【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1578話 誰が支配者か

「諸君の疑問はもっともだ。だが、桜花城はこの俺――高橋高志のものとなったのも事実! 今、証拠を見せてやる!!」

「な、何をする気だ!?」

「証拠って……いったい何を……?」

 民衆たちがざわつく。
 俺は彼らの反応に満足しつつ、左右の手で魔力を操作し重力魔法を発動する。
 自分自身を浮かせるわけではない。
 天守閣の部屋の内部で意識を失っている者たちを、ぷかぷかと宙に浮かせて運んでくるのだ。
 その先頭はもちろん……

「な、何だ?」

「人……? 遠くてよく見えないが……あれはまさか……!?」

「か、景春様では……!?」

 民衆たちが騒ぎ始める。
 俺がいるのは、天守閣の屋根の上。
 景春はその近くの宙に浮いている。
 城下町の民衆から見てそこそこ遠いため、分かってくれるか微妙だったが……。
 大丈夫だったらしい。
 まぁ、景春は藩主として立派な衣服を身に纏っているし、その中性的な顔も目立つからな。
 しかも……

「あれは……妹君たちでは?」

「本当だ……。ま、間違いない……」

 景春とよく似た双子まで近くにいれば、さすがに分かるだろう。
 これで、とりあえずの証拠は十分だ。

「この通り、桜花家の血を引く者たちは俺の手中に落ちた! 生かすも殺すも俺次第! 今日からは俺がこの桜花藩を統べる者となるのだ!!」

「な、なんだって!?」

「そんな馬鹿な……」

 民衆が騒ぎ始める。
 一部には、俺の言葉を信じられない者もいるようだ。

「嘘だろ……!? そんなはずがない!」

「桜花七侍の連中は何をしている!? 今代の七侍はいけ好かない奴らだったが……確かな実力が持っていたはず!」

「ま、まさか……桜花七侍までやられちまったってのか!?」

 民衆がざわめき続ける。
 自分たちで正解を導き出してくれるとは、実にありがたい。

「そうだ! 桜花七侍の連中は俺が始末した! 見ろ、こいつらの情けない姿を!!」

 俺は引き続き重力魔法を発動し、桜花七侍を空中に浮かべる。
 樹影、雷轟、金剛、無月、夜叉丸、巨魁、蒼天。
 全員が意識を失っており、無抵抗にぷかぷかと宙を浮いている。

「ま、まさかそんな……」

「あり得ない……」

「大軍が桜花城に攻め入ったなんて話、聞いていないぞ!?」

「混乱さえ気取られぬほど……わずかな手勢で攻め落としたとでも……」

「こ、これは……現実なのか……?」

 民衆の混乱がピークに達する。
 だが、疑う余地はない。
 藩主、その妹たち、そして桜花七侍。
 全ての人間が、俺の制御下に置かれているのだ。
 誰が支配者か、一目瞭然である。

 これらの証拠でもう十分だろうが……。
 せっかくだ。
 さっき取得した『とあるスキル』を見せて、ダメ押ししておくか。

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