【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1558話 桜花城5階 復活怪人

「ここが天守閣か」

 俺は階段を昇り終えた。
 4階から5階への階段には、特に細工はなかった。
 おそらく、ここまで侵入者が来ることは想定していないのだろう。
 スムーズに最上階の天守閣にたどり着くことができた。

「さて、いよいよ桜花景春との対峙だ……。奴の首を獲れば、ミッションクリア。どんな面をしたクソ野郎かは知らんが、ここまで来たからには容赦せん」

 俺は天守閣の襖を勢いよく開ける。

「なっ!?」

「き、貴様は……!?」

 目の前には2人の男がいた。
 彼らは俺を見ると、驚愕の表情を見せる。
 そして、すぐに刀を抜いて構えた。

「侵入者というのは貴様だったか。よもや、ここまで来るとは……。雷鳴流を打ち破っただけはある」

「偽物の記憶を植え付け、我らを欺いていたようだな。無月殿まで籠絡するとは、想定外であった」

 男たちが俺に向けて言う。
 その口ぶりは、俺を知っているかのようだ。
 もちろん、俺も彼らのことをよく知っている。

「確か……雷轟と金剛だったか? 桜花七侍の……」

「ほう? 儂らの名を覚えておったか」

「貴殿のような強者に名を覚えられているとは、光栄だ」

 俺の言葉を受け、雷轟と金剛が笑う。
 彼らは桜花七侍。
 桔梗の件で、俺と敵対した奴らだ。
 あのときは、あっさりと撃破してやったのだったな。
 場の成り行きや桔梗の嘆願もあり、命までは奪わなかったが……。

「せっかく拾った命だ。もっと大切にした方がいいぞ? 自殺願望があるのなら話は別だがな」

 俺は挑発的に言ってみせる。
 確かに彼らは強い。
 だが、チート持ちの俺ならば余裕で勝つことができるだろう。

「ふっ。もちろん、自殺願望などない」

「我は駒。与えられた使命を全うするまで。景春様の命により、貴殿とは友好関係を――」

「断る」

 2人の侍の言葉を、俺は遮る。

「お前たちは敵だ」

 そう断言する。
 そして、闘気と魔力を開放した。

「うぐっ!? な、なんという……」

「ま、待て……! 我々は貴殿と……うぁ……」

「お前たちとは、戦うだけ無駄だ」

 俺は2人の侍を威圧する。
 彼らは俺の闘気と魔力にあてられ、動けなくなってしまったようだ。
 2人とも、武器こそ構えたままだが……

「眠ってろ」

「「がっ!?」」

 俺はトドメに、闇のオーラを開放して威圧を強めた。
 2人はそれに耐えきれず、意識を失った。

「バカめ……。復活怪人が活躍できるとでも思ったか? 俺も舐められたものだな」

 一度は敗北した者が、再戦して勝利を収める。
 それは、確かに王道の展開だ。
 しかしあくまで、主人公側・正義側の話である。
 悪側視点において、そんな展開はあり得ない。
 戦隊モノやRPGなどでも、復活した序盤の敵はあっさりとやられるものだ。

「さて、これで邪魔者はいなくなった」

 せっかく天守閣の間に入ったというのに、2人の侍のせいで無駄な時間を過ごした。
 俺は改めて、奥に視線を向ける。
 天守閣の間は、なかなかに広い空間のようだ。
 奥の壁には、桜花家の家紋が描かれた掛け軸がかかっている。
 風通しのいい構造になっており、天守閣の最上階から城下町を一望できるようだ。

「そして……あいつが景春か」

 奥には2人の人物がいた。
 片方は、40代くらいの妖艶な女性。
 そしてもう片方は、10代前半くらいの若い少年。
 さぁ、紅葉たちを救い出すとしよう。

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