【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

71話 1回戦:ミティvsマーチン

「第3試合を始めます! 怪力ドワーフのミティ選手対、ファウス道場出身のマーチン選手!」

 ミティの試合だ。

「ミティ。悔いのないようにね!」

「ミティ! 俺の分までがんばってくれ! ただし、無理はしないようにな!」

「絶対に勝ちます! 見ていてください! むんっ」

 俺とアイリスの激励を受けて、ミティが気合を入れる。
ミティとマーチンがステージに上がる。
マーチンは、俺の対戦相手だったミッシェルと同じ道場出身の選手だ。
選手紹介時のコメントによると、スピード重視の選手のようだった。

 優勝予想の倍率は、ミティが27倍に対して、マーチンが7倍だ。
格上の相手だが、なんとかミティにはがんばって欲しい。

「両者構えて、……始め!」

 開始と同時に、マーチンが動く。
かなりの速度だ。

「ばぁっ!」

「……っ!」

 あっという間にミティに近づき、一撃を入れて離脱した。
ヒットアンドアウェイか。

「うふふ。不意を突かれたにせよ、反応速度はお粗末ね」

「うるさいですね。不意打ちしか脳のないオカマ野郎が」

 結構口が悪いなミティ。
いや、口撃も技術のうち、ということか。
勝つためにはこういうのもありだろう。

 確かにミティの言う通り、このマーチンは若干オネエ系だ。
顔立ちや服装は男なんだが、言葉遣いがな。

「うふふ。そんな安い挑発には乗らないわよ」

 マーチンが再びミティに近づき、一撃を入れて離脱した。
ミティはほとんど反応できない。

「あなた、パンチの打ち方を知っているのかしら? 突っ立ってるだけじゃ、試合には勝てないわよ」

 マーチンが再びミティに近づき、一撃を入れて離脱した。
ミティはやはりほとんど反応できない。

「今回の予選突破者はレベルが低いわねえ」

 マーチンがため息をつき、肩をすくめる。

「タケシとかいうやつも、ミッシェルに負けてたし。無様な敗北者ね」

 タケシじゃなくてタカシだよ。
まあ1回戦で負けたのは事実だが。

 マーチンの言葉を受けて、ミティの顔色が変わる。

「取り消せよ……!!! 今の言葉……!!!」

「あら? どうかした?」

 マーチンは不思議そうにしている。
挑発はしたのは彼とはいえ、ミティがそれほどまでに怒るのが理解できないようだ。

 挑発に乗っては、勝率がぐっと低くなってしまう。
のるなミティ!!!
戻れ!!!

 怒るミティを見て、マーチンがにやりと笑う。
挑発のいいネタを見つけたと言わんばかりだ。

「あのタケシも、あなたと同類ね。冒険者のくせに武闘家の領域に出てくるから恥をかく!」

 マーチンがミティに近づき、一撃を入れて離脱する。

「ふふふ。せっかくだし、実力の差を見せて終わりにしてあげる」

 マーチンの闘気の質が変容していく。

「散桜拳奥義! 桜吹雪の舞!」

 マーチンが目にも止まらぬ速さで動き回る。
ミティに一撃を入れては離脱し、また一撃を入れては離脱する。
とてつもないラッシュだ。

 ミティは棒立ちで、ほとんど攻撃に反応していない。

「パンチの打ち方を知ってるかって…?」

 ミティがパンチの構えをとる。
拳に闘気を集中させている。

 それを意に介さず、マーチンがミティに一撃を入れては離脱を繰り返している。
もうミティはボロボロだ。
マーチンがとどめとばかりに、大きめのモーションでミティに攻撃をしかける。

「あばよ!!!! ルーキー」

 ミティはその隙を逃さず。
マーチンにパンチを振り下ろした。

「!!!?」

 …………!?
会場がどよめきに包まれる。

 ミティのパンチはマーチンにもろに入った。
会心の一撃だ。
状況は完全にマーチン優勢だったが、一瞬の気の緩みをついたミティの一撃が決まったのだ。

 審判がかけより、状況を判断する。

「そこまで! 勝者ミティ選手!」

「うおおお! よくがんばったなミティ!」

 感動した!
格上相手に大金星だ!

 思わずステージにかけより、ミティを抱きしめる。
体中が打撲だらけだ。
この小さな体でよく闘った!
治療魔法を発動して治療しつつ、抱きしめ続ける。

「あ、ありがとうございます! タカシ様!」

 しばらくの間、抱きあっていた。
ふと気がつく。
ここはステージの上じゃねえか。
観客に見られている。
やべえ。
早く退散しよう。

「次の試合もありますので、そのあたりでお引取りください」

 審判の人にも注意されてしまった。
苦笑された感じだ。
ガチの注意ではないのが救いか。

「ミティ! ミティ! ミティ!」

 会場はミティコール。
ちょっとした人気者だ。

 小柄な少女が、中堅上位の男性選手を倒したのだ。
インパクトは大きい。
ミティに賭けていた人は、この試合だけでもそれなりに儲けただろう。

 ミティと控室に戻る。
控室で、治療術師からミティに治療魔法をかけてもらう。
治療魔法に加え、テーピングなども施されていく。

「ミティ。改めて勝利おめでとう!」

「おめでとう! すごい試合だったよ!」

 俺とアイリスで、拍手して祝う。

「タカシ様! アイリスさん! ありがとうございます! がんばりました!」

 ミティはガッツポーズをして嬉しそうだ。 

「あっ。動かないで」 

 治療術師に動きを咎められた。
まあそりゃそうか。

 主催側の計らいで、治療サービスを受けられるのはありがたいな。
ただ、治療できるのはあくまで外傷だ。
疲労は取り除けない。

 明日には2回戦がある。
しっかり休んでもらわないとな。

 治療が終わる。

「ミティ。ずっと相手に押されていたけど、よく耐えたね。作戦通りか?」

「いえ。正直に言えば、手も足も出なかっただけです。ただ、途中から挑発に乗ってしまって、よく覚えていないです」

「まあ勝てたから良しとしよう。それより、疲れているだろう。明日に備えて宿屋に帰るか?」

 本当はもう少し観戦したいが、ミティの明日の試合も大切だ。
彼女自身、明日も勝てれば嬉しいだろう。
実利としても、こういう大舞台での戦闘により経験値が稼げるかもしれない。
また、明日も勝てればベスト4に入れるので、そこそこの賞金ももらえる。

「いえ。傷さえ治れば、疲労はそれほどでもないです。それよりも、他の選手の試合を見ておきたいです。アイリスさんの試合もありますし」

 まあミティが大丈夫というなら大丈夫か。
確かに、疲労を取るのも大切だが、他の選手の研究も大切だ。
アイリスの応援もしたいしな。

「ありがとう。ボクも1回戦、勝ってみせるよ」

 アイリスはやる気まんまんだ。
果たしてどうなるか。

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