【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

103話 ミティの鍛冶デビュー

 さらに数日が経過した。
俺たちは、日々の仕事をこなしつつ、ハガ王国に滞在している。

 今までに何度か、六天衆、六武衆、潜入組で合同訓練を行った。
いろいろと学ぶことが多い、有意義な訓練だった。

 転移魔法陣の件は、バルダインに依頼したところ王宮の隅の小さな部屋を俺用に確保してもらえることになった。
隙間時間を使ってその部屋にしっかりとした転移魔法陣を少しずつ描いている。

 今日は俺が参加する会談はない。
ミティといっしょに力仕事をこなし、先ほど一段落したところだ。
ちなみにアイリスは治療で街中を回っており、別行動である。

 俺とミティで街を散策する。

「……ん? あれは……」

「鍛冶場ですか」

 鍛冶場だ。
鍛冶ができる炉がある。

『ふう。なかなかうまくいかんわい。力が足りんのか……』

 オーガのお爺さんが、そう独り言をつぶやく。
彼がこちらに気づく。

『む? そこの嬢ちゃんは……。百人力と騒がれておった、ドワーフの嬢ちゃんか』

 ミティの二つ名は、百人力ですっかり定着している。

「はい、私がそうです。どうかされましたか?」

『今後の作業で役に立ちそうな巨大な道具を作ろうとしておるのじゃが、うまくいかんのじゃ』

 オーガのお爺さんがそう言ってため息をつく。

『そうじゃ。ドワーフ族は鍛冶が得意と聞いたことがある。嬢ちゃんがやってみて、何か意見をくれんか?』

「いえ。私は、鍛冶は……」

 ミティは鍛冶スキルを持っていないし、器用のステータスが低めだったので鍛冶はできなかった。
しかし、器用のステータスが低めなのは過去の話だ。
今はレベルも上がり、加護やスキルの恩恵により器用のステータスは向上している。
練習すれば、問題なく鍛冶が行えるようになるだろう。

 そうだ。
いいことを思いついたぞ。

「(ミティ。戦いも終わったことだし、鍛冶の力を取得してみるか? いい機会だろう)」

 俺は小声でミティにそう聞いた。

「(……そうですね。いいかもしれません。以前から、鍛冶は憧れでした)」

「(じゃあ、さっそく取得しよう。せっかくだしレベル2まで強化するね)」

「(お願いします)」

 ミティのステータス操作画面を開く。
鍛冶術を取得し、レベル2まで強化する。
ミティのスキルポイントはこれで残り25ポイントになった。
使い切れば、鍛冶レベル4までは上げれるが、とりあえずはレベル2で様子見だ。

「(強化したよ)」

「(ありがとうございます)」

 ミティがオーガのお爺さんの方へ歩いていく。

「オーガのお爺さん、私で良ければやってみましょう」

『おう。よろしく頼む。わしの名前はグインという』

「私はミティです。こちらは私の主のタカシ様です」

 グインとミティ、グインと俺で握手を交わす。

『うむ。タカシ殿、すまんがしばらくミティ嬢ちゃんを借りるぞ』

「ええ。よろしく頼みます」

 さっそく、ミティが鍛冶の準備に取り掛かる。
グインから指示をもらいながら、ミティが作業を行っていく。

 俺は少し離れたところから、しばらく様子を見ている。
ミティは問題なく鍛冶をできているようだ。
まあもともと、村で鍛冶の知識は学んでいたそうだからな。
手先が不器用で鍛冶ができなかっただけで。

 レベルが上がって器用のステータスが向上し、加護によるステータス補正もある。
さらに、器用強化のスキルに、先程取得した鍛冶レベル2のスキル。
これでミティも一人前の鍛冶師ということだ。

『ん……? 嬢ちゃん、泣いておるのか?』

 ミティの目から涙が流れている。

「目にゴミが入っただけです」

『それならいいが……』

 鍛冶ができず、いろいろと嫌な思い出もあったのだろう。
これでミティのコンプレックスも解消されたはず。
いいことだ。

 その後しばらくして、無事に作業は終了した。

『嬢ちゃん。ありがとな。おかげで、次工程に進めそうだわい』

「いえ。こちらも、久しぶりに鍛冶ができて良かったです」

 実際には、久しぶりどころか初めてだろう。
だが、初めてでこの腕前だとさすがに不自然だ。
ミティが気を利かせていい感じにごまかしてくれているのだろう。

『また行き詰まったら、手伝いを頼むかもしれん。そのときは頼むぞ』

「はい。私にできることがあれば、手伝います」

『お礼と言ってはなんだが、この炉を使いたければ言ってくれ。儂の工程次第ではあるが、できるだけ予定を空けて貸してやろう』

「ありがとうございます。そのときにはお願いします」

 ミティがそう返事をする。

『タカシ殿も、待たせて済まなかったな』

「いえいえ。ミティにとってもいい経験になりました。それではまた」

 グインと別れる。
少し歩く。
周りに人がいなくなったところで、ミティと話す。

「ミティ。鍛冶はどうだった?」

「良かったです! 憧れの鍛冶ができました。タカシ様には感謝してもしきれません」

 ミティがうれしそうな顔でそう言う。
俺のおかげというか、チートのおかげだが。

「そう言ってもらえると、俺もうれしいよ」

「実利としても、良質な装備が作れるようになるかもしれません。作業終了後に端材でナイフを作ってみましたが、いいものが作れました」

 ミティがそう言ってナイフを渡してくる。
うん。
普通に店で売っていてもおかしくないような出来だ。

「これはいいナイフだね。端材を使って、短時間でこれが作れるようになったのか」

 端材ではなくきちんとした材料を使って、しっかりと時間をかければ、もっといいものが作れるだろう。
現状は鍛冶術レベル2だが、レベル3に上げてもいいかもしれないな。

「この際、鍛冶術をレベル3に上げてみるか?」

「それもいいと思います。……タカシ様の御力により、私たちの武器の取り扱いの上達は速いです。しかし、使っている武器自体はさほど上質なものではありません」

「まあそうだね」

「鍛冶術を強化して、私にタカシ様の武器を作らせていただけませんか?」

「それはいいね」

 武器や防具は、購入すると結構な値段がする。
自前で作れるようになれば、資金面でかなりのメリットがある。
ミティが鍛冶で活き活きとしているのを見るのは、俺もうれしいしな。

「じゃあ、さっそく強化しておくね」

「お願いします」

 ステータス操作でミティの鍛冶術をレベル3に上げる。
これでミティの残りスキルポイントは15。
使い切れば鍛冶術をレベル4にすることも可能だが、これは再度保留とした。
この地を離れれば、鍛冶をできる環境がなかなかなさそうだしな。


●●●


 後日、改めてグインを訪ね、炉を貸してもらった。
俺、ミティ、アイリスの装備を、ミティに作ってもらう。
今度はしっかりとした材料を使い、それなりの時間をかけて丁寧に作っていく。

 そうして、立派な武器や防具が出来上がった。 
”紅剣クリム”
”アイアンシールド”
”ドワーフの戦槌”
”バトルガントレット”
”アイアンアーマー”

 紅剣クリムは、俺用の赤い剣だ。
熱に対する耐性がある材料からつくられている。
斬魔剣の火炎斬との相性がいい。

 アイアンシールドは、俺用の盾だ。
金属でできた丈夫な盾。
今まで使ってきたスモールシールドよりも一回り大きい。
安心感が違う。
その分重いが、力がついた今の俺なら問題はない。

 ドワーフの戦槌は、ミティ用の大きな金属製のハンマーだ。
それほど高価な素材は使っていないが、単純に大きくて重い。
破壊力が期待できそうだ。

 バトルガントレットは、アイリス用の篭手だ。
基本的にアイリスは闘気を纏って殴っているので、素手でも大きな問題はない。
ただし、闘気が切れてきたら、素手で殴ってはケガをすることもある。
篭手をつけることで、攻撃力が増すと同時に、自分の手を守ることができる。

 アイアンアーマーは、俺とミティ用の金属製の鎧だ。
もちろん俺とミティでサイズは異なる。
今までの革製の鎧と比べ、防御力が格段に向上している。
その分重いのは少し難点か。
まあ俺もミティも身体能力はどんどん向上しているし、問題はない。

 ちなみにアイリスは今まで通りのレザーアーマーを装備する方針だ。
アイリスは機動力を活かした戦い方をするからな。
一応アイリスの分のアイアンアーマーも用意してはいるが。

 ミティのおかげで、俺たちの装備が一回り以上強化された。
冒険者稼業に復帰したとき、大きく役に立ってくれることだろう。



レベル16、たかし
種族:ヒューマン
職業:剣士
ランク:D
HP:120(92+28)
MP:150(60+90)
腕力: 90(50+15+25)
脚力: 85(47+14+24)
体力:127(55+17+55)
器用: 68(52+16)
魔力:112(56+56)

武器:紅剣クリム
防具:アイアンアーマー、アイアンシールド

残りスキルポイント30
スキル:
ステータス操作
スキルリセット
加護付与
異世界言語
剣術レベル4
格闘術レベル1
回避術レベル2
気配察知レベル2
気配隠匿レベル1
MP強化レベル3
腕力強化レベル1
脚力強化レベル1
体力強化レベル2
魔力強化レベル2
肉体強化レベル3
闘気術レベル3 「開放、感知、集中」
火魔法レベル5 「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム、火魔法創造 “十本桜” “バーンアウト”」
水魔法レベル1 「ウォーターボール」
風魔法レベル1 「エアバースト」
治療魔法レベル3 「キュア、ヒール、エリアヒール」
空間魔法レベル3 「アイテムボックス、アイテムルーム、転移魔法陣作成」
高速詠唱レベル1
MP消費量減少レベル2
MP回復速度強化レベル1

称号:
犬狩り
ホワイトタイガー討伐者
ジャイアントゴーレム討伐者
オーガ・ハーピィの盟友



レベル14、ミティ
種族:ドワーフ
職業:槌士
ランク:E
HP:103(79+24)
MP: 60(46+14)
腕力:261(79+24+158)
脚力: 49(38+11)
体力: 96(53+16+27)
器用: 46(20+6+20)
魔力: 57(44+13)

武器:ドワーフの戦槌
防具:アイアンアーマー
その他:アイテムバッグ

残りスキルポイント15
スキル:
槌術レベル4
格闘術レベル1
投擲術レベル3
体力強化レベル1
腕力強化レベル4
器用強化レベル2
闘気術レベル3 「開放、感知、集中」
風魔法レベル2 「エアバースト、エアリアルスラッシュ」
MP回復速度強化レベル1
鍛冶術レベル3

称号:
タカシの加護を受けし者
ジャイアントゴーレム討伐者
百人力



レベル16、アイリス
種族:ヒューマン
職業:武闘家
ランク:E
HP:120(92+28)
MP: 62(48+14)
腕力: 73(56+17)
脚力:110(61+18+31)
体力: 86(48+14+24)
器用: 83(64+19)
魔力: 61(47+14)

武器:バトルガントレット
防具:レザーアーマー
その他:スプールの首飾り

残りスキルポイント35
スキル:
格闘術レベル3
気配察知レベル1
気配隠匿レベル1
脚力強化レベル1
体力強化レベル1
闘気術レベル4
聖闘気術レベル3
聖魔法レベル1 「ウィッシュ」
治療魔法レベル2 「キュア、ヒール」

称号:
タカシの加護を受けし者
ジャイアントゴーレム討伐者

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