【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1529話 軟弱なことに興味はない!

「いずれにせよ、無月が協力してくれて助かるよ。とても嬉しい」

「ふん……。配下にわざわざ礼を言うとは、もの好きな主だな」

 無月がぶっきらぼうに言う。
 だが、おそらくは照れ隠しだろう。
 この数日、ずっとこんな感じで接してきた。
 忠義度は微増を続けており、加護(微)は付与できている。
 桜花城攻めまでに加護(小)を付与できるかは微妙なところだが、基本的にはこういった接し方で間違いはないはずだ。

「金剛と雷轟の様子はどうだ?」

「当面は問題ない。俺の奥義……『虚影転写の術』が効いているからな」

「それは良かった」

 無月の奥義、虚影転写の術。
 偽の記憶を植え付けるこの術により、金剛や雷轟は『謎の道場破りに敗北した』ことになっている。
 これでしばらくは安全だろう。

「しかし、主よ」

「なんだ?」

 無月が鋭い視線で俺を射抜いてくる。

「貴様、本当に桜花城を攻め落とすつもりなのか?」

「……ああ」

 俺は頷く。
 無月は『正気か?』とでも言いたげだ。

「それが俺の目的に合致するのでな」

「……詳しくは聞かん。俺を含めた3人の桜花七侍を単独で倒した貴様なら、きっと成し遂げるのだろうからな」

 無月はそれ以上追及してこない。
 彼女なりに俺の実力を評価しているのだろう。

「だが、桜花城を攻め落とした後のことは考えているのか? 個として強いだけでは、乱世を生き抜くことはできんぞ」

「それは……。まぁ、そのときはそのときだ」

 俺は無月の指摘に、言葉を濁す。
 藩主になれば、まずは税を軽くしてあげたいな。
 だが、財政のバランスの問題もある。
 その他、周囲の藩、将軍派、女王派などとの力関係も知らないし……。
 具体的には、どうなっていくか分からない。

「不必要な混乱を避けるために、金剛や雷轟を生かしておいたんだ。俺が藩主になっても、引き続き桜花七侍には働いてもらうさ」

「そうか。それは重畳だな。俺もまた、表舞台に戻れるというわけだ」

 無月はにやりと笑う。
 碓かに、それもいいだろう。
 彼女が仲間に始末されそうになったのは、隠密部隊のルールによるものだ。
 俺がトップに立てば、そのあたりはどうとでもなる。
 しかし……

「ふっ。別に、働き続ける必要もないんだぞ?」

「何? 俺を閑職に追いやるつもりか?」

 無月が鋭い目で睨みつけてくる。
 おっと、言葉足らずだったな。
 誤解されてしまったようだ。
 俺は言葉を続ける。

「女としての幸せを掴むのも悪くないってことさ」

「なっ……!?」

 俺の言葉に、無月は頬を赤らめる。
 彼女の意外な反応に、俺は虚を突かれた。
 てっきり、『女扱いするな』と激怒するかと思ったのに。

「無月は美人なんだし、俺としては大歓迎だ。元気な子どもを産んでくれ。共に幸せに暮らしていこう」

「な、な、何を言うかと思えば……。俺はそのような軟弱なことに興味はない!」

 無月は赤面して叫ぶ。
 うーむ……。
 無月は美人でスタイルもいいし、その気になればかなりモテると思うんだけどな。
 彼女はそういうものを望んでいないのだろうか。
 若くして桜花七侍に任じられたぐらいだし、これまでは仕事一筋だったのかもしれないな。
 もう少し押してみよう。

「なぁ、そう言わずにさ……」

「ゴホン! お、俺は……少し休憩させてもらう!!」

 無月は叫ぶ。
 彼女はそのまま速足でその場を立ち去っていった。
 そんな彼女を見送りながら、俺は呟く。

「なかなか可愛いところもあるな。……ん?」

 俺の侍装束の袖が、くいっと引っ張られた。
 俺はそちらへと視線を向ける。
 そこにいたのは……

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