【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1604話 現状ステータス 流華

「よし、流華。次はお前の番だ」

「待ってたぜ、兄貴!」

 俺に指名された流華が、嬉しそうな声を上げる。
 俺たちは、ステータスを事前に記載しておいた紙を共に見た。
 そこにはこう書かれている。


レベル10、朝霧流華(あさぎりるか)
種族:ヒューマン
身分:平民
役割:桜刃三戦姫
職業:忍者見習い
ランク:ー

武器:苦無(くない)
防具:村人の服

HP:74(57+17)
MP:43(33+10)
腕力:40(31+9)
脚力:47(36+11)
体力:43(33+10)
器用:43(33+10)
魔力:43(33+10)

残りスキルポイント:60
スキル:
忍術レベル2
窃盗術レベル2

称号:
タカシの加護を受けし者
桜花七侍撃破者
桜刃三戦姫


 流華の初期レベルは10。
 紅葉よりも1つだけ高い。
 鍛錬などをする余裕がなかったのは紅葉と同様だろうが、流華の場合はある意味で毎日が実戦だった。
 なにせ、スリとして生きていたのだから。
 彼は多くの修羅場を潜り抜けてきた。
 その成果……と言っていいのかは分からないが、彼は紅葉よりも初期レベルが1つ高く、そして『窃盗術レベル2』を持っている。

「流華、一応聞いておくが……」

「何だよ、兄貴?」

「得意分野を伸ばすとは言っても、『窃盗術』は上げないよな?」

 流華は、既に罪を償っている。
 スリの被害者たちに謝罪と賠償も済ませた。
 もう犯罪行為に手を染める必要はないのだ。

「は? 何言ってんだよ、兄貴?」

「ん?」

「もちろん上げるぜ! これからも機会があれば盗んでやるからな!!」

「…………」

 俺は絶句した。
 てっきり、彼は心を入れ替えて真っ当に生きるのだと思っていた。
 しかし、違った。
 彼は盗むことをやめられないらしい。

「流華、尻を出せ」

「え? な、なんでだよ?」

「なんでもだ」

 俺の有無を言わせぬ口調に、流華が慌てて従う。
 ……ペシンッ!!

「痛ぇ!」

 俺は流華の尻を叩いた。
 もちろん、手加減はしている。
 だが、それでも彼は涙目だ。

「な、何すんだよ! 兄貴!!」

「これはお前のためなんだ。分かってくれ」

「え……? 俺のため――ひぃん!?」

 俺は流華の尻を再び叩く。
 今度は、さっきよりも強めに。

「や、やめっ! 兄貴!!」

「まだまだぁっ!!」

「やっ、やめろぉ!!」

 俺は流華の尻を何度も叩いた。
 何度も何度も叩いてやった。
 なんだか楽しい。
 野郎の尻なんか叩いても楽しくもなんともないと思っていたが、これはなかなか癖になるかもしれない。

「ん? どうした、流華?」

「んん……。はぁ、はぁ……」

 流華の異変を見て、俺は手を止める。
 彼は顔を真っ赤にして、息を荒げていた。
 ……いかんな。
 ちょっとやり過ぎてしまったらしい。
 顔を真っ赤にするほど怒り、息を荒げるほど苦しんでいたとは。

「悪かった、流華」

 俺は深々と頭を下げる。
 途中から、自分の楽しさを理由に彼の尻を叩いてしまった。
 これは、彼からの信頼を裏切る最低な行為だ。

「はぁ、はぁ……。な、何がだよ?」

「お前のためだと言いながら、ちょっとやり過ぎた。反省している」

「あ、兄貴が謝ることなんかねぇぜ! そりゃ、どうして叩かれたのかはよく分かってねぇけどよ……その、兄貴に尻を叩かれること自体は嫌じゃないし……」

 流華がボソボソと何かを言っている。
 最後の方の言葉は、よく聞き取れなかった。

「え? 何だって?」

「な、何でもねぇよ! 俺のスキルをどうやって強化していくかって話に戻ろうぜ!」

 流華が強引に話題を変えた。
 まぁいい。
 今は彼のスキル構成を考える方が先だ。
 まず、彼の考えを聞いてみよう。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品