【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

72話 1回戦:アイリスvsジルガ

「第4試合を始めます! ルビアナ道場のジルガ選手対、武闘神官見習いのアイリス選手!」

 次はアイリスの試合だ。

「アイリス、健闘を祈ってるよ」

「がんばってください! アイリスさん!」

「ありがとう。全力を尽くすよ。ミティが勝ったんだから、きっとボクだって……!」

 アイリスが意気込みながらステージに上がる。
気合十分だ。

 一方、ジルガがポージングをしながらステージに上がる。
サイドチェストだ。

 アイリスとジルガには体格差がある。
ぱっと見の印象だと、アイリスの勝ち目は薄そうに見えるが。
どうなるか。

 優勝予想の倍率は、ジルガが4倍に対して、アイリスが15倍だ。
観客の評価でもジルガが圧倒的に優勢。

 実績による信頼感の差だろう。
ジルガは先月の小規模大会で準優勝した。
例年のガルハード杯でもベスト4常連という情報もある。
対して、アイリスは予選からの出場。
見習いという肩書も、少し頼りない印象を受ける。

 身体能力に加えて、技術や闘気術のレベルが試合にどう影響するか。
見どころだ。

「両者構えて、……始め!」

 試合が始まった。

 ジルガは攻撃型の選手だ。
身体能力と闘気術を活かして、ぐいぐい攻めている。

 対してアイリスは技術に秀でた受け流し型の選手だ。
闘気術で身体能力を向上させつつ、技術でうまく攻撃をしのいでいる。
隙をついて反撃もしている。

「裂空脚!」

「ぬっ!? ……ガハハ! 効かん!」

「それならこれは! 砲撃連拳!」

「ぐうう!! なかなかやりおる!」

 ワイルドキャットを相手に無双していたアイリスの大技だが、ジルガにはあまり効いていないようだ。
技術だけならアイリスが優勢だが、身体能力や闘気術はジルガが上手か。
徐々にジルガのペースになっていく。
少しずつだが、アイリスにダメージが蓄積していく。

「くっ。このままではジリ貧か……。こうなれば奥の手を……」

 アイリスの雰囲気が変わった。

「右手に闘……」

「スキあり!」

「きゃあっ」

 アイリスが何やら技名を唱え始めたところで、ジルガのパンチがクリーンヒットした。
おい。
空気を読んでくれよ。
今、明らかに何かしかけようとしてたじゃないか。

「試合中にスキを見せるのが悪いのだ! ガハハ!」

 ジルガのパンチにより弾き飛ばされたアイリスは、何とか立ち上がる。

「ちょ、ちょっと待ってよ! ボクの奥の手が……」

 そうだそうだ。
ちょっとぐらい待ってくれよ。
観客席からも一部からブーイングが起きている。

「ぬ? 仕方ない。待ってやろう」

「じゃあ気を取り直して。……右手に闘気、左手に聖気」

 アイリスの闘気が変質した。
俺も初めて見る技だ。

「聖闘気、豪の型」

「ガハハ! もういいか? いったい何が変わったんだ?」

「闘えばわかる。いくよ!」

 闘いが再開される。

「聖ミリアリア流奥義、豪・裂空脚!」

「む? ぐおぉっ!?」

 アイリスの回し蹴りだ。
ジルガはガードするが、先ほどまでとは違い、小さくないダメージを負ったようだ。

「なるほど。パワーが格段に上がってやがる」

 ジルガが感心したように言う。

「2回戦以降のために闘気を温存している場合じゃないようだな。俺も本気でいくぜ! はあぁっ!」

 ジルガの闘気量が上がった。
彼も本気だ。

 アイリスとジルガの第2ラウンドだ。
闘いはより一層激しさを増す。
互角の闘いが続く。

「これで決めるよ! 聖ミリアリア流奥義……」

「負けねえぜ! 剛拳流奥義……」

 アイリスとジルガが互いに近寄っていく。

「豪・砲撃連拳!」

「ギガントナックル!」

 大技同士の衝突だ。
衝撃がこちらにまで伝わってくる。

 数秒後。
立っていたのは、ジルガだった。
かなりのダメージを負っているが、自力で立っている。
アイリスは倒れ込み、立ち上がらない。

「そこまで! 勝者ジルガ選手!」

 治療術師が2人に駆け寄り、治療魔法をかける。
治療を受けて、アイリスは無事に立ち上がった。
ジルガも、ダメージから回復した様子だ。

「ガハハ! 明日の試合もいただきだ!」

 ジルガ、もう少し敗者に気を遣ってくれてもいいんだぞ?
アイリスが落ち込んでいるじゃないか。

 彼女が控室までトボトボと帰ってくる。
名探偵ピ◯チュウのあのシーンみたいな雰囲気だ。

「レベルが高いのは知っていたけど、1回戦負けなんて……。このままじゃいつまでたってもメイビス姉さんに追いつけない……」

 何やらガチでしょんぼりしている。
大丈夫か?

「アイリス、どんまい! 俺も1回戦負けだ! この大会はレベルが高いな!」

「アイリスさんは強かったです。相手が強すぎました」

 俺とミティで慰めの声をかける。

「……訓練を始めて1か月やそこらの2人といっしょにしないでよ。ボクは本国でもずっと訓練してたんだ!」

 アイリスはそう言って控室から出ていってしまった。
俺はいざとなればチートを使える前提があるから、武闘を学ぶ姿勢が軽い。
残念ながら、ちゃんと真剣に学んできたアイリスの気持ちが俺にはわからない。
時間が彼女の心を癒やしてくれるのを待つしかないか。

 エドワードがこちらに近づいてくる。
彼が口を開く。

「しばらくそっとしておいてやってくれないか。彼女には、ガルハード杯のレベルの高さは伝えておいたのだが。ミティ君が勝ったのを見て、自分の勝利にも期待してしまったんだろう」

 アイリスの上司のエドワードもこう言っていることだし、しばらく1人にしておこう。

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