【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1627話 その場しのぎの言い訳

「余は……何も悪いことはしていない! 藩主として適切に統治を行っていた!!」

 景春が叫ぶ。
 四肢を拘束され、目隠しをされながらも、その叫びだけは力強い。
 ギリギリのラインで藩主としてのメッキは保っているようだ。

「ほう? 藩主としての適切な統治ねぇ……」

 俺は景春を挑発するように言う。
 そのまま、言葉を続けた。

「お前が藩主になってから、思いつきのような増税が繰り返された。そのおかげで、一部の平民は飢えに苦しむことになった」

「そ、それは……」

 景春が口ごもる。
 これを指摘されることなど、最初から分かっていたはずだ。
 幽蓮の生首を見た恐怖から、その場しのぎの言い訳をしようとしているだけ。

「百歩譲って、必要な増税だったのならば仕方のない面もあっただろう。例えば、周辺の藩との戦に備えてだとか……」

「そうだ! 必要な増税だった!」

「だがな、景春。一時的に増えた税収により、お前は贅沢三昧だったそうじゃないか。既に調べはついている。まさにこの大広間で、豪華な宴会を開いたこともあったそうだな」

「ぐ……」

 景春が口ごもる。
 図星らしい。
 紅葉や流華の生活苦も、元はと言えば景春が好き勝手に増税して贅沢三昧をしたからだ。

「そ、それは……謎の事象により余が正気を失っていて……」

「ほう? お前は、正気を失ったまま政治を行っていたのか?」

 俺はあえて嘲笑を浮かべながら言う。
 そのあたりの調査も終わっている。
 景春の話は嘘ではない。
 桜花七侍の面々も少なからず心当たりがあるのか、景春に同情的な視線を向けている。
 だが、目隠しをされている景春がその視線に気付くことはない。

「まだあるぞ。お前の最大の罪は……弱いことだ。大量の一般侍や桜花七侍との戦闘で、あのときの俺は少しばかり疲弊していた。そんな俺を相手に、お前は無様に敗北した」

「う……」

「優しい俺だったから良かったものの、これが残虐な侵略者だったならどうなっていた? 家臣団や民が皆殺しにされていたかもしれんぞ?」

「だ、黙れ……っ!」

 景春が叫ぶ。
 しかし、虚勢を張っているだけだとすぐに分かる。
 そろそろ最後の仕上げといこうか。

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