【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1454話 スクワット

「トレーニングって、具体的には何をすればいいんだ?」

「そうだな。まずはスクワットだ」

 俺はスクワットを提案する。
 筋トレの王様とも評される種目だ。
 大臀筋を含め、下半身の筋肉を総合的に鍛えることができる。
 腕立て伏せで上半身を鍛えたりするのもいいが、流華の右手首はまだ回復できていないし……。
 上体起こしで鍛えられる腹筋の効能は地味だ。
 その点、スクワットによる下半身の強化は見栄えも良い。
 流華の今後の成長にも役立つだろう。

「すくわっと? それって、どんなトレーニングなんだ?」

 流華はスクワットを知らないらしい。
 記憶はあやふやだが、俺はこの世界とは別の世界から来た転移者だったように思う。
 そんな俺が言葉に困っていないのは、『異世界言語』のチートスキルがあるからだ。
 しかし、今回の『スクワット』についてはうまく伝わらなかったようである。
 この世界、あるいはこのあたりの地域には『筋トレ』という概念があまり広まっていないのかもしれない。

「スクワットとは、こんな感じのトレーニングだ」

 俺は流華の前で実演してみせることにした。
 スクワットはシンプルである。
 地味かもしれないが、決して侮れない効果のある種目だ。

「まずは、肩幅に足を広げて立つ。そして、腰を落とす」

「……そ、そんな感じの動きか……」

 流華がつぶやく。
 彼は俺に背を向けたまま、首から上だけを俺のほうへ向けていた。
 頑なな態度だな……。
 体の正面を俺に見せたくないらしい。

 いつかは男同士、風呂で裸の付き合いをすることもあるだろうが……。
 今は無理に強要するまい。
 俺は説明を続ける。

「腰を落としたあとは、また足を伸ばして立ち上がる。これを10回ぐらい繰り返すんだ」

「そ、そうか……」

 流華が呟く。
 しかし、一向に開始しようとしない。

「百聞は一見にしかず。さっそくやってみるといい」

「兄貴ぃ……。そ、その前に服を着させてくれないか? 今は着替えの途中だったはずだろ?」

 流華が赤面しながら言う。
 ……。
 なるほど、そういうことか。
 先ほど、俺は流華の上半身を裸にした。
 そして続けて、下半身のズボンを脱がせた。
 今の彼は全裸である。
 その状態でスクワットを行うのは、確かに恥ずかしいかもしれない。

「気にするな」

「え?」

「俺は気にしない。流華も、恥ずかしがる必要なんかないぞ」

 俺はそう告げる。
 流華は顔を真っ赤にした。

「い、いや。だから、オレが気にする――」

「男のくせにゴチャゴチャ言うな。俺がばっちり見ているから大丈夫だ。スクワット中の大臀筋の動き、しっかりと見せてもらうぞ」

 俺は強引に話を進める。
 床に寝そべり、視線は流華の尻に固定した。
 この低い位置からの眺めなら、スクワットの動きを詳細に把握することができる。

「お、おい! そんなに見られると恥ずかしいって!!」

 流華が叫ぶ。
 しかし俺は聞く耳を持たない。

「さぁ、俺の方は準備万端だ。早く始めてくれ」

「うぅ……。わ、分かったよ……」

 流華がゆっくりと足を広げる。
 そして、静かにスクワットを披露していくのだった。

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