【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1480話 紅葉と流華

「はぁ、はぁ……。ひ、ひどい目にあったぜ……」

 流華が肩で息をする。
 新技『エンプフィントリヒ・ユングフラウ』の効果を確認できたのは良かったのだが、あまりにもくすぐったすぎて体力を消耗してしまったようだ。
 最後の気力を振り絞って服を着たあと、力なく座り込んでしまった。

「流華、大丈夫か? 少しやり過ぎたな。すまない」

 俺は謝罪する。
 だが、流華は首を横に振った。

「いや……。兄貴が謝ることはないよ。これも、必殺技の効果を検証するためなんだろ?」

「まぁ、そうだが……」

 微風に悶える流華は美しかった。
 俺はその光景を存分に楽しませてもらったが……。
 あくまで、主目的は新技の効果を確認することである。

「だったらいいよ。オレが望んだことだし……。それに、こんなスゲェ必殺技が使えるなんて、ちょっとワクワクしてるっていうか……。むしろ、感謝しているくらいだ」

「そうか……」

 どうやら流華は満足したようだ。
 通常ではほとんど何も感じない程度の微風でも、彼はくすぐったさに身をよじっていた。
 紅葉も、背中に指で文字を書かれただけで盛大に悶えていた。
 そういった反応は、『エンプフィントリヒ・ユングフラウ』のマイナス効果であると同時に、プラス効果でもある。
 突き詰めていけば、戦闘中に相手の動きを先読みできるというメリットにも繋がり、それは紅葉や流華にとって大きな武器となるだろう。

「お疲れ様、流華くん」

「おう。ありがとよ、紅葉」

 紅葉が流華に水筒を渡す。
 彼はそれを受け取ると、ゴクゴクと飲み干した。
 そんな2人のやり取りを見て、俺は少し疑問を感じた。

(仲がいいのは結構なことだが……。お互いにもっと意識するのが普通じゃないか?)

 俺は首を傾げる。
 紅葉と流華は、なんというか……完全にお友だちのノリだ。
 もちろん、それはそれで良いことなのだが……。
 年頃の少年が全裸でくすぐられていたのだから、見学者の紅葉だって多少の恥じらいを見せてもいいように思う。
 しかし、彼女はまったくそういう素振りを見せない。
 流華の方も似たようなものだ。
 同性の俺に対する羞恥心はあるようだったが、同年代の異性である紅葉の存在はほとんど気にしていなかった。
 まぁ、新技の検証をそっちのけでおっぱじめられても困るので、とやかく言うつもりはないが。

「兄貴?」

 流華が俺の顔を覗き込んでくる。
 おっと、いかん。
 考え事をし過ぎたようだ。
 もう、必殺技『エンプフィントリヒ・ユングフラウ』の効果は確認できた。
 そろそろ、制約の内容についても話す頃合いだろう。

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