【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

100話 百人力のミティ

 オーガ、ハーピィの国。
王の間。

 国王夫妻と今代の六武衆が謁見していた。
国王夫妻とは、もちろんバルダインとナスタシアのことである。
今代の六武衆は、クレア、ソルダート、ギュスターヴ、セリナ、ディーク、フェイだ。

 六武衆のリーダー格であるクレアが、緊張した面持ちで口を開く。

『陛下。ご相談したいことがございます』

『申してみよ。……察しはつくがな』

『は。……我に六武衆の責務は重いと感じています。クラッツたちに六武衆の地位を返上したく思います』

『『自分たちも同じ思いでございます』』

 クレアの言葉に、他の者も同意する。

『ふむ。……貴様らはどう思う? 先代の六武衆よ』

 この場には、先代の六武衆もいた。
クラッツ、タニア、ラトラ、セルマ、ディアナ、フィンだ。

『恐れながら申し上げます。彼女たちの戦闘力は、既に我らに並んでおります。代替わりには良き機会かと愚考致します』

 先代の六武衆のリーダー格であり、クレアの父親でもあるクラッツがそう言う。
他の者もうなづいている。

『双方の言い分、理解した。そう言うだろうと思っていたぞ』

 バルダインがそう言う。

『今代の六武衆の地位は据え置きとする! 重責を果たせるよう、精進するように!』

『『……! はっ! 承知致しました!』』

 王の言葉であれば、否も応もない。
クレアたちはそれに従うのみ。

『先代たちは、新たに”六天衆”と名乗るがよい! 六武衆の指導を頼んだぞ!』

『『……! ははーっ! 仰せの通りに!』』

 バルダインの言葉に、クラッツたちがひれ伏す。

 六天衆と六武衆。
この2グループが力を合わせ、この国の平和を守っていくことになる。


●●●


 オーガやハーピィたちとの戦いが終わってから、1週間以上が経過した。
俺、ミティ、アイリスは、相変わらずオーガ、ハーピィの国に滞在している。
タダ飯食らいも悪いので、仕事をもらって働いている。
近隣の魔物の討伐や、力仕事、ケガ人の治療などだ。

 特にミティは、力仕事で大活躍している。
今日も俺とミティで力仕事だ。
ちなみにアイリスは治療で街中を回っており、別行動である。

「この木材をあそこまで運べばいいのですか?」

『そうだが……。嬢ちゃんに力仕事は難しいだろう。手伝ってくれるのは助かるが、別の作業のほうがいいんじゃないか?』

 オーガの男性がそう言う。
まあ、ミティの外見からは力があるようには見えないよな。

「問題ありません。ふんっ」

 ミティが丸太数本をまとめて持ち上げる。

『なっ! 嘘だろ!?』

 オーガの男性が、目を見開いて驚いている。

『はっはっは! 嬢ちゃんの力に驚いたか!』

「これはこれは。ギュスターヴ様」

 別のオーガの男性が笑いながら歩いてきた。
確か、六武衆の鉄塊のギュスターヴだ。
ガタイがいい。
戦後にウッディやストラスから聞いた話では、鉄球を用いた攻撃を得意としていたらしい。
かなりの力を持つそうだ。

『その嬢ちゃんは、ナスタシア様との力勝負でいい線いったらしい。さすがに勝てはしなかったようだが』

 ナスタシアは、ミティのカイリキメリケンを防ぎ、逆に押し返したことがある。
かなりのパワーだった。

『なんと! それほどの力が』

 オーガの男性がミティを改めて見て、感心している。
ふと、ギュスターヴが何かをひらめいたような顔をする。

『……ふむ。いいことを思いついた。其れがしと力勝負をせぬか?』

「構いませんが……。作業をしなくてもいいのですか?」

『なに、力勝負といっても、取っ組み合いをしようってわけではない』

 ギュスターヴが丸太を指差す。

『その丸太を、時間内に何本運べるかの勝負だ。どうだ?』

「……それぐらいならば問題ないでしょう。時間制限は?」

『日が暮れるか、丸太がなくなるまでだ! いざ尋常に勝負!」

 ミティとギュスターヴの丸太運び勝負が始まった。

「どけどけ! 邪魔だあ!」

 ギュスターヴが丸太を何本も持ちながら、作業員たちをかき分けて走る。

「私も負けません! うおおお!」

 ミティも負けじと丸太を何本も持ちながら走っている。
2人ともかなりの怪力だ。

『す、すげえ。ギュスターヴ様もそうだが、あの娘もかなりの力だな』

『あの娘はミティという名前らしい。ナスタシア様との力勝負でも互角だったとか』

 厳密には、互角ではなかったけどな。
いい線いっただけだ。
ちょっと話に尾ひれがついてきたな。

『ナスタシア様と互角だと!? マジか!』

『彼女がいれば作業も捗るな。百人力だ!』

『百人力のミティだ!』

 作業員たちの間で、ミティの評価が上がっていく。
俺も鼻が高い。

『あの小さな体で大きな丸太を力強く運ぶ姿。美しい』

 近くを通りがかったハーピィの男性が、そうこぼす。

『ディーク様!? 彼女はまだ子どもですよ!?』

 彼の付き人がそう言う。

 ミティを美しいと評したのは、六武衆のディークだ。
確か二つ名は”鑑定”だったか。
六武衆の中でも上位の実力を持つとアドルフの兄貴が言っていた。

 ミティの美しさを理解するとは、なかなか見どころがある。
だが、ミティは俺の恋人だ。
やらんぞ。

『彼女はドワーフ族だ。見た目よりも年齢は重ねているだろう。問題ない』

 ディークがそう言う。
年齢はともかく、問題はある。
彼女は俺の恋人だよ。
ちょっとガツンと言っておこうかな。

『ディーク。彼女はやめておきなさい。彼女はタカシ殿の女らしいですよ』

 ハーピィの女性がやってきた。
確か”牽制”のフェイだったはずだ。

『そ、そうなのか……。バルダイン陛下の盟友の妻を狙うのは、さすがにまずいか……』

 ディークが少し沈んだ顔をしている。
うんうん。
申し訳ないが、諦めてくれ。

『落ち込む必要はありませんよ。もっとあなたを見てくれる人もいるはずです。わ、わたくしとか……』

 フェイが顔を赤くしながらそう言った。
最後のほうは声が小さくなって、少し聞き取りにくい。

『え? なんだって?』

 ディークがそう聞き返す。
鈍感系の主人公かよ。

『……もう! なんでもありませんわ!』

 フェイは顔を赤らめたままそう言う。

『鑑定なんて二つ名を持っているのに、肝心なことは見えてないんだから……』

 彼女はそう言いながら去っていった。

 ディーク君。
ミティは諦めて、フェイさんとくっつきなさい。

 おっと。
ラブコメに夢中になってしまった。
ミティとギュスターヴの勝負はどうなった?

「ぜえ、ぜえ。やるな、嬢ちゃん」

「そ、そちらこそ。想像以上です」

 ミティとギュスターヴが疲労困憊の状態で、地面に転がっている。
どうやら、今日の分の丸太を運び終えたようだ。

『す、すげえ! この二方がいれば、作業も捗るぜ!』

『ギュスターヴ様! ミティさん! 明日もぜひきてください!』

『ぜえ、ぜえ。……うむ。時間があけば必ず来よう』

「わ、私も……」

 ミティがこちらを見る。
うなずいてあげる。

「明日もここに来ます」

『ありがとうございます! よし、明日からは人員配置を見直す! 一気に作業を進めていくぞ!』

『うおおおお! ギュスターヴ様! ミティさん! 百人力だ!』

『鉄塊! 鉄塊!』

『百人力! 百人力!』

 なんか盛り上がっているな。
ミティの二つ名が”百人力”に決まったようだ。



レベル14、ミティ
種族:ドワーフ
職業:槌士
ランク:D
HP:103(79+24)
MP: 60(46+14)
腕力:261(79+24+158)
脚力: 49(38+11)
体力: 96(53+16+27)
器用: 46(20+6+20)
魔力: 57(44+13)

武器:アイアンハンマー
防具:レザーアーマー
その他:アイテムバッグ

残りスキルポイント40
スキル:
槌術レベル4
格闘術レベル1
投擲術レベル3
体力強化レベル1
腕力強化レベル4
器用強化レベル2
闘気術レベル3 「開放、感知、集中」
風魔法レベル2「エアバースト、エアリアルスラッシュ」
MP回復速度強化レベル1

称号:
タカシの加護を受けし者
ジャイアントゴーレム討伐者
百人力

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