【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1574話 獰猛な竜

「まだまだ行くぞ! 【満開・桜槍閃】!!」

「【桜の舞】!」

「【八重桜】!」

 景春と双子の声が重なる。
 もうかなりの時間、彼らの攻撃を受け続けている。
 いつ階下の侍たちがここに駆けつけてきてもおかしくない。
 そうでなくとも、いずれは俺のMPが尽きる。
 魔法の源であるMPが尽きれば、いよいよ打つ手がなくなってくる……。

「もういい」

 俺の中で、何かがプツンと切れた。
 俺はその場に仁王立ちし、刀を鞘に収める。

「ははは! どうした!? ついに諦めたか――んぺっ!?」

 景春の言葉が途中で止まる。
 俺の闘気弾を顔に受けたからだ。
 彼には『散り桜』があるので、ダメージはないが……。

「俺も舐められたものだな。ガキども」

「「ひっ……!?」」

 俺の怒気を受け、双子が後ずさる。

「な、なんだ? 雰囲気が……」

 景春が戸惑う。
 俺は今、かなりイライラしている。
 殺気満々だ。
 実際に殺す気で攻撃しようとすれば体が動かなくなるのだが、殺気だけは隠せない。

「景春……お前にはいくつもの分岐点があった。最初に交渉した時、俺にお前の攻撃が通じないと知った時、俺の攻撃が『散り桜』を突破できると分かった時、幼い双子を戦闘に引きずり出された時……。そのどこでも、お前には降伏という選択肢があった。だが、お前は降伏を選ばなかった」

「な、何を言って……?」

「聞こう。お前……絶対に人を噛まないと確信できる獰猛な竜に会ったことはあるか?」

「え……」

「俺はないな……」

 俺はそう呟く。
 そして、景春の返事を待たず、殺意の波動と共に駆け寄っていく。

「なっ……!? う、うぅ……!?」

 景春が怯えた様子を見せる。
 だが、もう容赦はしない。

「武神流奥義――」

「ひっ……。や、やめ……」

「――【大震閃】」

 俺は刀を抜く。
 そして、彼を上半身と下半身の真っ二つにした。

「あ、あああああああぁっ!?」

「ねぇさまぁああああ!!」

 双子が悲鳴をあげる。
 強い殺気と共に、俺は景春を一刀両断にしたのだ。
 トラウマものの光景だろう。
 俺としては本当に殺しても良かったのだが、残念ながら……

「はぁ、はぁ……! くそっ! ば、馬鹿にしよって……!!」

 真っ二つにされた景春が、のそのそと起き上がる。
 そうなのだ。
 彼には血統妖術『散り桜』がある。
 魔力や闘気が不十分な斬撃は、無力化されてしまう。
 まぁ、だからこそ俺は自身の呪いに打ち勝って攻撃できたのだが。

「ね、ねぇさま?」

「よくぞご無事で!」

「うぅ……! 許さん……! 桜花家を侮ったこと、後悔させて……うぁっ……」

 景春が立ち上がる。
 しかし、すぐに体の一部が花びらとなってその場に崩れ落ちる。
 やはりそうか。
 強い精神的ダメージを与えれば、こうして『散り桜』の制御が不安定になるらしい。

「思い知ったか? 俺が本気なら、お前たち程度はいつでも殺せるんだ」

「「「ひっ……」」」

「確かに、俺には不殺の呪いがある。だが、それはいつ解けてもおかしくないものだと心得ろ。お前たちの態度次第では……桜花藩自体を滅ぼしてやってもいいんだぞ」

 俺は言う。
 景春と双子は強い恐怖のためか、気を失った。
 揃いも揃って股間部から液体を漏らしているし、意識を取り戻してももはや脅威ではあるまい。

 これでようやく勝利と言っていいだろう。
 あとは……階下から迫ってきている侍たちを蹴散らして、紅葉たちの無事を確認して……。
 仕上げに、城下町全体に向けて勝利宣言をするのもアリだな。

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