【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

23話 ミティとデート:犬獣人ニムとの出会い

 次の日も、ファイティングドッグ狩りに励んだ。
報酬は金貨2枚と銀貨5枚だった。
あまり多いとは言えない。

 以前金貨2枚を稼いでいたときは、俺はまだレベル5でソロだった。
あの時と比べるとレベルもスキルも格段に向上し、パーティにミティが加わっている。
それなのに大して報酬は増えていない。

 やはりこの北の草原でのファイティングドッグ狩りは、初心者向けだ。
ミティのレベリングが終われば、さっさと狩場を移すべきだな。

 その次の日も、ファイティングドッグ狩りに励んだ。
早めに狩りを終え、冒険者ギルドへと向かう。
報酬は金貨2枚だった。
 
 ギルドを後にし、ミティと街を散策する。
ちょっとしたデートのようなものだ。
ミティと親睦を深めるには、狩りだけではなくこういうこともしないとな。

 露店を適当にブラブラと見ていく。
おしゃれなアクセサリー屋があった。
ミティが物欲しそうに見ている。

「ミティ、アクセサリーが欲しいのかい?」

「えっ。いえ、あの、えっと」

 ミティがうろたえている。
きっと欲しいんだろうなあ。

「遠慮しなくていいよ。どれが欲しいんだい?」

「あの、あそこにあるアクセサリーがきれいだなって……。いえ、別に欲しいわけではないのですが……」

 ミティが指さした辺りを見てみる。
宝石がついたきれいなアクセサリーがたくさん置いてある。
いや、宝石じゃなくてガラス細工かな?
さすがに宝石を露店では売らないだろうし。
あの緑色の首飾りはミティに似合いそうだ。
俺とミティが興味深げに商品を見ているところに、店員が話しかけてきた。

「こちらの商品に興味がおありですかな? お目が高い。これらはエルフが加工したものでね。ファンも多いのですよ」

 値段を聞いてみるとさほど高くはなかった。
銀貨3枚。
やはり宝石ではなくガラス細工のようだな。
せっかくだし、どれかミティに買ってあげよう。

「ミティ、どれが欲しい?」

「いえ、私などにアクセサリーはもったいないかと思います」

 ミティはここ数日でずいぶんと俺に心を開いてくれたように思う。
しかしこの辺はまだまだだな。
遠慮が抜けない。

「そんなことを言わずに。俺がミティにプレゼントしたいんだ。ほら、俺とミティが出会えた記念にさ」

「は、はい。ありがとうございます。実はあちらの緑色の首飾りが気になっています」

 奇遇だな。
俺もミティにはそれが似合いそうだと思っていたんだ。

「お目が高い。こちらの首飾りは、風の精霊をイメージして作られたものです。どうです? 試着してみては?」

 店員はそう言ってその緑色の首飾りを手に取り、ミティに渡してくる。
この店員、とりあえず「お目が高い」と言っておけばいいと思ってんじゃないか。
まあ別にいいけど。
ミティが首飾りを受け取り、首に着ける。

「タカシ様、どうでしょうか? 似合いますか?」

「うん。似合っているよミティ。まるで女神のようだよ!」

「そんな大げさです。でもうれしいです」

 ミティがクスッと笑う。
大げさじゃないよ。
可愛いよ。

「ではそちらをご購入されるということでよろしいでしょうか? お値段の方は銀貨3枚です」

 銀貨3枚を店員に渡し、首飾りを購入する。
そのままミティには首飾りを着けておいてもらう。
その後もしばらく辺りを散策した。
暗くなってきたところで宿へ向かう。


 宿の自室に着いた。
イスに腰掛ける。
ミティもイスに腰掛ける。
もう地面に座ったりはしない。

「今日は楽しかったよミティ。ありがとう」

「そんな、それは私のセリフです。きれいな首飾りも買って頂いて……。タカシ様がご主人様で私は幸せ者です」

「これからもずっといっしょにいような」

「はい。ずっと、ずーっといっしょです」

 その日はいっしょのベッドで寝た。
もちろんやましいことはしていない。
そういうのはまだ早い。

 ミティの寝顔は天使のようだ。
うん、こんなに可愛いミティがいるんだ。
もう日本に戻らなくてもいいかもしれない。
ずっとこっちで暮らそう。


●●●


 今日も朝から犬狩りだ。
途中でミティのレベルが3から4に上がった。
新たに得たスキルポイント10を消費し、槌術と腕力強化をそれぞれレベル2にした。
これで彼女の腕力のステータスは補正込みで67。
俺は補正込みで36。
2倍近い差がある。

 俺のレベルは10のまま変わっていない。
やはりレベルが高いと上がりにくいな。
ミッションのために早いところ火魔法をレベル5にしたいのだが。
なかなかもどかしい。

 そろそろ西の森に2人で行ってみるのもいいかもしれない。
森の深くまで入らなければ、それほどの危険もないだろう。
ゴブリンが主な標的だ。
俺のファイアートルネードで適度に数を減らす。
あんまり減らし過ぎるとミティのレベリングに支障がでるため、多少の手加減が必要だ。

 クレイジーラビットはまだ厳しいかもしれない。
ファイアートルネードの範囲と威力を調節すればいけるかもしれないが。
討ち漏らしたときが心配だ。

 狩りを終え、冒険者ギルドへと向かう。
街の露店通りに入ったときに、ふいに服を引っ張られる感触があった。
ミティか?
そう思ったが違ったようだ。
目をやると、まだ小さい少女だった。
いや、少女というよりは子どもといったほうが正確か。
頭には犬耳がある。
犬の獣人だ。

「あ、あの、リンゴを買っていただけませんか?」

 そう言ってカゴに入ったリンゴを差し出してくる。
彼女をよく見てみると、かなり薄汚れている。
顔つきも少し暗い。

 このラーグという街は比較的栄えた治安の良い街である。
しかし、彼女のように生活に困窮している者ももちろん一定数はいるのだ。
ミティの方を見ると、なんとも言えない悲しがっているような顔をしていた。
同情しているのだろうか。

 残念ながら俺にはこの少女をどうこうすることはできない。
自分の背負った金貨320枚の借金がある。
それに、今の俺にはミティを守って生きていくだけで精いっぱいなんだ。
せめてリンゴだけでも買わせてもらおう。

「ああ、もらうよ。いくらだい?」

「ひ、ひとつ鉄貨3枚です」

 鉄貨は銅貨の1つ下の貨幣である。
銅貨1枚と鉄貨10枚が同じ価値を持つ。
日本で言えば、銅貨は100円玉、鉄貨は10円玉といったところだ。
つまり、このリンゴは1つ30円ほどということになる。

「2つもらうよ。お釣りはいらない」

 俺はそう言って銅貨1枚を彼女に渡し、リンゴを2つもらう。

「あ、ありがとうございます」

 これでほんの少しでも彼女の生活が楽になれば良いのだが。
食べてみると、ややすっぱいがまあまあ食べられる味だった。
そのまま食べながら冒険者ギルドへと向かう。

 
 冒険者ギルドに到着した。
中に入り、受付嬢にギルドカードを提出する。
素材の買い取りも合わせてお願いする。

 今日の報酬は金貨2枚と銀貨8枚だった。
ミティのレベルが上がりステータスとスキルが強化された分、狩りの効率が良くなった。
俺との連携もなめらかになってきている。

 明日は西の森に行ってみるか。
そう考えつつギルドの出口へ向かおうとした時、チンピラ集団から下品な声がかけられた。

「おいおい、弱そうなガキがこんなところで何してんだあ?」

「くっくっく。ガキのくせに一丁前に色気づきやがって。生意気だぜ」


レベル4、ミティ
種族:ドワーフ
職業:槌士
ランク:E
HP:43(33+10)
MP:22(17+5)
腕力:67(29+9+29)
脚力:16(12+4)
体力:27(21+6)
器用:5(4+1)
魔力:21(16+5)

武器:ストーンハンマー
防具:レザーアーマー

残りスキルポイント0
スキル:
槌術レベル2
腕力強化レベル2
MP回復速度強化レベル1

称号:
タカシの加護を受けし者

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