【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1629話 あたし

「くくっ! ようやく本性が出たな」

「た、助けて……。あたしを殺さないで……」

「そうだなぁ。助ける方法は一つあるぞ?」

「……っ! な、何をすればいいの? 何でもしますっ! あたしを殺さないで……!」

 景春は必死だ。
 もはや、自分が藩主だったことなど忘れてしまったかのようだ。
 一人称が余ではなくなり、口調も変わっている。

「お前、俺の女になれ」

「……え?」

 景春が硬直する。
 俺は構わず続けた。

「お前、自分を『男』だと偽っていたのだろう? 家臣や民の全てを騙すとは、なかなかの大仕掛けじゃないか」

 俺も、戦闘中にはすっかり騙されていた。
 景春が女性である可能性に気付いたのは、監禁後に諸々の調査をしているときだった。
 家臣団の一部に、『景春は美少女に言い寄られても動揺しない』『景春は男色家』などの噂が広がっていたのだ。
 そういった噂を総合的に分析した上で、景春の就寝中にこっそり確認し、景春が女であることを確信するに至ったのである。

「ち、違……。あたしは男で……」

 景春が口ごもる。
 往生際が悪いな。
 一人称は崩れているのに、まだ抵抗してくるとは……。
 ギリギリで、自分が藩主であることを思い出してしまったか。

「では、これはどういうことだ?」

 俺は景春の股間をまさぐる。
 そして、彼――いや、彼女の秘部をマッサージした。

「――っ!!」

 景春が声にならない叫びを上げる。

「くくっ、やはりな。お前は女だったわけだ」

「あ……っ! う……ぁ……」

「まぁ誤魔化す気持ちは分かるさ。男じゃないと、藩主としての正当性が薄まるからな」

「……」

 景春が黙り込む。
 彼女には血統妖術の『散り桜』がある。
 かなり強力な妖術だ。

 女性であっても、圧倒的な実力があれば当主の座に就くことはできる。
 ただ、素の身体能力では男性に劣りがちだし、後継者問題も発生しやすくなる。
 男が当主ならば側室を大量に囲うことで10人でも100人でも子供を作ることが可能だが、女当主だと同じことはできないからな。
 相手となる男がたくさんいたとしても、孕むことができる体は1つしかないのだ。

 生命を生み出すことができるのは女性だけ……。
 それは祝福であると同時に、呪いでもある。

「だが、性別を偽るのは今日までだ」

 俺は告げる。
 これが本来の目的だ。

「自分が女であることを、家臣団の前で認めろ。そして、俺の女になるがいい。そうすれば助けてやる」

 俺は力強く、そう宣言したのだった。

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