【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1570話 幼い双子

「可愛い潜伏者だな。いや、伏兵と言った方が適切か?」

「「ひっ……」」

「あまりにも矮小な気配だったから、見過ごしていたよ。気配を隠す技術はまぁまぁだな。しかし、全く動かないというのも不自然だ。他に小鳥や鼠もいたようだが、俺と景春の戦闘で逃げたぜ?」

 俺は言う。
 チート持ちの俺は、高威力の攻撃を放つことができる。
 藩主である景春も、俺ほどではないが強力な攻撃を放つことができる。
 その戦闘の余波で逃げない存在は、明らかに不自然だ。
 景春との問答や彼の視線がなくとも、いずれはその違和感が確信に変わっていただろう。

「さて……。この2人はお前の何なんだ? まさか、娘ってわけじゃないよな?」

 俺は振り返り、景春に尋ねる。
 2人の幼女は怯えているだけで、特に何もしてこない。

「…………」

「答えろ。3秒以内だ。3……2……」

「よ、余の……世話係だ。配下の侍の娘で――」

「嘘は良くないな」

 俺は言う。
 そして、刀を2人の幼女に向けた。

「ひっ!?」

「や、やめて……!」

「ほら、怖がってしまっているじゃないか。景春……お前が虚偽の報告をしたせいで、2人は死ぬことに――」

「よ、余の妹たちだ! 桜花家の……双子の娘だ!」

 景春は叫ぶ。

「ほう? 妹……ねぇ」

 俺は双子を観察する。
 8歳ぐらいだろうか?
 まだ小さいが、2人とも美しい容姿をしている。
 10代前半くらいの景春とは、成長度合いが異なるが……。
 年齢差を脳内で補正すれば、かなり似ていると言っていいだろう。

「どうして障子の影に潜んでいた? 3秒以内に答えろ。3……2……」

「に、逃げ遅れただけだ! 何せ、貴様が突然ここを訪れたものだから、逃がすことすらまともにできなかったのだ!!」

「ふぅん? この期に及んで、まだそんなことを言うのか……」

 俺はそう呟きながら、双子に近づく。
 そして、その髪を掴み上げた。

「うぅっ……!」

「くっ……!」

 2人は苦しそうに呻く。

「おい! やめろ!! まだ幼子だぞ!!」

「だからどうした?」

 俺は言う。
 以前の俺だったら、こんなことはしなかっただろう。
 人の生死だけではなく、肉体的な苦痛や精神的なショックにも配慮していた。
 特に、女性や子どもには甘かった。
 しかし、今は違う。
 闇の素晴らしさを受け入れた今……目的のためには、手段を選ばない。

「嘘は良くない……そう言ったはずだ」

「何を……」

「お前がさっき発動した大技……こいつらが発動を補助していたのだろう? 俺の感覚は誤魔化せんぞ」

「っ!?」

「補助だけとはいえ、なにせ桜花家直系の妖力だ。さぞかし大きな補助効果を生んだだろう。もはや、『ただ逃げ遅れただけの幼い双子』として見逃せる存在ではない」

 俺は言う。
 双子の髪を掴んでいた手を振り上げ、2人の体を宙に放り投げ……。
 刀を一閃したのだった。

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