」

 俺も会ったことはないし詳細を聞いたこともないので、詳しくは知らないが。

「ボクの治療魔法を試してみたいな。強化してもらったし、症状の緩和ぐらいはできるかもしれない」

「なるほど。俺も治療魔法を強化したし、試してみるか」

 俺もアイリスも、治療魔法をレベル3まで強化している。
いわゆる中級の治療魔法までなら使える。
試してみる価値はある。

 モニカの父ももちろんだが、モニカ自身も足をケガしていた。
まずはそっちの治療も行わないとな。

 方針は決まった。
力仕事を手伝う。
お金を貸す。
治療魔法を試す。
以上の3つだ。

 このうち、力仕事と治療魔法は、今すぐにでも行うことができる。
一方で、お金を貸すことは少し慎重に検討すべきだ。

 今の俺たちの所持金は金貨200枚はある。
この世界の家屋の修繕費の相場はわからないが、足しには十分になるだろう。

 しかし、俺には借金がある。
金貨270枚分だ。
それを踏まえると、ポンと大金をモニカに貸せるほどの余裕はない。
 
 ……ん?
そういえば、バルダインからもらった魔石があったか。
売れば金になると言っていた。
特に謂れなどがないものとのことだし、思い切って売ってみるか。

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