【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

94話 潜入作戦開始:vs六武衆

 潜入作戦が始まった。
参加者は10人。
俺、ミティ、アイリス。
アドルフの兄貴、レオさん。
ギルバート、ジルガ、マクセル、ウッディ、ストラスだ。

 10人で進んでいく。
ゾルフ砦の手前まで来ているオーガ、ハーピィの本隊を避けて、敵地へ直接乗り込む作戦だ。

 数日かけて、魔の領域に到達した。
オーガ・ハーピィの街が近い。
いつ遭遇してもおかしくないだろう。
緊張してきた。

「へっへっへ。そう緊張するな。このあたりは、一度来たことがある。道案内は俺に任せときな」

「さすがは兄貴! 付いていきます!」

 兄貴に従っていれば、間違いはないだろう。
しばらく進む。
何かの建物の中を通る。

「兄貴。ここは……?」

「へっへっへ。ここは何かの遺跡らしい。人は住んでいないから、人目を避けて通るのにはうってつけだぜ」

 遺跡か。
何の遺跡だろう。
古代遺物で強力な魔道具や武具なんかが眠っていたりしないかな。
さすがにそう都合よくはいかないか。

 ……ん?
気配察知に反応がある。
反応元は6つ。
動物か何かかな?
一応、兄貴に報告しておくか。

「兄貴。何かいるみたいですぜ」

「へっへっへ。俺も気づいている。まさか人はいないとは思うが……」

 兄貴が緊張した顔つきでそう言う。

『人族にも、なかなか鋭い奴がいるようだな』

 気配の方向から、声が聞こえてきた。
聞き慣れない言語だ。
普段俺たちがサザリアナ王国で使用している言語ではない。
俺の異世界言語のスキルか、もしくは意思疎通の魔道具のおかげで、意味は理解できている。

「へっへっへ。まさか、こんなところに見張りがいるとはな。油断していたぜ」

『侵入者が本当に現れるとは。あの女の言う通りだったな。なあ皆の者』

 6人のオーガやハーピィが姿を現す。
6人で俺たちを迎撃するつもりか。

『一応聞いておこう。人族よ、ここへ何をしに来た』

 6人のうちの1人が、そう言った。
ハーピィの女性だ。
鳥の羽のような腕をしている。
目が黒く、モヤがかかったような印象を受ける。
それ以外は人とそれほど違わないようだ。

「へっへっへ。俺たちはお前たちの進軍先の国民だよ。この侵略を止めに、話し合いにきた」

『ふん。話して止まる程度の事情なら、最初から仕掛けてなどいない』

 それはその通りだろう。
やはり、話し合いによる解決は厳しいか。

「へっへっへ。やはり何か事情がありそうだな。話してくれねえか?」

『くどい! どうしてもというのなら、国王陛下に直訴してみるか? もちろん我らがそれを許さぬがな』

「ちっ。戦闘は避けられねえか」

『敵地に少数で潜入したその度胸に免じて、我らの名前ぐらいは教えておいてやろう』

 自己紹介が始まるようだ。

『我は束縛のクレアである』
『俺は結界のソルダートだ』
『其れがしは鉄塊のギュスターヴという』
『自分は敏捷のセリナなの』
『僕は鑑定のディークなんだ』
『わたくしは牽制のフェイです』

 クレア、フェイがハーピィの女性。
セリナがオーガの女性。

 ディークがハーピィの男性。
ソルダート、ギュスターヴがオーガの男性だ。

 クレアを含め、6人とも目が黒くモヤがかかったような感じだ。
オーガとハーピィはそれが普通なのだろうか。
……何か、嫌な予感がする。

 それにしても、通り名付きで紹介されたが、敵に情報をバラしていいのか?

「へっへっへ。通り名を教えてくれるとは、ずいぶんなサービスじゃねえか」

『この程度のハンデで、人族に遅れを取る我らではない。我ら六武衆の力を見せつけてくれるわ!』

 彼らが、兄貴が警戒を促していた六武衆か。
戦闘能力においては、国王夫妻と並び要注意の人物たちだ。

「六武衆、だと? ……俺はお前らなんか知らないぞ」

『人族が我らの顔を知るわけがなかろう。……いや待て。お前の顔は知っている。数年前に、合同訓練に参加していたやつだな』

「へっへっへ。俺も思い出したぜ。お前、六武衆のクラッツに付いて回っていたガキだな。あいつはどうした?」

『ふん。先代は……今頃、湖の底だ。残念だったな』

 湖の底。
穏やかじゃないな。
権力闘争か何かで、殺されて沈められたのだろうか。

「なんだと!? てめえ、まさか……」

『話は終わりだ! いくぞ!』

 戦闘態勢に入る。

 クレアが何かを投げつけてきた。
爆弾か何かか?

 いや、これは……。
植物の種か?

『木々の精霊よ。我が求めに応じ敵を縛れ。ウッドバインド!』

 種が発芽し、急成長する。
ツルがこちらに伸びてきて、縛られる。

『ふん。他愛のない。これで終わりとはな。……む!?』

「視線で狙いがバレバレだよ。……雷迅拳!」

 マクセルはツルを避けていたようだ。
さすが、対人戦を専門にしているだけはある。

 だが、マクセルの一撃は、紙一重で避けられる。

「魔法の制御が一瞬緩みました!」

 ミティがツルを引きちぎる。
他の連中も少し遅れて、拘束を解いていく。

「ゲ・ン・コ・ツ! メテオ!」

「ワン・エイト・ショットガン!」

 ミティとストラスの遠距離攻撃だ。
ミティは岩の投擲。
アイテムバッグにあらかじめ入れておいたものだ。

 ストラスは、闘気弾による攻撃。
足から18発の闘気弾を放出し、攻撃する技だ。
防衛戦でも使用していた。

 投石と闘気弾が六武衆のいるところに着弾する。

「やったか!?」

 土煙により、相手の様子が見えにくい。

『なんだ? もう終わりか? 俺の結界魔法は、この程度ではビクともせんぞ!』

 ゾルダートが結界魔法とやらで防いだようだ。
遠距離攻撃では、威力が足りずあの結界を突破するのは難しいかもしれない。

「ウス。ならオデの出番なんだな。……メタリックボール!」

 ウッディの鉄球を用いた攻撃だ。
直径1mはあろうかという鉄球を、相手に叩きつける。
さすがに結界魔法とやらでもこれは防げないだろう。

 と思っていたら、ギュスターヴが結界の前に立ち、鉄球を受け止めた。

『ボール遊びなら其れがしが付き合おう! 力だけならナスタシア様に次ぐ其れがしの力を見よ!』

 相手にも怪力自慢がいる。
やはり一筋縄ではいかない。

「いくぜ! ギルバート!」

「おうよ! ジルガ!」

 ギルバートとジルガが攻撃を仕掛ける。
息の合ったコンビネーション。
標的はセリナだ。

「おらあ! ……むっ!?」

 ギルバートとジルガの攻撃が空を切る。

『その程度の速度では、自分を捉えることはできないの。一昨日来やがれなの』

 彼らの攻撃を、セリナが高速で避けたようだ。
かなりの速度だ。
ストラスの鳴神にも引けを取らない。

「へっへっへ。連中もかなりやるみたいだな」

 兄貴は攻防にまだ参加していない。

「兄貴、どうしますか? 俺がタイミングを見て火魔法をぶっ放しましょうか? それとも、近接戦に加勢を?」

 戦闘で勝つだけなら、火魔法をぶっ放すのが良さそうだ。
敵味方を含めて、ケガ人がたくさん出てしまうだろうが。

「へっへっへ。お前は先に行け。ここは俺たちが引き受ける。……後ろに控えている奴らが特にヤバそうだ。勝負を焦れば、やられかねん」

「じっくり構えれば負けはないが、今は時間が惜しい。先代の六武衆がいないとなると、あとは国王夫妻との話し合いしかあてはない。この作戦の命運はタカシ、お前に任せる! ギャハハハ!」

 マジかよ。
兄貴に付いていくだけで作戦は成功するものだと思って、油断していた。

「ミティの嬢ちゃんとアイリスの嬢ちゃんも連れていけ。……そう不安がるな。お前ならきっとできる」

 不安でいっぱいだが、そう言っていられる状況でもない。

「わかりました! ミティ、アイリス、いくぞ!」

「はい!」

「オッケー!」

 ミティ、アイリスとともに駆け出す。
国王夫妻とそんなに簡単に会えるものでもないかもしれないが。
がんばって探すしかない。

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