【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1477話 兄貴ぃ…

「さて、紅葉は無事に『エンプフィントリヒ・ユングフラウ』を発動できたな。制約条件をちゃんと満たしていたようで、効果もかなりのものだった」

 俺の問いに、紅葉は頷く。
 なぜか機嫌を損ねていた様子の彼女だったが、すぐに機嫌を直してくれた。
 やはり、『好き』な食べ物が夕食に出るというワクワク感は大きいのだろう。
 まだまだ子どもだな。
 彼女の無邪気な笑顔を、今後も守っていかねばなるまい。

「はい! ……ところで、その『制約』とは?」

「まぁ待ってくれ。言葉で説明する前に、流華にも実践してもらわないと」

「あ、はい。分かりました!」

 俺は紅葉に断りを入れると、流華に向き直った。
 まだ説明していないが、『エンプフィントリヒ・ユングフラウ』の制約は少しデリケートなものとなっている。
 少女にとっても重要な事柄だと思うが、どちらかと言えば少年にとっての方が重要な内容かもしれない。

「待たせたな、流華」

「大丈夫さ、兄貴。それで、さっそく発動させてもいいか?」

「もちろんだ。さぁ、やってみてくれ」

 流華が頷く。
 俺は紅葉と流華に対して、同時並行で技を伝授していた。
 実際に発動する順番が前後しただけで、知識や基礎部分は流華もばっちり把握している。

「いくぜ! 【エンプフィントリヒ・ユングフラウ】!」

 流華が高らかに技名を宣言する。
 すると、彼の身体が神々しく輝きだした。

「あ……っ、あっ……!」

 流華の身体が小刻みに痙攣する。
 そして、その輝きはどんどん強くなっていった。

「こ、これは……!!」

 俺は目を見張る。
 紅葉の輝きに勝るとも劣らない。
 いや、流華の方が大きいか?

「あ、兄貴ぃ……。オレ、なんか身体が熱いよぅ……」

「問題ないさ。技の副作用みたいなものだ。しばらく耐えれば、すぐに慣れるはずだ」

「そ、そうなのか? ……でも、なんだか頭がボーッとしてきた……」

 流華が熱っぽい声で呟く。
 どうやら、彼も制約条件を満たしていたらしいな。
 技の効果がちゃんと出ている。

 デメリットは、見ての通り防御力の低下だ。
 皮膚感覚が過剰に鋭敏になってしまう……と言い換えてもいい。
 一方で、メリットももちろんある。
 今の彼なら、他者の魔力や闘気の動きを素早く察知できるだろう。
 まぁ、察知したあとに適切な対応ができるかは別問題なので、そこは今後も鍛錬が必要だが……。

「流華、気分はどうだ?」

「……なんだか変な感じだけど……悪い感じはしないぜ」

「そうか。ならば大丈夫そうだな」

 俺は頷く。
 紅葉に続いて、実際に効果の程を確認していくことにしよう。
 背中に文字を書くのはもうやったので、次は……。 

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