【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

87話 防衛戦:vs巨大ゴーレムD

 巨大ゴーレムは最後の1体だ。
しかし、防衛戦の参加者たちで戦えるものはほとんど残っていない。
やばい。
そんな時にさっそうと現れたのが。

「アドルフの兄貴! レオさん!」

「……ん? おお、タカシじゃねえか!」

「……ほう。腕を上げたようだな。ギャハハハ!」

 ラーグの街でお世話になった、アドルフの兄貴とレオさんだ。
冒険者ギルドの登録初日に、ファイティングドッグとの戦い方を指導してもらった。

「アドルフ! レオナルド! どうしてここに? ……いや、理由はいい。とりあえずあのゴーレムを何とかしてくれ!」 

 ゾンゲルがそう叫ぶ。

「へっへっへ。わかったよ。俺たちに任せときな! いくぞ、レオ!」

「了解ですぜ兄貴! ギャハハハ!」

 2人で巨大ゴーレムを倒すつもりみたいだ。
いくら兄貴たちとはいえ、だいじょうぶなのか?
援護したほうがいいような気もするが。

 巨大ゴーレムが兄貴たちと対峙する。
まずはアドルフの兄貴に狙いを定めたようだ。

 ゴーレムが腕を振りかぶる。
兄貴は避けるそぶりを見せない。
兄貴とゴーレムの腕を真正面から受け止めた。

「ああ……」

 いくら兄貴でも、あんなに大きなゴーレムの攻撃を真正面から受けては。
やばいかもしれない。
やはり援護にいくべきだったか。

 俺は思わず顔をそむける。
しかし違和感に気付く。
周囲に漂うのは絶望感ではない。

「うおおおお! さすがだぜ!」

 武闘家たちを中心に、歓声を上げている者もいる。
ドレッドが俺の肩に手をかける。

「おうタカシ。下を向いていたら見逃しちまうぜ」

「……あれが、かの高名なBランク冒険者、アドルフの力か」

 ジークがそう言う。

 俺は顔を上げる。
兄貴が、ゴーレムの巨体を体だけで支え、押し込んでいるのが見えた。

「ふ、ふふん。さすがはBランクといったところね。でも彼1人だと、押さえるだけで手いっぱいみたいだけど。応援に行ったほうが……」

「おう。そりゃ心配ねェ。Bランク冒険者は、この場にもう1人いるからな」

 それってもしかしてレオさんかな?
兄貴といつもいっしょに行動してるし。

「いくぜ。磁双鋼剣マグナーフよ。ギャハハハ!」

 レオさんが巨大な剣を2つ取り出した。
あんなでかい剣で2刀流なのか!?
レオさんはそれぞれ片手で軽々と持っている。

 どう戦うんだろう。
注意して見る。
レオさんが剣を振りかぶる。

「N剣!!」

 巨大な剣の1つをぶん投げた。
そのままゴーレムに一直線に向かっていき……、避けられた。

「ふふん。はずしちゃってるじゃないの」

「おう。あれはあれでいいんだよ」

「え。それはどういうことでしょうか?」

 漫画とかだと、実はブーメランみたいに戻ってくるのを計算に入れているとかか。
でも今回の場合、あの剣は明らかにブーメランの形ではなかった。
それに見た感じ、レオさんが投げた剣が戻ってくる気配は今のところない。

「引き寄せよ、S剣!!」

 投げられた剣が急に挙動を変えた。
ゴーレムの方向へ戻ってくる。

 それと対応するかのように、ゴーレムを挟んで投げた剣と対称の位置から、レオさんがもう1つの剣を手に駆け出した。
完全にシンクロした挟み撃ちの攻撃に、ゴーレムはどう対処すべきか悩んでいるようだ。
結局、左手で投げられた方の剣を、右手でレオさんの持っている方の剣を防御することにしたようだ。

 ゴーレムと剣が衝突する。
2つの剣は、ゴーレムの左右の手のひらをそれぞれ貫通し、深々とゴーレムの胴体に突き刺さった。

「これで終いだ! おらよ!」

 アドルフの兄貴による闘気を込めた追撃だ。
レオさんの剣のダメージと、兄貴の闘気の一撃。
ゴーレムは粉々に砕け散り、崩れ落ちた。

「…………彼らは2人ともBランク冒険者だ。”肉体兵器”のアドルフに、“磁双鋼剣”のレオナルド。覚えておいて損はない」

 なんでちょっとどや顔なんですかジークさん。
活躍したのは兄貴たちですよ。

 
 なにはともあれ、無事に巨大ゴーレム4体を撃破した。
一時はどうなることかと思ったが。

 1体目は、俺、ミティ、リーゼロッテ、アイリス、ギルバート、ジルガ、そしてその他の武闘家や冒険者10人以上の力を結集してなんとか倒した。

 2体目は、リルクヴィスト、リーゼロッテ、コーバッツの合同魔法で倒した。
武闘家や冒険者たちもゴーレムを引きつける役目を担った。

 3体目は、ゾンゲル、テスタロッサ、ビスカチオ、エドワード、マクセル、カイル、レベッカの7人で倒した。
彼らは他の武闘家や冒険者の手は借りておらず、純粋に7人だけで倒した。
まあカイルとレベッカはおまけのようなものだから、実際には5人で倒したようなものだ。

 そして4体目は、アドルフの兄貴とレオさんが2人だけで倒した。
彼らはBランク冒険者。
別格の強さだ。

 兄貴たちが来たことにより、防衛戦の動向がどうなっていくか。
気を引き締める必要がある。

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