【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

85話 防衛戦:vs巨大ゴーレム A

 翌朝。
伝令の大声により起こされた。

「軍勢の再侵攻が確認されました! 至急、迎撃体勢を整えてください!」

 再侵攻か。
昨日と同じように、低級の魔物の掃討戦なら楽なのだが。
オーガやハーピィの本隊との戦闘があるかもしれない。
要注意だ。

 迎撃の準備を整える。
まずは、先遣部隊としてゴブリンやワイルドキャットの群れが向かってきている。
昨日と同じように迎撃していく。

 ゴブリンやワイルドキャットの後方には、オーガとハーピィの軍勢もいる。
オーガは鎧を着込んでおり、剣や槍などの武器も持っている。
遠目から見た感じだと、人や獣人と大きな差はないようにも思える。

 ……ん?
あれはなんだ?
大きな人影がこちらに向かってくる。
3m以上はあるだろうか。

「ゴーレムの軍勢だ! 魔法や剣撃は効きにくい! 槌や武闘など、打撃系で攻撃していけ! やつら、こんな技術まで持っているとは……」

 テスタロッサの指示が飛ぶ。
指示の通り、打撃系の攻撃手段を持っている者が中心となり、ゴーレムを迎撃していく。

「せいっ!」

 俺は闘気術を使用して参戦する。

「ふんっ!」

 ミティはハンマーで参戦だ。

 ゴーレムは無生物。
オーガかハーピィの術士により創り出され、使役されているようだ。
逐次の操作があるわけではない。
簡易的なAIが搭載されているようなイメージだ。

 体が岩でできており、防御力が高い。
動きは鈍重だが、質量を伴った攻撃の威力は高い。
油断できない相手だ。
ゴブリンやファイティングドッグよりも明らかに厄介である。

 俺、ミティ、他の武闘家たちにより、何とか1匹目のゴーレムを破壊した。
他のグループでも、ちらほらとゴーレムの破壊に成功している。
ゴーレムはまだまだいる。
次のゴーレムとの戦闘に備えよう。

「巨大ゴーレムだ! 戦力を集中させて迎撃せよ!」

 テスタロッサからの指示が飛ぶ。
ひときわ大きなゴーレムが近づいてきている。
大きさは5m以上はある。

 テスタロッサの言う通り、戦力を集中させて倒す必要がある。
しかし、ゴブリンやワイルドキャットの群れに加え、通常ゴーレムもまだまだいる。
後方にはオーガとハーピィも控えている。
巨大ゴーレムだけに戦力を集中させるわけにもいかない。
ある程度は限られたメンバーで倒す必要がある。

 ゴーレムが相手だと、剣、魔法、弓などは効果がイマイチだ。
全くの無駄というわけでもないが。

 闘気術による殴打。
ハンマーなどの鈍器による殴打。
このあたりが有効だ。

 この近くにいて、ゴーレムに対して有効な攻撃手段を持っていて、参加できそうなのは。
俺とミティ。
リーゼロッテ。
アイリス、ギルバート、ジルガ、その他の武闘家たち。
ハンマーなどを武器としている冒険者たち。
このあたりか。

「おう。俺たちが奴の気を引きつけておいてやるよ」

「…………然り」

「私も参加しよう」

 ドレッド、ジーク、コーバッツたちもいる。
彼らは打撃系の攻撃手段を持たない。
巨大ゴーレムの気を引きつける役目を担ってくれるようだ。

 よし。
先手で魔法を一発入れておこう。
魔法はあまり効かないらしいが、多少のダメージはあるだろう。
MPにも余裕があるしな。

「まずは攻撃魔法いきます!」

「おう。ぶちかませ!」

 火魔法レベル4のボルカニックフレイムの詠唱を開始する。
今のところ、これが最強の攻撃魔法だ。

 詠唱が完了した。
巨大ゴーレムに向かって拳を突き出し、魔法を放つ。

「ボルカニックフレイム!」

 まるで火山から噴出したかのような激しい炎が巨大ゴーレムにヒットする。
かつてスメリーモンキーに、この攻撃で大ダメージを与えたこともある。
大技だ。
しかし。

「な……、まるで効いていない……?」

 やはり魔法はあまり効かないようだ。
わかってはいたことだが、それでも少し動揺してしまう。
巨大ゴーレムは平然と歩みを続けている。

「取り乱すな、タカシ! ゴーレムには痛覚がないだけだ! ちゃんと効いてる! 追撃いけ!」

 ドレッドからそう激が飛ぶ。
本当に効いてるのか?

「アイスレイン!」

 隣のリーゼロッテからは、アイスレインの魔法が放たれている。
疑っても仕方がない。
俺も追撃いくか。

「ボルカニックフレイム!」

「アイスレイン!」

 ゴーレムが向かってくるまでに、数回の魔法を入れられた。
少しはダメージが入っているといいんだが。

 ここからは武闘家や鈍器使いたちの出番だ。

「裂空脚!」

「おらぁ!」

「ぬん!」

 アイリス、ギルバート、ジルガを中心に、武闘家たちが闘気術で巨大ゴーレムに攻撃を入れていく。

「てえぃっ!」

 ミティや一部の冒険者は、ハンマーなどで攻撃している。

 あまり効いているようには見えないが、どうなんだろう。
巨大ゴーレムの体が砕けたりもしているし、いつかは終わるのだろうか。

「ぬうう! ロックアーマー!」

 武闘家の1人が、岩を鎧のように纏った。
土魔法の1種だろうか。
かなりの防御力がありそうだ。

「くらえぃ! ロックDEタックル!」

 岩の鎧を纏った体当たりだ。
かなりの威力がありそうだが。
そのネーミングセンスはどうなんだ。


●●●


 数十分以上が経過した。
ケガによる戦闘不能者が増えてきている。
アイリスが治療魔法により治療してくれているが、追いついていない。
彼女の治療魔法はおそらく俺と同じレベル1。
応急処置程度だ。
戦闘に復帰できるような治療ではない。

「くっ。このままじゃジリ貧か……。何か奥の手があるやつはいないか!?」
 
 コーバッツがそう叫ぶ。
彼は有効な攻撃手段はないものの、槍と盾をうまく使い、巨大ゴーレムの気を引きつけてくれていた。

 奥の手?
アイリスの聖闘気とかか?
しかし、彼女も既に疲労困憊だし、この状況で使えるかどうか。

「タカシ! あの技は!? ビスカチオさんに教わっているやつ!」

 アイリスがそう言う。
ビスカチオから教わっている斬魔剣か。
ちょうど、最初の技として”斬岩の太刀”を教わっていたところではある。
岩でできているゴーレム に有効だ。

「いや、でもあれはまだ成功率低いよ? 3回に1回ぐらいしか成功しない」

「なんでもいい! 奥の手があるなら出し惜しみせずに使え! 失敗してもフォローはしてやる! このままじゃジリ貧だぞ!」

 ジルガがそう叫ぶ。
やるだけやってみるか。

「わかりました! やってみます」

「ガハハ! お膳立てが必要か? 指示をくれ!」

 ギルバートがそう叫ぶ。

「斬魔剣という、剣に魔法を纏わせる攻撃をします! 集中した状態から、高速で斬りつけます! タイミングを見て、ゴーレムと1対1の状態にしてください!」

「了解した!」

 武闘家たちが中心となり、ゴーレムの気を引きつけてくれている。

 その間に俺は、心を落ち着かせる。
心の眼で敵を見定める。

「そろそろいいか? オラ! やっちまえ!」

 ゴーレムの周りから、武闘家と冒険者たちが距離を取る。
離れるときに1発入れたようで、若干ゴーレムの体勢が崩れている。

 これ以上ない、理想的な状況だ。
心を落ち着かせる。
心の眼で敵を見定める。
斬るべきものを見定める。

「斬魔一刀流……」

 火魔法を発動させる。
剣にまとわせる。

「火炎斬!!!」

 成功した!
巨大ゴーレムに斬魔剣の一太刀を浴びせた。
ゴーレムにかなりのダメージを与えた。
胸に斜めの深い切り傷が入っている。
あそこから崩せそうだ。

 続けて、リーゼロッテの魔法の詠唱が完了する。

「氷の精霊よ。我が求めに応じ、氷の雨を降らせよ。アイスレイン!」

 火炎斬のあとに氷の雨って、どうなんだろうな。
熱いところが冷やされて、ダメージが軽減されるのだろうか。
急激な温度変化により、ダメージが増幅されるのだろうか。
微妙なところだな。

 見た感じでは、結構効いていそうな感じはある。
いや、これは温度変化はあまり関係ないのか?
単純に氷の雨がぶつかることによる、物理ダメージが大きそうだ。

 なんにせよ、これはチャンスだ。
もうずいぶん体が欠けてきている。

 アイリスが駆け寄る。
聖闘気をまとっている。

「豪・裂空脚!」

 聖闘気をまとった鋭い回し蹴りだ。
胸の切り傷に、さらに亀裂が入った。

 アイリスが聖闘気を使い切り、倒れ込む。
最後の力を振り絞った攻撃だったようだ。
俺は鳴神を使い、素早く回収した。

 続いてミティの追撃だ。
ストーンハンマーを大きく振りかぶる。

「ミティ・ホームラン!」

 全力の殴打だ。
ミティのストーンハンマーが粉々に砕け散った。
かなりの威力だ。
ゴーレムの巨体がふらつく。
反対側にはギルバートとジルガが回りこんでいる。

「ビッグ…………!」
「ギガント…………!」

 彼らが拳を大きく振りかぶる。
ゴーレムに狙いを定める。
拳を突き出す。

「バン!!!」
「ナックル!!!」

 ゴーレムの巨体のひびが広がっていく。
そして。
崩れた。

「「「うおおおお!」」」

 歓声が上がる。

「ガハハ! 我らの勝利だ!」

 ギルバートの勝利宣言。
周囲の戦闘も落ち着きつつあるようだ。

「……倒したの? タカシ」

 アイリスがつぶやく。
彼女は聖闘気を使い切り、ダウンしている。
今は俺が肩を貸している状態だ。

「ああ。アイリスの攻撃も大きかった。俺も何とか貢献できたかな」

「タカシの活躍が大きかったと思う。……かっこよかったよ」

 アイリスはそう言って、気を失った。
戦闘でいいところを見せられたようだ。

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