【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

86話 防衛戦:vs巨大ゴーレムBC

 巨大ゴーレム を無事に破壊し、一息ついていた頃。
何やら周囲がまた騒々しくなってきた。

 状況を確認する。
…………!
巨大ゴーレムが3体いた。

「マジかよ……! ここにきて3体追加だと……」

 ジルガが驚愕している。

「も、もうダメだ……。お終いだあ……」

 俺は思わず膝をつく。
あれだけ皆で苦労して倒した巨大ゴーレムが、追加で3体。
戦況は絶望的だ。
ミティを連れて逃げようかと考え始める。

 だが、周りの人たちはまだ諦めていない。

「バカ野郎、タカシ。諦めるんじゃねェ!」

 ドレッドから激を飛ばされる。

「ふん。俺に奥の手がある。……リーゼロッテ、それにコーバッツ。力を貸せ」

 リルクヴィストには何やら奥の手があるようだ。

「お兄様。まさか、あれを使うつもりですか? あの方が何と言うか……」

 リーゼロッテは何かを躊躇しているようだ。

「知ったことか。そんなことを言っている場合ではなかろう。責任は俺が持つ」

「……わかりましたわ」

 リルクヴィスト、リーゼロッテ、コーバッツで何やらやり取りしている。
方針は決まったようだ。

「いいか。やり方は覚えているな? 主導権は俺が持つ。リーゼロッテはそれの補助。コーバッツは術式を支えろ」

「はっ!」

「冒険者どもは詠唱の時間を稼いでくれ! いいな? いくぜ!」

 リルクヴィストの詠唱が始まる。
リーゼロッテとコーバッツも合わせて詠唱を始める。

 ドレッドや武闘家たちが中心となり、巨大ゴーレムをひきつけている。
彼らは、やはり先ほどの戦闘のダメージと疲労が大きい。
あまり長い時間は稼げそうにない。

 なんとかリルクヴィストの詠唱の終わりが見えてきた。

「……契約によりて我に従え氷の妖精女王。生命絶える黄泉の冷気。我が敵を物言わぬ結晶に」

 リルクヴィストの詠唱がひと段落する。

「詠唱準備が完了した! 離脱しろ!」

 リルクヴィストが叫ぶ。
ドレッドや武闘家たちがゴーレムから距離を取る。

 リルクヴィスト、リーゼロッテ、コーバッツが手をゴーレムに向けて、魔法を発動する。

「「「エターナルフォースブリザード!」」」

 刹那。
周囲の温度が急激に下がった。
温度を下げる魔法か?
いや違う。
これは魔法の余波だ。

 よく見ると、ゴーレムは凍りついているようだ。

「今だ! 闘気をまとった追撃をしてくれ!」

 リルクヴィストが叫ぶ。
ドレッドがゴーレムに駆け寄り、攻撃の構えを取る。
そういえば、彼も闘気術を使えるのだったな。
メイン武器は大剣だが。

「おらよ!」

 ドレッドの闘気を纏ったパンチ。
この一撃がとどめとなり、巨大ゴーレムは粉々に砕け散った。

「ぜえ、ぜえ。俺の奥の手はここまでだ。後の2体はお前らで何とかしろ」

 リルクヴィストが力尽き、座り込む。

 そうだ。
あと2体いるんだった。
まだまだやばいぞ。
 

●●●


 巨大ゴーレム は後2体。
どうやって倒せばいいのか。
既にほとんどの人は疲労困憊だ。

「おう。こうなりゃ、一か八かあれを使うしかねェか」

「ドレッド!? それはダメよ!」

「死んじまったらもとも子もねェだろ! やるしかねェ!」

「…………然り」

「ジークまで!? もう、私もやるわよ!」

 赤き大牙が何やら口論している。

「ユナ。お前はやめておけ。俺たちにもしものことがあれば、村のことをよろしく頼む」

「…………然り」

「そんな……」

 聞こえた内容から推測するに、赤き大牙には奥の手があるようだ。
しかし、それには何らかのリスクがあるということだ。
できれば使いたいはなかったのだろう。

 現状、防衛戦の参加者は疲労困憊の者が多い。

 俺は、闘気の過剰使用に加え、火魔法を連発し、先程は魔剣術も使用した。
歩けないほどではないが、巨大ゴーレム の相手をするのは厳しい。

 アイリスは闘気を限界まで使用して気を失っている。
ミティは武器のストーンハンマーが壊れてしまった。

 赤き大牙がリスクのある手段を取るのは、できれば避けてほしいところだが……。
残念ながら、他に手がない。

「おう。いくぞジーク! ……ん?」

「…………彼らは……」

 ドレッドとジークが何かを発動しようとしたその時。
増援がきた。

「遅れてスマンな。残りはワシらに任せておけ!」

 ゾンゲル、テスタロッサ、ビスカチオ、エドワード、マクセルがやってきた。
あと、ついでにマクセルの子分たちもいっしょだ。

 ゾンゲルは、ゾルフ砦の守備隊長兼町長のおっさん。
テスタロッサは冒険者ギルドのゾルフ支部ギルドマスターの女性。
ビスカチオは俺の斬魔剣の師匠。
エドワードは、今回のガルハード杯でベスト4にまで勝ち残っていた武闘神官で、アイリスの上司。
マクセルは、同じくベスト4にまで勝ち残っている、闘気術の達人だ。

「一線は退いたけど、まだまだ若いやつらには負けないわよ」

 テスタロッサがそう言う。
冒険者ギルドのマスターだけあって、戦闘には長けているのだろうか。

「タカシ、斬魔剣の手本を見せてやろう」

「……神の導きを」

 ビスカチオは斬魔剣を使うつもりのようだ。
お手本を見せてもらおう。

 やる気まんまんの4人に対し、マクセルは少しやる気がなさそうだ。

「マクセルの小僧! 緊急事態なんだから、ちゃんとやってくれよ!」

 ゾンゲルがそう檄を飛ばす。

「やれやれ……。俺は対人専門なんだけどな……」

 テスタロッサはハンマー。
ゾンゲルとマクセルは闘気で戦うようだ。

「斬魔剣を使う! ゴーレムにスキをつくってくれ!」

 ビスカチオが指示を出す。

「「「了解!」」」

 テスタロッサとゾンゲルがゴーレムを引きつける。
エドワードとマクセルがサポートしている。

「そろそろいくぞい! そりゃあ!」

 ゾンゲルが闘気をまとった一撃をゴーレムに入れる。
少しゴーレムの体勢が崩れる。

「斬魔一刀流……火炎斬!!!」

 ビスカチオの一撃だ。
巨大ゴーレムに斬魔剣の一太刀を浴びせた。
ゴーレムに大きなダメージを与えたようだ。
胸に斜めの深い切り傷が入っている。

 威力は俺と同程度か、少し強いくらいだろうか。
成功率、精度、発動速度などは俺のほうが劣っているのだろうが。
威力だけなら俺とさほど変わらないようだ。

 大きなダメージを負ったゴーレムに、テスタロッサとゾンゲルが追撃を加えている。
さらに、大きく闘気を集中させたマクセルが攻撃の構えを取る。
子分のカイルとレベッカもいっしょだ。

「いくぞ、お前ら!」

「兄ぃ! いつでもオーケーだぜ!」

「任せて!」

 マクセル、カイル、レベッカが闘気を開放する。

「俺に合わせろ!」

「ほっ!」

「はっ!」

「ふっ!」

 3人の息の合った連撃だ。

「せぇい!」

「どりゃあ!」

 絶え間のない連撃。
巨大ゴーレムに反撃のスキを与えない。

「とどめだ! ……ぬうう! 雷竜拳奥義! 雷竜咆哮拳!」

 強烈な右ストレートだ。
右腕だけでなく、体の各部に闘気を分散させ、すべての筋肉の動きをうまく右腕に乗せている。
筋力や闘気だけでなく、技術も伴ったすばらしい右ストレートだ。

 ゴーレムの切り傷の部分にクリーンヒットする。
ゴーレムのひびが広がっていき。
粉々に砕け散った。

 すげえな。
7人で倒しちゃったよ。
しかも、まだ余力がありそうだ。

 巨大ゴーレムはあと1匹だ。
もう彼らに任せとけばいいんじゃないかな。

「よし! 次だ! ……むう!?」

 ゾンゲルが急に倒れ込む。
どうした?

「こ、腰が……。久しぶりに全力を出したから」

「わ、私も……」

「我もだ……」

「すまない。私もだ……」

 ゾンゲル、テスタロッサ、ビスカチオ、エドワードが腰痛でリタイアだ。
マジかよ。
みんなの命がかかっているんだぞ。
しっかりしてくれ。

「マクセルの小僧! 後は頼んだ!」

 ゾンゲルがそう叫ぶ。

「えー……。だから俺は対人専門だってば! それに、さすがに俺とカイルたちだけで巨大ゴーレムを相手にするのは分が悪いよ!」

 マクセルがぶつくさ文句を言っている。
主戦力のゾンゲルらが戦闘不能。
リルクヴィストやリーゼロッテたちは魔力切れ。
アイリスは聖闘気切れ。
俺はMPと闘気をかなり消耗しているし、ミティはメイン武器のストーンハンマーが砕け散ってしまった。
その他、武闘家や冒険者たちも戦闘不能者が結構出ている。

 残っている戦力を結集させても、巨大ゴーレム残り1体を倒せるかどうか。
倒せたとしても、後続にオーガとハーピィの本隊が待ち受けている。
これはヤバいかもしれない。

「へっへっへ。マクセルの坊主、甘い性格は治ってねえみたいだな」

「それにゾンゲルのおっさん、平和だからといってなまり過ぎだ! ギャハハハ!」

 こ、この声は!

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