【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

14話 遠征4日目:森の異変

遠征も4日目を迎えた。

今日の野営地の番は蒼穹の担い手が行うようだ。
昨日の礼をあらためて伝えておく。
特にリーゼロッテには念入りに礼を言った。

朝食後はさっそく狩りだ。

いきなりクレイジーラビットと遭遇した。
今度はうっかり攻撃するなんてマヌケなことはしない。
ジークが最初に攻撃し、クレイジーラビットの攻撃を引きつける。
その間に他の3人で殲滅していく。

改めて外から見ても恐ろしい攻撃だった。
生き残れたのが奇跡とすら思える。

次にゴブリンの群れと遭遇した。
木の多い場所だったので、普通に剣で討伐した。

たぶんソロでも数匹ぐらいなら余裕だろう。
5匹ぐらいならなんとか。
10匹を超えてくると絶対にムリだ。
ソロで森に潜るのは当分先になりそうだな。

そんな感じでしばらく森を散策していると、木に大きな引っかき傷を見つけた。
ドレッドが真剣な顔をしている。

「これは……リトルベアがつけた傷に違いねェ。ここらは奴の縄張りのようだ」

「…………危険だ」

「ああ、目を付けられねェうちに離れよう」

来た道を戻る。
疑問に思ったことを聞いてみる。

「リトルベアってどんな魔物なんでしょう? そんなに強いんですか?」

「ああ、強い。リトルなんて名前をしてるが、ゴブリンに比べたらはるかにでかい。そのでかい図体からの一撃は半端じゃねェ。それに腕が長いから避けにくい」

「幸い鼻と耳は良くないから、視認されない限りは大丈夫ね。もし縄張りに入っているところを見られたら、戦うしかないわ。足も速いから逃げてもムダなの」

「あいつの素材は高く売れるから、いつかは狩りたいと思ってるんだが……。今はその時じゃねェ。リスクが高すぎる」

「…………左様」

なるほどね。
確かにリトルベア討伐はやめておいた方が良さそうだな。

いや、俺にとっては案外狙い目かもしれんぞ?
ゴブリンやクレイジーラビットは群れで行動するから狩りにくい。
しかし相手がクマならば1対1で戦える。
スキルでゴリ押ししたら勝てそうだ。

いやいや、やはりムリだ。
最近は魔法関係のスキルばっかり取ってるからな。
魔法は前衛に守ってもらいながらじゃないと活かし切れない。

剣術や回避術をもっと強化して、腕力強化あたりを取得すればいけるかもしれないが。
当面は諦めるのが得策だろう。

その後、ゴブリンの群れに遭遇した。
俺のファイアートルネードの出番だ。
狩りは極めて順調に進んでいる。

そんな時に、不可解な光景を目にした。
大量のクレイジーラビットの死体だ。

「何よ、これ。こんなの初めて見たわ」

ユナが動揺したような声で言う。

「ゴブリンの群れと戦ったのでは?」

「…………違う」

ジークが俺の説を否定する。
十分ありうる話のはずだが。
魔物同士で争うこともあるのだから。

「見てみろ、ここにはクレイジーラビットの死体しかねェ。もしゴブリンだったらゴブリンの死体もあるはずだ」

「ではリトルベアならどうでしょう?」

リトルベアは強いっていう話だし、クレイジーラビットを蹴散らしてもおかしくはないはずだ。

「いや、それもないな。リトルベアは歯や爪での攻撃も行うが、基本的にはパンチで叩き潰すような攻撃をする。このクレイジーラビットの死に方は妙だ」

確かに。
このクレイジーラビット達は打撃でやられたわけではなさそうだ。
噛みちぎったような、切り裂いたような、引きちぎったような。
そんな傷あとがある。

「ちょっと! あの木を見て!」

ユナが1本の木を指さして言う。
見ると、大きな傷のついた木があった。
近づいてよく見てみる。

「こんな傷は……見たことがねェ」

ドレッドが緊張した声で言う。
さきほどのリトルベアがつけた傷とはまったくの別物だ。

「何かしらこれ。引っかいたあとではないわよね。噛んだあとかしら?」

「だとすると……危険だ。見ろ、かなり深くまでえぐれてやがる。生半可な力じゃねェ」

生物がつけたとは思えないような傷だ。
俺がもし噛まれたら確実に致命傷。
こんな傷をつけられる魔物とは戦いたくない。

「…………急いで戻ろう」

「ああ、まずは野営地に戻るぞ。蒼穹の担い手と合流して、今後の方針を考えなければならねェ。黒色の旋風とも上手く合流できれば良いんだが……」

「今後の方針とは何でしょう? もともと明日で遠征も終わりますし、撤退で良いのでは?」

「ことはそう簡単じゃないわ。この西の森は、比較的レベルの低い狩場よ。クレイジーラビットの群れを相手にして生き残れる。そんな魔物、本来リトルベアだけのはずなのよ」

「南の山脈の向こう……いわゆる“魔の領域”から魔物が流れ込んできたのかもしれねェ。放置すればどんな影響があるか分からん。3パーティ合同で魔物の種類だけでも調査する。場合によっては討伐も検討するべきだ」

討伐する可能性もあるのか……。
こんな傷をつけられる魔物を?
俺は昨日死にかけたばかりだぞ?
まあ自分のミスだけど。
正直逃げ出したい。

ちなみに大量のクレイジーラビットの死体はアイテムルームに収納しておいた。
討伐報酬はもらえないが買い取り報酬はもらえるのだ。

野営地に戻り蒼穹の担い手と合流する。
黒色の旋風の帰還を待ちつつ、とりあえず情報共有だ。

しばらくして、黒色の旋風が戻ってきた。
何やら慌ただしい。

「大変だ! ホワイトタイガーがいた!」

ホワイトタイガーは災害指定生物第3種に該当する危険な魔物らしい。
この森では最強とされているリトルベア。
それを上回る戦闘能力がある。
街や都の近くにはまずいない。
いたとしても、上級冒険者や騎士団に直ちに討伐される。
この森からラーグの街まではそれほど遠くない。
緊急事態だ。

「俺達の手には負えない。リスクが高すぎる。一時撤退し増援を呼ぶべきだ。正体は割れたから調査も必要ない」

蒼穹の担い手のリーダーが言う。
彼の名前は確かコーバッツだ。

撤退が決まりかける。
それをドレッドがとめる。

「いや待て……。大量のクレイジーラビットの死体を俺たちは見た。状況から考えて、クレイジーラビットと1戦を交えたことは間違いない。いくらホワイトタイガーでも、多少は弱っているはずだ」

確かにドレッドの意見も一理ある。
あの猛攻を受けては、強い魔物でもただではすまないはずだ。
しかしそれにコーバッツが毅然と反論する。

「多少弱る程度ではまだ危険だ。災害指定生物をなめてはいけない。ここは撤退すべきだと俺は考える」

Cランク冒険者であるコーバッツの意見は重い。
さすがにドレッドもそれ以上意見することはなかった。

「撤退はいつ始めるの? もう昼を過ぎたわ。今からだと、夜までに街に着くか怪しいわよ?」

ユナが言う。
夜の行軍は危険だ。
明日の朝まで待つべきかもしれない。

「いや、今すぐに撤退を開始しよう。確かに夜の行軍は危険だが、ホワイトタイガーがいる森での野営よりはマシだ。それに、少しでも早くこのことをギルドへ報告したい」

特に反論もなかったので、今から撤退することに決まった。
果たして無事街にたどり着けるのかどうか。
もう一昨日みたいに死にかけるのは嫌だぞ。


レベル9、たかし
種族:ヒューマン
職業:剣士
ランク:E
HP:73(56+17)
MP:93(37+56)
腕力:34(26+8)
脚力:33(25+8)
体力:74(32+10+32)
器用:38(29+9)
魔力:33

武器:ショートソード
防具:レザーアーマー(ボロボロ)、スモールシールド

残りスキルポイント0
スキル:
ステータス操作
スキルリセット
加護付与
異世界言語
剣術レベル3
回避術レベル1
気配察知レベル2
MP強化レベル3
体力強化レベル2
肉体強化レベル3
火魔法レベル3 「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード」
水魔法レベル1 「ウォーターボール」
空間魔法レベル2 「アイテムボックス、アイテムルーム」
MP消費量減少レベル2
MP回復速度強化レベル1

称号:犬狩り

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