【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1573話 甘ちゃん

「桜花家伝来……【乱舞・千本桜】!!」

「「【二重桜花槍】!!」」

「ちぃっ! 調子に乗りやがって……!!」

 景春と、その妹たち。
 合わせて3人の血統妖術が俺を次々に襲う。

「俺には効かん……そう言っているだろうが!!」

「くく……。それはどうかな? 貴様の火妖術は見事だが、妖気には限りがあるはずだ。こちらからの攻撃を無力化する度に、貴様の妖力は減っていく……。その状態で余たち3人を相手にして、いつまで耐えられるか見ものだ」

「ちっ!」

 景春の指摘は概ね合っている。
 俺の『炎精纏装サラマンダー』はかなり強力な魔法だが、決して無敵ではない。
 発動しているだけでMPを消費するし、攻撃を受ければその度に多少のMPを消費する。
 火は桜に対して相性が良いため、本来は気にするほどのMP消費量ではないのだが……。
 攻撃に全振りした3人がかりの攻撃を受け続ければ、さすがに厳しい。

「図に乗るなよ! 俺が全力を出せば、お前らなんか一瞬で消し炭だ!!」

 俺は叫ぶ。
 かなりイライラしていた。
 しかし、桜花家の3人は動じない。

「やれるものなら、やってみたらどうだ?」

「わたしも覚悟は決めました……。もう、何も怖くありません!」

「ねぇさまと……桜花家のためなら! わたしの命を捧げます!」

 3人が告げる。
 その間にも、俺への集中攻撃は続く。

「ちっ!」

 俺は闘気で身体能力を強化し、桜吹雪を避ける。
 だが、なにせ手数が多い。
 少なくない数の花びらが俺にヒットし、じわじわとMPを削ってくる。
 本当に……人を苛つかせるのが上手い奴らだ。

「忠告はしたぞ……! そんなに死にたいのなら、勝手にしろ!!」

 俺は叫ぶ。
 もういい。
 不殺もクソもない。
 このガキどもを一人残らず殺す!

「くらえっ! 爆裂火炎――うぐっ!?」

 俺は火魔法を発動しようとした。
 だが、その直前で……俺の体が動かなくなる。

『タカシ……』

『タカシお兄ちゃん……』

 まただ。
 また、幻聴と幻視。
 ボーイッシュな美少女と無垢なハーピィの少女が俺を見つめて……いや、責めるように睨んでいる。

「くっ……!!」

「ふははは! やはり、体が動かぬようだな!! こちらの勝ちだ!」

「悪く思わないでください」

「桜花は……渡しません!」

 景春と双子。
 3人の妖術が俺を襲う。
 やはりダメだ。
 強めの攻撃を仕掛けようとすると、体が動かなくなる。
 記憶を失う前の俺――あるいは闇を受け入れる前の俺は、筋金入りの甘ちゃんだったらしい。
 まるで呪いのように忌々しい。

「ちぃっ!」

 俺は刀で妖術を受ける。
 しかし、全ては防ぎきれない。
 肉体にダメージはないが、MPが削られていく。

「ふふふ! いいぞ!」

「このままいけば勝てる……!」

「お願い、このまま……」

 3人の攻撃は苛烈になっていく。
 俺は、かなりのストレスを感じていた。
 こいつら……。
 半ば呪いのようなものとはいえ、幼子を傷つけないという俺のポリシーが無ければ、とっくに死んでいるんだぞ。
 それにつけこんで、好き放題しやがって……。

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