【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1630話 数日後

 数日後――

「くくっ……。桜花城の掌握は完璧だな」

 俺は桜花城の天守閣から城下を眺める。
 あの日、ついに景春は俺に屈服した。
 しつこく使っていた『余』という一人称を『あたし』に改め、自分が藩主ではなく一人の少女であることを認めたのだ。

 それは、景春の自己認識だけの問題にとどまらない。
 大広間には桜花七侍の他、多数の家臣が集まっていた。
 少しばかりくすぶっていた俺に対する不満も、これで完璧に解消できたことだろう。

 問題は何も残っていない。
 と言いたいところだが……

「むうぅ~!!」

「ったく……」

「…………ずるい」

 3人が不満の声を上げている。
 その3人とは、紅葉、流華、桔梗だ。
 彼女たちは俺に対して抗議の視線を向けている。
 いや、正確に言えば俺の懐にいる少女に対して、か。

「景春……少し離れてくれ」

「どうして? 別にいいじゃない。ようやく藩主の重圧から解放されたんだから」

 景春が答える。
 彼女は俺の膝の上にちょこんと座っていた。
 もはや、『民に対して重税を課した悪どい藩主』という雰囲気は全くない。
 15歳前後という見た目相応の振る舞い……いや、むしろ幼く無邪気な雰囲気さえ感じられる。

「今思えば、あたしは藩主の立場に疲れてたのかも! あんたのおかげで、ようやく肩の荷が下りたわ!」

 景春は快活に言う。
 性格が変わりすぎて、ちょっと心配になる。
 まぁ、元藩主としてのメッキを強引に剥がしたのは俺なのだが。
 いわゆるストックホルム症候群……とは少し違うか?
 何にせよ、彼女の精神状態には注意が必要かもしれない。

「そ、それは良かったな。……さて、そろそろ離れてくれないか?」

「嫌よ! あたしをあんな目に合わせておいて……。責任取りなさいよ!」

 景春は頬を膨らませる。
 その表情は、年相応に可愛らしい。

「あんな目って?」

「とぼけないでよ。みんなが見ている前で、あたしを凌辱したくせに……」

「ひ、人聞きの悪いことを言うな。そりゃ、多少は恥ずかしい思いはしただろうが、凌辱はしていないぞ」

「似たようなものでしょ! ……とにかく、あたしはあんたに逆らえない体にされたんだから! もう、離れろって言われても離れないわよ!」

 景春はぷいっと横を向く。
 その仕草が可愛らしくて、思わず笑みがこぼれた。
 しかし、いつまでもこうしてはいられない。
 紅葉たちの視線が痛いし、それに……

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