【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1520話 vs桜花七侍・雷轟

「桔梗! 助けに来たぞ!!」

 俺は叫ぶ。
 稽古場の奥に位置する雷轟の私室。
 そこに、桔梗はいた。
 彼女は縄で縛られており、身動きが取れないようだ。

「た、高志くん……!?」

「無事だったか、桔梗。良かった……」

 俺はほっと胸を撫で下ろす。
 見たところ、乱暴された様子はない。
 服ははだけているが、それだけと言えばそれだけだ。

「ふはっ。こいつは驚いたな」

 雷轟が部屋の奥から姿を現す。
 年齢は30代~40代くらいか。
 彼の服装はかなりゆったりとしたものだ。
 完全にリラックスモードだったらしい。
 彼は余裕の表情を浮かべたまま、言葉を続ける。

「まさか、本当にここまで来るとは……。流浪人風情にしては大したものだ」

「……お前が雷轟だな? 世間話をするつもりはない。桔梗を返してもらおう。拒否するのならば殺す」

 俺は言う。
 すると、雷轟は愉快そうに笑った。

「くくくっ。いきなり『殺す』とは、物騒な奴だな。あまり強い言葉を使うなよ……弱く見えるぞ?」

「世間話をするつもりはないと言ったはずだ」

「わざわざ殺されに来たのか? それほど、この小娘にご執心というわけか」

「うるさい。桔梗は俺の師匠だ。武神流を教えてもらうことで、俺の剣術はさらなる高みに登れる。彼女を失うわけにはいかない」

 話をするだけでは埒が明かない。
 俺は刀を抜く。
 それを見て、雷轟は嘲笑した。

「はっ! そんな小さな棒切れで儂の相手が務まるかな?」

 そう言って、雷轟は傍らから巨大な武器を手に取る。
 それは巨大な金砕棒だった。

「お前の剣術がどれほどのものか、儂が直々に見極めてやる」

 雷轟は言う。
 やはり、戦うしかないようだ。
 俺は無言で頷く。

「た、高志くん……!」

 桔梗が叫ぶ。
 彼女は泣きそうな顔をしていた。
 そんな彼女を安心させるように、俺は微笑んで見せる。
 そして、雷轟に対して油断なく刀を構えた。

 これで3人目の桜花七侍との戦闘だ。
 彼はどういった戦い方をするのか……。
 慎重に見極める必要がある。

「来ないのか? ならば、こちらから行かせてもらうぞ!!」

 雷轟は金砕棒を振りかぶる。
 彼からこちらまで、まだ距離がかなりある。
 いったい何を仕掛けてくるつもり――

「【雷轟六卦】」

 雷轟は呟く。
 すると、超速で雷轟は間合いを詰めてきた。

「ッ……!!」

 俺は咄嗟に刀を構え、防御の体勢を取る。
 だが、間に合わなかった。
 金砕棒による重い一撃が俺を襲う。
 俺の体は吹き飛び、壁に叩きつけられた。

「ぐっ……!」

 衝撃に耐えつつ、俺は記憶を思い起こす。
 今の技は、どこかで見たことがあるような……。
 記憶はおぼろげだが、冒険者活動をしている中で知り合った武闘家やオーガの少女戦士が使っていた気がする。
 しかし、威力や速度はそれらより遥かに上だった。
 俺は壁に叩きつけられたまま、しばらく動かない。

「誰が……誰を『殺す』って? 身の程知らずが……」

 雷轟はニタリと笑う。
 そして、床に倒れる俺に向かって歩み寄ってくるのだった。

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