【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1446話 美尻

「情ねぇなぁ、おい! 大人や女の影に隠れてよぉ!!」

「うぐ……」

「同じ男として、恥ずかしいぜ! 男ならなぁ、ちゃんと自分で判断して行動してみろ!!」

「うぐぐっ……。でも、オレは男じゃ――」

 流華は悔しそうに歯噛みしている。
 何かを反論しようとするが、それを遮るように少年はまくし立てた。

「言い訳してんじゃねぇ! 男なら、もっと堂々としやがれ!! このスリ野郎が!!!」

「っ……!」

 流華は悔しそうにうつむく。
 返したい言葉はあるのだろう。
 だが、今の少年に何か言っても火に油を注ぐだけだ。
 俺や紅葉が庇い立てしても、似たようなもの。

 ここはグッと堪えるしかない。
 もう少し我慢すれば、少年の怒りも収まってくるはずだ……。
 俺はそう思ったが、少年は流華になおも言葉の暴力を浴びせる。

「お前みたいな弱虫野郎は、一生女の後ろに隠れて震えてりゃいいんだよ!」

「くっ……!」

「ここまで言われても、何も言い返せないのか? お前、チ◯コついてんのかよ? ああ?」

「う、うう……」

 少年の言葉に流華がさらにうつむく。
 その目には涙が浮かんでいた。
 さすがに、そろそろ助け舟を出すべきか……?
 俺がそんなことを考え始めた直後、少年がトドメの行動に出る。

「お前、女々しいんだよ! この弱虫野郎が!!」

 そう言って……少年は流華のズボンを引きずり下ろした。
 流華の白い下半身があらわになる。
 俺の方からはケツしか見えないが、少年には流華のチ◯コが見えていることだろう。

「…………えっ?」

 少年が素っ頓狂な声を上げる。
 そして、狼狽したように言った。

「お、お前……」

「な、何するんだ! この野郎!!」

 流華は左手で股間を隠しつつ、右手で少年に殴りかかった。
 紅葉だけでなく、流華にも加護(微)は付与されている。
 そのため、彼のパンチの威力はなかなかのものだ。
 流華の拳が少年の顔に命中し、少年は地面に倒れた。

「そ、そんな……バカな……」

 少年は鼻血を垂れ流しながら、信じられないといった顔をしていた。
 いったいどうしたのだろう?
 流華のパンチがそれほど強烈だったのか?
 もしくは、反撃してこないと思っていた相手に殴られて、ショックを受けたのか?

「言わせておけば、滅茶苦茶なことしやがって……! クソが……!!」

 流華はずり降ろされたズボンを引き上げる。
 彼のケツが見えなくなった。
 もう少し見ていても良かったのだが。

 ……ん?
 いや、俺は何を考えている?
 妖艶な美女や清楚な美少女の尻ならともかく、男のケツだぞ?
 興味なんてないはずだろう。
 俺は雑念を振り払い、流華に声をかける。

「大丈夫か? 流華」

「あ、ああ……。その、見たか?」

 流華が恥ずかしそうに尋ねてくる。
 俺は首を振った。

「いや、尻しか見えなかった」

「そ、そうか……。それならよかった……」

 安堵したように息をつく流華。
 おそらく、自分のアレに自信がないのだろう。
 俺のことを『兄貴』と呼んで慕ってくれている流華だが、見られたくはないらしい。
 まぁ、男にとってアレのサイズはデリケートな問題だしな。

「ちなみに、尻の形は悪くなかったぞ」

「へ? な、何を……」

「だから、お前の尻のことだ。すばらしい美尻だった」

 俺がそう言うと、流華は顔を赤くした。
 そして、大声で叫ぶ。

「う、うるせぇ! そんなフォローいらねぇんだよ!!」

「そうか? ある意味では、長所だと思うんだがな。ほら、そいつも……」

 俺は倒れている少年の方に視線を向ける。
 彼は相変わらず鼻血を出している。
 そればかりか、股間を膨らませていた。

 流華は男だが、きれいな下半身をしていた。
 妙な気分になってしまうのも仕方ないことだろう。
 これはチャンスだ。
 このハプニングをとっかかりにすれば、少年から正式な許しの言葉を得ることができるかもしれない。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品