【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1485話 戦士と城

「いいか? 女性が未経験であることには何の問題もない。むしろ、未経験な女性の方が好ましいとさえ言える」

「そうなのですか? 確かに、お母さんもそんな話をしていたような気はしますが……。いまだによく理解できません」

 紅葉が首を捻る。
 彼女は約12歳だ。
 母親は3年前に死亡したという話を聞いている。
 意外なほどに物知りな彼女であっても、こういった方面の知識については乏しいのだろう。

「それはどうしてですか?」

「例え話だが……。『一度も戦ったことのない戦士』と『一度も攻め落とされたことのない城』、どちらの方が価値があると考える?」

「え……? それは……『一度も攻め落とされたことのない城』では?」

「その通りだ」

 俺は大きく頷いた。
 紅葉の答えは全くもって正しい。

「男性を戦士、女性を城に置き換えてみよう。男性は戦ってこそ意味がある。しかし、女性は違う」

「はい……。それはそうですけど……。でも……うーん……?」

 紅葉は首を捻る。
 なかなか納得できないようだ。
 こういった例え話は、刺さる人には深く刺さる。
 しかし、そうでない人にはさっぱり分からないということもある。

「なら、生物学的に説明しよう。つまるところ、人間だって獣の一種なんだ」

「獣……ですか?」

 紅葉が首を捻る。
 これは、彼女には少し難しい話かもしれない。
 俺は噛み砕いて説明することにした。

「子孫を残すという行為は、生物にとって最優先の使命だ。そのためには、異性と交尾をしなければならない」

「こ、交尾……」

 紅葉が顔を赤くする。
 やはり、この手の話は苦手らしい。
 ここらで話を切り上げるべきか?
 ……いや、紅葉は恥ずかしがりながらも興味津々な表情をしている。
 ストップがかかるまでは話を続けよう。

「ああ。交尾をしなければ、新しい命は生まれないからな」

「それは……そうですね……」

「だが、闇雲に交尾をするだけでは不十分だ。オスとメス、それぞれに適した交尾戦略がある」

「それぞれに適した……戦略?」

 紅葉が尋ねてくる。
 俺は頷いた。

「人間という種における雌雄の最大の違いは、妊娠するか否かだ。オスは精を注げばそれで事足りるが、メスの場合はそうもいかない。子どもを産むという使命がある」

「はい」

「人間の場合、妊娠してから出産まで1年近くかかる。その間、しっかりと栄養を摂取する必要があるし、産後は体力の回復も必要だ。一人の女性が産める人数には限界がある。歴史的に見れば30人以上産んだ女性もいるし、それぞれの町単位でも探せば10人産んだ人だって見つかるだろう。だが、現実的には2~5人くらいが限界だ」

「確かにそうですね……」

 紅葉が頷く。
 その目は真剣そのものだ。
 ひょっとすると『理屈っぽい』とか『子ども相手に生々しい話を持ち出すな』などと言われるかと思ったが、紅葉はそんな様子は微塵も見せない。
 ま、彼女は知的で好奇心旺盛だからな。
 むしろ、こういう話は好きなのかもしれない。
 このまま続けよう。

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