【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

112話 再戦、リトルベア&クイックマリモ

 村長からリトルベア討伐の依頼を受けた。

 他のパーティを誘ってリトルベアの討伐に向かう。
誘ったのは、Dランク4人のパーティだ。

 最近Dランクに上がったばかりの駆け出しらしい。
メンバーの年齢は10代中盤くらいかな。
結構若い。

 彼らのパーティ名は”ラーグの守り手”。
ラーグの街を拠点に、低級の魔物の討伐を中心に活動中。
最近では隊商の護衛依頼も受け始めているとのことだ。
Dランクではあるが、全体的に耐久を重視した戦闘スタイルとのことだったので、彼らに声をかけた。

 これで懸念点の1つ目、タンク型のメンバーの不在は払拭できたことになる。
懸念点の2つ目、追撃に優れたメンバーの不在を払拭できるようなパーティは、残念ながらいなかった。
まあ、タンク型メンバーの不在のほうが、追撃メンバーの不在よりも懸念度は大きい。
今回はこれでよしとしよう。
リトルベアに逃げられたら逃げられたらで、仕方ない。

 森に入り、あたりを歩き回る。
歩き回る。

 ほどなくして、1体のリトルベアを見つけた。
やや小さめの個体だ。
向こうはまだこちらに気づいていない。

 メンバーに小声で合図をする。

「(では、打ち合わせ通りに。俺の火魔法で先制する。ミティ、追撃は頼むぞ)」

「(お任せください)」

 心の中で魔法の詠唱を開始する。
両手を前方にかざし、魔法を発動させる。

「ファイアートルネード!」

 ごうっという音と共に火の竜巻が発生し、リトルベアを襲う。
奴が悲鳴をあげる。

 以前のリトルベア戦のときよりも、俺の魔力の基礎ステータスは上がっている。
その分、少し威力も上がっているはずだ。
リトルベアにかなりのダメージを与えた。

 奴がこちらに気付き、威嚇の声をあげる。
走って近寄ってくる。

「ビッグ……メテオ!」

 ミティが投石で奴を迎え撃つ。
ビッグバンの技名に合わせて、投石時の掛け声を変えたと言っていた。

 さらに。

「炎あれ。我が求むるは豪火球。二十本桜!」

 俺の二十本桜で迎え撃つ。
やや小さめのファイアーボールの20発同時発動だ。
防衛戦後のハガ王国滞在中や、ゾルフ砦からここまでの道中でコツコツと練習して数を増やしておいたのだ。

 ミティの投石と俺の二十本桜がリトルベアを襲う。

「ぎゃうっ!」

 リトルベアが悲鳴を上げる。
大きなダメージを与えた。
既に、やや動きが緩慢になっている。

 リトルベアがこちらにたどり着いた。
飛んで火に入る夏の虫だ。
近接攻撃で止めを刺そう。

「豪・裂空脚!」

 アイリスの回し蹴りがリトルベアに直撃する。

「斬魔一刀流……火炎斬!」

 俺の斬魔剣で斬りつける。
火魔法を剣に纏わせて攻撃する技だ。
高い集中力が必要となるが、これもコツコツと練習して安定性が増してきた。

「ビッグ・ホームラン!」

 ミティがハンマーを全力でスイングする。
リトルベアが吹っ飛ぶ。

 リトルベアは吹っ飛ばされたあと、大きめの木にぶつかった。
木がミシッという音を立てる。

 リトルベアはそのまま起き上がってこない。
どうやら討伐できたようだ。

 ちょっとオーバーキルだったか。
ここまでやる必要はなかったかもしれない。

 リトルベアの死体を見る。
焦げているし、大きな切り傷はあるし、大きな打撲跡もある。
やはりやり過ぎだ。
買取金額が大きく下がってしまうだろう。
今後は気をつけなれば。

 リトルベアの死体をアイテムルームに収納する。

 アイテムルームは生物を収納できない。
そういう意味では、確実に獲物が息絶えているかの確認にも使える。

「ふう。無事に討伐できてよかったよ」

 終わってみれば、討伐だけなら俺、ミティ、アイリスの3人で十分だったな。
声をかけたDランク4人のパーティ”ラーグの守り手”の出番は一切なかった。

「そうだね。タカシとミティの先制攻撃で大ダメージを与えられたら、後は楽なものだね」

 アイリスがそう言う。

「み、みなさん。ものすごいのですね」

 守り手の1人が驚いた顔でそう言う。

「他のCランクの方と臨時パーティを組んだことはありますが、これほどの火魔法は初めてみました!」

 守り手の他の1人が目を輝かせながらそう言う。

「それに、女性のお二方は僕たちと同じDランクですよね。C、……いや、Bランクと言われても信じますよ!」

 守り手の面々からの絶賛が止まらない。

 褒められるのはうれしいことだが、少し照れくさい。
顔がニヤついていないだろうな。
Cランクとして威厳を保つのだ。

 ちなみに、ミティは少しうれしそうだ。
アイリスはここぞとばかりにドヤ顔している。

「俺はこの前Cランクに上がったばかりだし、まだまだ未熟者だよ。さあ、それよりも次にいこう」

 顔がニヤつきそうになるのをこらえつつ、そう言う。
この調子だと、リトルベアをもう数匹は倒せそうだ。
どんどん倒して、レベリングと金稼ぎをしていこう。
依頼元の村の平穏にも繋がるしな。

 次は俺たちの攻撃の威力を少し抑えめにして、リトルベアの買取金額が下がらないようにしたいところだ。


●●●


 その後、もう1体のリトルベアを無事に討伐した。
戦闘の流れは、最初のリトルベアとほぼ同じだ。
俺たちの攻撃の威力を少し抑えめにしたため、ラーグの守り手の出番も少しはあった。

 さらに次のリトルベアを探して歩き回る。
しばらく歩き回る。

 見覚えのある魔物に遭遇した。

「あれは……」

 毛の生えたボール型の魔物だ。
10匹ぐらいの群れ。
直径はだいたい10センチぐらいか。
直径20センチ以上の大きい個体もいる。

「確か、クイックマリモでしたか」

 ミティがそう言う。

 以前、俺とミティが苦戦した魔物だ。
Dランクのハルトマンたちは、多少の時間をかけつつも問題なく討伐していたのに。
俺たちとハルトマンたちとの判断力や反応速度の差を目の当たりにし、経験不足を痛感したものだ。

「討伐しようか。さほどの危険はない魔物だし」

「わかりました!」
「オーケー!」
「「「「了解です!」」」」

 ミティとアイリス、それに”守り手”の4人がそう返事をする。

「散解して各個撃破を狙え。近くで戦うときは同士撃ちに注意するように」

 俺はそう指示を出す。

 クイックマリモが近づいてくる。
各人が少し距離を取ってクイックマリモと戦い始める。

 さて、俺も迎え撃つか。
迎撃の構えを取る。

 クイックマリモが飛び跳ねながら、こちらに近づいてくる。
地面、木、岩。
そこらにあるものを活かした立体的な軌道だ。
かなり速い。

 以前クイックマリモと戦ったときよりも、俺はあらゆる点で強くなっている。
剣術レベルを強化した。
格闘術を取得した。
闘気術を取得した。
剣の質が向上した。
さらに、少し前には視力強化を取得した。
もはや、クイックマリモなど敵ではないはず。

「……そこだ!」

 クイックマリモの立体機動を見極め、剣で攻撃する。
俺の剣は見事にクイックマリモを捉えた。
一撃だ。

「……はああ! 裂空脚!」

 少し離れたところでは、アイリスが別のクイックマリモと戦っている。
彼女の回し蹴りがクイックマリモを捉えた。
クイックマリモが息絶える。

 アイリスは視力強化を取得していない。
だが、もともと動体視力や技術が優れている上で、格闘術などをステータス操作により強化している。
彼女は視力強化なしでもクイックマリモに対応可能なようだ。

「はあっ。せいっ」

 さらに別のところではミティがクイックマリモと戦っている。
ミティはなかなか攻撃を当てられていない。
彼女は腕力強化や槌術など、パワーを活かしたスキル構成にしている。
スピード型の魔物と相性が悪いのは仕方ないか。

「ちっ。ちょこまかと。……ビッグ……」

 ミティがしびれを切らした。
大技の構えを取る。

「ボンバー!」

 闘気により腕力を強化した上で、ハンマーを強烈に振り下ろす。
拳による攻撃よりも、威力は大きい。
クイックマリモに直撃はしなかった。
ハンマーが地面に当たり、衝撃が周囲に広がる。

 衝撃の余波や飛び散る石などにより、クイックマリモに多少のダメージが入ったようだ。
動きが遅くなっている個体を狙い、ミティが追撃の構えを取る。

「エアバースト!」

 クイックマリモがミティの風魔法により吹き飛ばされ、木にぶつかる。
木にぶつかったダメージにより、動きはかなり鈍っている。

「せいっ!」

 ミティのハンマーによる追撃がクイックマリモに直撃した。
クイックマリモが息絶える。

 かつては苦しめられた魔物だが、今の俺たちならば何の問題もないな。
メルビン道場での訓練、ガルハード杯、防衛戦、潜入作戦。
この数か月で、大幅に強くなることができた。

 残りのクイックマリモも俺たちで順調に片付けた。
守り手たちも、何とか2匹だけ倒すことができたようだ。


 時間も頃合いになったので、村に戻る。
村長に報告し、報酬金をもらう。
クイックマリモの素材も買い取ってもらう。

「さて。報酬を分けよう。最初の取り決め通り、2パーティで山分けでいいな?」

 俺たちのパーティと守り手で2等分にする取り決めだ。
こちらのパーティはCランク1人とDランク2人。
向こうのパーティはDランク4人。
ある程度は公正な配分だろう。

「お、俺たちはほとんど何もしていないのに、そんなにもらってもいいのですか?」

 守り手の1人がそう言う。
確かに、1体目のリトルベア戦では彼らは何もしていない。
2体目のリトルベア戦でも、彼らは少し戦っただけ。
クイックマリモ戦でも、わずか2匹を討伐したのみ。
ほとんど何もしていないというとさすがに言い過ぎだが、さほど活躍はしていない。
しかし、それは結果論だ。

「いいも何も、最初の取り決めだろう。それに、たまたまうまくいったから君たちの出番がなかっただけだし」

 俺はそう言う。

「タカシ様の火魔法や私の投石が避けられて乱戦になった場合は、あなたたちにケガ人が出ていたリスクもあります」

 ミティがそう付け加える。

「そうだね。それもふまえての配分だよ。ボクも問題ない配分だと思うよ」

 アイリスがそう言う。

「と、いうことだ。遠慮する必要はない。受け取っておけ」

 俺はそう言って、守り手に報酬の取り分を差し出す。

「そ、そういうことでしたら、遠慮なくいただきます。ありがとうございます!」

「「「ありがとうございます!」」」

 守り手の1人が報酬の取り分を受け取る。
他のメンバーも含めて4人がお礼を言いつつ頭を下げる。

 別に最初の取り決め通りだし、お礼を言われるようなことではない気もするが。
しかし、結果論とはいえ、ほぼ何もせずにそれなりの報酬を得ることができれば、感謝の念も生まれるか。

 4人の忠義度を確認してみる。
4人とも、この短時間で20ぐらいになっていた。
ふむ。
駆け出しの冒険者を指導して忠義度を稼ぐのも、悪くはないかもしれないな。
かつて、俺がアドルフの兄貴やレオさんから指導していただいたときみたいに。
今後の選択肢の1つに入れておこう。


レベル16、たかし
種族:ヒューマン
職業:剣士
ランク:C
HP:120(92+28)
MP:150(60+90)
腕力: 90(50+15+25)
脚力: 85(47+14+24)
体力:127(55+17+55)
器用: 68(52+16)
魔力:112(56+56)

武器:紅剣クリム
防具:アイアンアーマー、アイアンシールド

残りスキルポイント20
スキル:
ステータス操作
スキルリセット
加護付与
異世界言語
剣術レベル4
格闘術レベル1
回避術レベル2
気配察知レベル2
気配隠匿レベル1
視力強化レベル1
MP強化レベル3
腕力強化レベル1
脚力強化レベル1
体力強化レベル2
魔力強化レベル2
肉体強化レベル3
闘気術レベル3 「開放、感知、集中」
火魔法レベル5 「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム、火魔法創造 “二十本桜” “バーンアウト”」
水魔法レベル1 「ウォーターボール」
風魔法レベル1 「エアバースト」
治療魔法レベル3 「キュア、ヒール、エリアヒール」
空間魔法レベル3 「アイテムボックス、アイテムルーム、転移魔法陣作成」
高速詠唱レベル1
MP消費量減少レベル2
MP回復速度強化レベル1

称号:
犬狩り
ホワイトタイガー討伐者
ジャイアントゴーレム討伐者
オーガ・ハーピィの盟友
ガルハード杯ベスト16

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